映画ヘレディタリー 継承のあらすじとネタバレ解説【徹底考察】

ヘレディタリー継承
ヘレディタリー継承

 ヘレディタリー継承の評価と感想

★★★★★
2018年最高の最恐のホラーと言えばこの「ヘレディタリー継承」です。

ホラー映画としては異例の2時間越えの大作であるにもかかわらず見飽きることなくあっという間の2時間でした。

はじめの祖母エレンの死から始まるこの作品はその細部に至るまで2時間後のラストまでとにかく伏線を一つづつ表していく、丁寧なつくりになっています。

最近のホラーは悪魔だったり、呪いだったり、恐ろしいモンスターであったり、時にはサイコパスであったり。わかりやすい恐怖がとても受け入れられる風土があります。

そして、万人に受け入れられるように怖さは中辛からやや甘口のような刺激で作られ、ホラー映画好きの人にとっては「見終わったけど何も残らない」作品が多いように思います。

ヘレディタリー 継承はもちろん刺激的な描写も多くありながらも、一つの家族が祖母エレンの死から受け継いだヘレディタリー(遺産や血縁)でどんどん不幸の谷底に沈んでいく悲しいお話なのです。

家族の悲しき運命

この映画はホラーであると同時に一つの家族が逃れられない運命の悲しみや絶望を表現した作品です。アニーは幼少から理解に苦しむ母親の元で夢遊病やトラウマを抱えながら生き、二人の息子を失ない、自らも自分で首を切断、長男のピーターはパイモンへの生贄のために育てられ、自らでチャーリーを殺すきっかけを作ってしまいます。娘のチャーリーは男ではないという理由から生贄の候補から外されますが、やはり掟に従い殺されてしまいます。夫のスティーブンに至っては何も理解しないまま丸焼きにされてしまいます。

彼らは何か悪いことをしたわけではなく、そういう逃れられない血筋(ヘレディタリー)のもとであるべくして、全員が不幸になるのです。まさに不条理を絵にかいたような作品です。

この手の映画ではパイモンを中心に描かれがちですが、結局パイモン自体はラストに数分登場するだけです。パイモンがもっと早く出てきて暴れれば、それは「悪霊もの」のホラー映画になり、全く趣向の映画になります。

ですが、あくまでもこの映画での主眼は4人の家族にあります。そして、ジョーンと言う悪意ある介入です。

紛れもなく2018年最高に怖く、最高に悲しい1作だったでしょう。

ヘレディタリー継承 のあらすじ

アニーは夫のスティーブン、息子のピーターと娘のチャーリーと4人家族でした。

彼女はミニチュア制作をしており、近々個展を開く予定でした。

ある日、アニーの母親のグラハム家のエレンが亡くなります。

エレンは孫のチャーリーをかわいがっており、チャーリーも祖母が亡くなった悲しみを受け止めきれませんでした。

抑圧的でどこか母を恐れていたアニーはその死に複雑な気持ちを抱いていました。

葬儀が終わってしばらくして、グラハム家では不思議な出来事が起きます。

アニーが遺品を整理していると誰かがいる気配がしたり、不思議な光が走ったり、チャーリーが突然グロテスクな絵を描く、死んだ鳥の首を切り取り奇怪な行動をとりはじめたのです。

そんなチャーリーの気晴らしになればとアニーはピーターにお願いして彼女を友達のパーティに一緒に連れて行ってもらいます。

しばらくピーターが友人と過ごしていると突然ケーキを食べたチャーリーが入ってきて、息苦しそうにしました。

急いで病院に連れて行こうと車を飛ばしますが、その途中、鹿を轢きそうなった彼はハンドルを切って窓から顔を出していたチャーリーは電柱に頭をぶつけて首が切断されてしまいます。

呆然としたピーターはゆっくりと車を走らせ、家に帰ります。

翌朝アニーが出かけようとすると車の中で首なしのチャーリーの死体を見つけ叫びだします。

エレンに続きチャーリーを失ったアニーは精神的に参ってしまい、カウンセリングに通うようになり、そこで同じく子供を亡くしているジョーンという女性に出会います。

ジョーンに悩みを打ち明けていくアニーですが、ある日彼女が降霊術によって死んだ息子と話ができると言い出します。

半信半疑で一緒に立ち会うと突然コップが動いたり不思議なことが起きます。興奮したアニーはジョーンに教えてもらったとおりに自宅でチャーリーを呼び出そうとします。

うまくいったアニーはスティーブとピーターにも見てもらおうと二人にも儀式を見せます。二人はひどく怖がりましたが、アニーは儀式がうまくいき興奮していました。

結末ラスト

アニーがエレンのアルバムを整理しているとふとエレンとジョーンが一緒に写っている写真が何枚もあることに気づきます。そこでは儀式のようなものが行われており、「ペイモン」という悪魔の王様を呼び出す儀式でした。

エレンとの関係を隠していたことを不安に思ったアニーはジョーンを探そうとしますが、見つかりません。

家に帰ると、ふと屋根裏が気になり覗いてみます。そこには腐敗したエレンの死体があり、儀式の準備のような様相でした。

儀式の後からピーターは幻覚のような異常な体験に悩まされていました。

突然授業中に自分の頭を何度も机に打ち付けはじめました。

スティーブは急いでピーターを連れて帰ります。

家ではアニーが屋根裏に死体があるとスティーブ告げ、スティーブは混乱します。

アニーは降霊術で使ったチャーリーのノートを燃やすように言います。(アニーが燃やすと自分が燃えてしまうから)

スティーブはアニーが精神的におかしくなってしまったと思い、取り合いません。

仕方なくアニーは自らノートを暖炉に入れるとスティーブがまる焦げになってしまいました。

悲鳴を上げるアニーでしたが、突然真顔になり、正気を失います。

学校から連れて帰られたピーターは目を覚まします。リビングまで来ると黒こげになった父スティーブがいました。

気配を感じたピーターはアニーに襲われ、走って逃げ屋根裏に逃げます。

屋根裏に逃げて安心したピーターはふと天井からアニーが吊るされており、彼女が自分の首を糸鋸で切っていることに気づきます。

恐怖で混乱したピーターは窓から外へ飛び降ります。

ピーターから何かが抜け出て何かが入り込んでいきます。

起き上がった彼は庭の木の上の小屋へ行きます。

そこには裸になった悪魔崇拝の男女や、首のない、エレンとアニーがいます。

一人がピーターに王冠を被せ、ペイモンの復活を喜んでいました。

ネタバレ解説・考察

ここではヘレディタリー継承の謎を解説していきます。

アニーのミニチュア

この映画で特徴的な造形の一つがアニーのミニチュアです。

制作者アニーの心のうちが投影されているのは明らかでそこでは甲斐甲斐しく母親を介助する姿であったり、チャーリーの死後は事故現場を再現したりと、

 ペイモン(パイモン)とは

ヘレディタリーはペイモンという悪魔をよみがえらせる儀式が継承されていく話でした。

ペイモンとはヨーロッパの伝承あるいは悪魔学に登場する悪魔の1体で。悪魔や精霊に関して記述した文献や、魔術に関して記したグリモワールと呼ばれる書物などにその名が見られるものです。WIkiより

例えば映画ラストシフトではカルト教団が蘇らせたのもペイモンでしたので、悪魔崇拝者にとってはおなじみの悪霊と言えます。

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チャーリーの舌打ち

ペイモンの名前はヘブライ語の”POMN”(=「チリンチリンという音」)に由来すると言われており、チャーリーの舌打ちはそれを象徴していたのではないかと思います。(完全な私見です)

チャーリーが苦しんでいた理由

ピーターと友人の家に遊びにいったチャーリーが突然苦しみはじめたのは、もらったケーキにナッツが入っていたからだと考えられます。

エレンの葬儀で父スティーブから「チョコレートにナッツは入ってないかい?」と聞かれたことから彼女がナッツアレルギーを持っていたことがわかります。

チャーリーの奇行

本作の陰の主役と言っていい不気味な存在、チャーリー。彼女は生まれた時からエレンに育てられ、幼いころからその中にパイモンを宿っていました。

アニーが行っていた「チャーリーは生まれた時ですら泣かなかった」という発言からもわかります。

ただし、チャーリーは男ではないのでパイモンの器にはなりません。それはエレンが行っていた「あなたは男の子になってほしい」という発言からもわかります。

公式でも同じような解説がありました。

 チャーリーの事故は偶然か

車の事故で首を切断されてしまったチャーリー。これは事故だったのでしょうか?

答えはNOでチャーリーがぶつけた電柱にはパイモンを示す紋章がありましたので何かしらの力が働いたと考えるようが自然でしょう。

パイモンはチャーリーの中に宿っていたと思われるのでその解放という意味でもチャーリーの死は必要でした。

また、グラハム家の女性はすべて首を切断されて死ぬ、という慣習が明らかになるので、チャーリーもその類に漏れなかったと言えます。

 ジョーンの正体

ジョーンとアニーは偶然を装って近づいてきていましたが、二人の出会いは偶然ではありません。彼女は悪魔崇拝者の一人で、エレンとも交友がありました。

彼女たちはグラハム家の長男ピーターを介してパイモンを復活させようとしました。

そのため、アニーに近づき降霊術と偽りパイモンの儀式をまんまとやらせたのでした。

ジョーンからピーターへの呪い

学校にいたピーターは通りの向こうからジョーンが何かを口走っているのを見つけます。それは「お前の肉体から出ていけ」というもので、ペイモンを降臨するためにピーター自身の魂を取り除く必要があったのだと考えられます。

公式でも同じような解説がありました。

グラハム家の男子

パイモンの召喚に必要なのはグラハム家の男子です。

エレンはパイモンを召喚するためにアニーの兄のチャールズにそれを期待していましたが、チャールズは16歳で自殺してしまいました。

彼はパイモンの儀式に利用される前に「母が自分の中に何かを入れようとした」という謎の文章、のちに重要なヒントとなる言葉を残して死んでいます。

なお、父スティーブンは純粋なるグラハム家の男子ではないためパイモンの生贄には不適格となっているようです。

屋根裏のエレンの死体

屋根裏ではエレンの首なし死体がありました。

あそこに運んだのは誰かは明かされていません。夢遊病のアニーがやったとも考えられますが、一人では難しいと思われますのでジョーン含む悪魔崇拝者たちがやったと考えるほうが納得です。

ラストで膝まづく二つの遺体

一つは腐敗が進んでいるものでしたのでエレンものと思われます。

もう一つは死んだばかりのように見えましたので自分で自分の首を切っていたアニーではないかと考えられます。

 ヘレディタリー 継承の最後に

少し複雑なストーリーですが、一つづつ紐解いていくととても興味深い作品です。

公式でもネタバレ解説をしてくれているサイトは珍しいです。

公式ネタバレサイトはこちら↓

http://hereditary-movie.jp/nazo/

2017年はゲットアウト、2018年はこのヘレディタリーがホラー映画の中では特に注目でした。

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まだ見てない方はぜひご覧ください!