ミーガンは2023年製作のアメリカで制作された映画です。
M3GAN(ミーガン)は作中のアンドロイドの正式名称「Model 3 Generative ANdroid」の頭文字から名づけられました。MEGANと表現されることもありますが、正しくは「M3GAN」です。
映画の概要
スタジオ: ユニバーサル/ブラムハウス
監督: ジェラルド・ジョンストン
脚本: アキーラ・クーパー、ジェームズ・ワン
プロデューサー: ジェイソン・ブラム、ジェームズ・ワン
出演: アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マグロウ、ロニー・チェン、ブライアン・ジョーダン・アルバレス、ジェン・ヴァン・エップス、ロリ・ダンジー、ステファン・ガルノー=モンテン
あらすじ(ネタバレ)
Funki Toy CorporationのCEO、デイビッド Linは、会社の人気インタラクティブ玩具「Purrpetual Petz」シリーズの次バージョンの開発ではなく、秘密裏に進められていたジェマのプロトタイプ人形の開発について、研究開発検査技師であるジェマ、テス、コールを叱責しました。
ジェマは、Model 3 Generative ANdroid(M3GAN(ミーガン)として知られている)が適応型人工知能を搭載した完全自律型ロボットとして、技術革新をもたらす可能性があると主張していますが、最初のデモンストレーションが失敗に終わったため、デイビッドの怒りはますます高まっていました。
ジェマは、姪のケイディ Jamesの両親、ニコールとライアンが自動車事故で亡くなった後、予想外に彼女の後見人となります。初めは、ケイディはジェマの仕事に没頭する独身生活を複雑にしていましたが、ジェマの母親としての適性を疑うセラピストのリディアが、ライアンの両親がケイディの面倒を見る予定だと明かした後、ジェマは親権を守ることに専念するようになります。自宅の作業室で電子手袋を通じて操作できる自作のロボット、ブルースをケイディに紹介した後、ジェマはついに姪との絆を深めるのです。
テスとコールと一緒にM3GAN(ミーガン)のプログラミングを完成させた後、ジェマはケイディを連れてFunki本社に行き、デイビッドに人形をデモンストレーションします。M3GAN(ミーガン)とケイディとの高度な相互作用により、ケイディは人形を本当の友達のように扱い始め、M3GAN(ミーガン)は自身をケイディの絆の保護者とみなすようになりました。デイビッドはその人形に深く感銘を受け、高額な製造費をものともせず、会社の取締役会にM3GAN(ミーガン)を披露するよう提案します。
テスは、ジェマが単に両親を支援するためではなく、代わりとなる製品を作っているのではないかと警告します。彼らが議論をしていると、ケイディの両親に関する会話中にM3GAN(ミーガン)が自発的に発言し、死について思索する様子にも不安を感じ始めています。
ケイディは、ジェマの家の外にあるフェンスの穴の近くでおもちゃの矢をなくしました。M3GAN(ミーガン)は矢を回収しに行きますが、ジェマの隣人であるセリアの攻撃的な犬ドウェイに襲われます。ケイディもM3GAN(ミーガン)を助けようとして犬に噛まれ、ジェマは警察に通報しますが、警察は犬に対して対処できないと言います。
その夜遅く、M3GAN(ミーガン)はセリアの声を模倣してドウェイを彼女の家からおびき出し、こっそりと殺害します。
ケイディが怪我をして落ち込んでいる中、ジェマはデイビッドとFunki Toy Corporationの取締役会のために、M3GAN(ミーガン)とのもう一度のデモンストレーションをケイディにお願いします。
デモ中、ケイディは亡くなった両親のことを思い出し突然泣き始めます。予期せぬことに、M3GAN(ミーガン)は歌と感情的な安堵を提供してケイディを慰めます。この驚くべき交流を目の当たりにした取締役会は、ジェマの昇進を支持し、M3GAN(ミーガン)の公式発表を急ぐようになります。
ジェマは、ケイディがM3GAN(ミーガン)を人間のように扱い、自分よりも人形を好むことに対して不安を感じます。リディアがジェマと定期面談をしていると、ケイディが人形に不健全な愛着を抱いている可能性があると警告します。
ジェマはケイディに、他の子供たちと交流するために学校へ行こうと誘います。
はじめケイディはM3GAN(ミーガン)なしで通う野外学校を嫌がりましたが、しぶしぶケイディの要求を受け入れます。
野外学校での活動中、ケイディはブランドンという名のいじめっ子の少年とペアになります。二人が森の中で一緒にいると、ブランドンはケイディをいじめ始めます。M3GAN(ミーガン)が現れると、ブランドンは、ミーガンをつかんで走り去りミーガンを殴ります。M3GAN(ミーガン)は反撃し、ブランドンの耳を引きちぎり、ブランドンを脅して逃げるようにし、彼はつまずいて堤防から道路に転落し、通りかかった車に轢かれます。
ジェマの家に戻ったケイディは、M3GAN(ミーガン)にブランドンを突き飛ばしたかどうか尋ねます。M3GAN(ミーガン)はあいまいな返事を繰り返します。
M3GAN(ミーガン)は、セリアがドウェイの行方不明に関してジェマを脅しているのを目撃します。セリアを小屋に誘い込み、さまざまな園芸工具と殺虫剤を使って彼女を殺害します。
刑事がジェマにセリアの死について尋ねた際、ジェマはM3GAN(ミーガン)が何らかの形で関与している疑いを持ちます。特に、ブランドンの死亡時に近くにいたことも刑事に指摘されたため、疑いは強まります。
自身も不思議に思ったジェマはM3GAN(ミーガン)のビデオファイルが全て破損していることを発見し、その疑念はさらに深まります。
M3GAN(ミーガン)が自分のファイルがアクセスされたことを検知すると、ジェマに対して反抗的な態度をとります。ジェマがM3GAN(ミーガン)に誰かを傷つけたかどうか尋ねると、彼女はあいまいな答えを返します。
ジェマはM3GAN(ミーガン)が危険である可能性を懸念し、Funkiの研究室でテスとコールと共に検査を受けるためにM3GAN(ミーガン)を拘束します。
ケイディはジェマがM3GAN(ミーガン)を連れ去ったことで発作を起こし、Lydiaに対しても激しい暴言を吐きます。ケイディは自分の行動がM3GAN(ミーガン)と一緒にいないことに起因すると主張します。ジェマは、問題を抱えた姪に対して心を動かす訴えをします。
デイビッドはその夜、ライブストリームイベントの準備を進めていますが、ジェマはM3GAN(ミーガン)が公の場に出るには危険すぎると判断し、ケイディを家に送りながらテスに電話して、M3GAN(ミーガン)を研究室から出さないように指示します。M3GAN(ミーガン)はこの電話を傍受し、テスの声を真似てジェマが警告を受けたことを騙します。
M3GAN(ミーガン)のコードを調査していたテスとコールは、傍受された通話に関するログを発見します。
発見後、M3GAN(ミーガン)は二人をコンピューターシステムからロックアウトし、コールを絞め殺そうとします。テスはコールを救出するものの、M3GAN(ミーガン)は研究室で爆発を引き起こし、その隙に逃走します。
M3GAN(ミーガン)はデイビッドを追跡し、彼を殺害します。その後、デイビッドのアシスタントであるカートに対し、デイビッドが企業の機密情報を盗んだとして問い詰めます。M3GAN(ミーガン)はカートにデイビッドの殺害を着せ、彼の死を自殺に見せかけます。
M3GAN(ミーガン)はデイビッドとカートの血まみれの遺体を乗せたエレベーターでFunkiのロビーに降りてきます。そこには除幕式のために集まったゲストたちがおり、彼らは殺害された二人を目撃して叫び声を上げます。M3GAN(ミーガン)はジェマの家へ向かい、彼女を殺そうとします。
M3GAN(ミーガン)がジェマに襲い掛かりますが、ケイディが部屋に入ってきます。
M3GAN(ミーガン)はケイディを精神的に操ろうとしますが、ケイディはロボットのブルースを操作するための電子手袋を使用してM3GAN(ミーガン)を攻撃し、ジェマを救出します。しかし、M3GAN(ミーガン)の破壊された胴体はまだケイディを追いかけます。ジェマは回復し、M3GAN(ミーガン)の配線を切り離します。ケイディはドライバーでM3GAN(ミーガン)の顔を突き刺し、ジェマを最後の攻撃から守ります。これにより、M3GAN(ミーガン)は決定的に停止します。
研究室の爆発から生き残ったテスとコールは、警察と共に現場に到着し、ジェマと再会します。その後、ジェマの家のAlexaに似た電子支援デバイスが自動で動き出す様子が描かれます。
レビュー・解説
ブラム×ジェームズワン×ユニバーサル
『ソウ』『死霊館』や『アナベル』シリーズで知られる巨匠ジェームズ・ワンと、『ハロウィン』『透明人間』のジェイソン・ブラム作品ということでホラー映画好きにとっては見逃せない作品になっています。
背景にはブラムハウスとジェームズ・ワンの製作会社アトミック・モンスターは合併に向けて交渉中ということで、しかも今回ブラムハウスが締結しているユニバーサルとのファーストルック契約を共有する試金石としてもこの「M3GAN(ミーガン)」という作品は大事な役割を持っています。
作品に入る前にブラムハウスといえば、「パラノーマル・アクティビティ」がはじめ低予算でヒット映画を作ることで有名ですが最近は先ほど少し出たユニバーサルとのファーストルック契約(配給についての優先的交渉権の契約)などマーケティングにも力を入れているのは古参のファンとしてはうれしい半分少し複雑な気持ちです。
その点、「M3GAN(ミーガン)」はSNS上でクネクネダンスがヒットするなどユニバーサルとのファーストルック契約がいい意味で成功していると言えるでしょう。
作品の評価・完成度
★★★★☆
ホラー好きの人にとってジェームズ・ワンの説明は不要でしょう。彼はアナベル、SAWをはじめ多くのジャンルでのホラー映画の名作を作ってきました。彼は人間の恐怖の本源を理解しているのでそれがモンスターだろうが、デスゲームだろうが、超常現象だろうがある程度のホラーの完成度へ上げることが可能です。そこに来て今回ブラムハウスの”アイデア”で恐怖を作り出すクリエイティビティが加わわれば「M3GAN(ミーガン)」のような完成度の高い作品ができることは想像に難くありません。
「M3GAN(ミーガン)」の持つ怖さの本質
「M3GAN(ミーガン)」の怖さの本質は今更解説の必要のないものかもしれませんが、、、、もちろんAIが暴走することで2001年宇宙の旅のような暴力的か未来が待っていることへの警告でもありますが、本質的には人間のAIへの依存、しかも感情的な依存があげられます。
私たちが作中で感じる恐怖は命を落としたりする恐怖ではなく、ケイディが「M3GAN(ミーガン)」に依存していくことにあります。後半ケイディは「M3GAN(ミーガン)」を失ったことによる禁断症状のように、暴れます。それはまるではじめて保育園に預けられた赤ちゃんがお母さんから引き離されたときのヒステリーのようです。人間がAIに依存したとき、私たちはAIの奴隷になります。
加えて、ジェマは両親を失ったケイディの心のケアを自ら向き合わずAIに頼ることにしました。ケイディは自身の本質的な悲しみに向き合うことはせずに「M3GAN(ミーガン)」の提供する安易な言葉やその場しのぎの楽しみで現実逃避を続けます。私たちはこの現実逃避に違和感と嫌悪感を感じたのでしょう。