映画ドント・ヘルプのあらすじと評価・結末ラストを解説!その娘助けるな!

ドント・ヘルプ

 ドント・ヘルプの評価

★★★☆☆

ドント・○○は「ドントブリーズ」のパクリ作品。

でもこの作品は題名こそ日本の配給会社がドント~にしてしまいましたが、元々の名前は「THE INHAVITANT(住人)」という意味で全然違う作品です。

非常に宗教ちっくな作品であることが本作をとても難しくしており、過去の回想と現在の事件が交差するのでさらに話の理解を難しくしています。

ですが、作品としてはそれなりに面白く解釈できる作品だと思っています。

 ドント・ヘルプのあらすじ

カミラ、アニータ、マリアの3姉妹は強盗のために上院議員のホセの家に忍び込みます。

計画通りお金を盗もうと金庫を開けた彼女たちですが、予定よりもお金がないことに戸惑い計画を変更し、ベッドで寝ていた夫婦を椅子に縛りお金のありかを聞き出します。

家じゅう彼女らが捜していると地下に少女が監禁されていることを発見します。

親から虐待を受けていた彼女たちはすぐに彼女を助け出しますが、のちにホセ議員から「彼女は悪魔に憑依されており、これから悪魔祓いを行う。だから彼女を基に戻せ」という説得を受けます。

ホセの話は本当で少女に憑りついた悪魔のアモンは彼女たちにも危害を加え始めます。

アニータの出生の秘密、カミラの秘密、マリアの秘密を巧みに操ります。

まずはアニータが自殺のように死に、カミラが車の事故で死んでしまいます。

マリアは気絶してしまい、過去に父親に虐待されていた夢を見ます。

ペドロが悪魔祓いをしようとするとホセがペドロを拘束します。

ホセはアモンと秘密契約を結び、ペドロを殺せば娘を返すと約束していたのです。

もみ合いになっているうちにホセの妻がホセを殺し自らも自殺してしまいます。

結末ラスト

後に訪れたペドロとともに悪魔祓いをしようとするマリアですが、アモンはマリアやバチカンから来たペドロも操ろうとします。

マリアは なんとかペドロとともに悪魔祓いを終えることができます。

ふと後日テレビをつけるとペドロがバチカンの教皇になったニュースとともに彼の演説が流れます。ペドロを見ながらマリアは不安そうに聖書の一部をつぶやくのでした。

 ドント・ヘルプのネタバレ解説

悪魔との闘いを描いた作品ドント・ヘルプは宗教色の強い作品です。

通常の作品ですと、単に地下に眠っていた少女の悪魔を懲らしめてめでたしめでたしですが、この作品はハッピーエンドではない一筋縄ではいかない作品です。

少しづつ解釈していこうと思います。

頭のよい悪魔アモン

少女に憑りついたアモン自体は40の軍団を配下に持つ高尚な悪魔です。

その能力は恐ろしく、相手の弱い部分を瞬時に見ぬき相手を意のままに操ります。

カミラ・マリアだけでなく、ペドロまでもがアモンによって過去を弱みを暴かれ心の弱さを露呈するほどです。

今回物語を面白くしているのはこのアモンの過去の弱みを読み取る能力なのです。

アモンによって暴かれる過去

カミラとマリアはそれぞれ隠しておきたい過去を持っていました。

カミラは祖父に性的暴行を受けたことで妊娠してしまいアニータはその時の子供でし。また、その怒りも手伝い、マリアを守るために父親を殺します。

一方でマリアは長年キリスト教に心酔していた父親の長らく虐待を受けていたにも関わらず、カミラではなく、父親をかばう道を選んでいました。(後にカミラはこのことでマリアに激怒します。)

非常に残酷な過去ですが、これらはマリアに一つの救いようのない答えを出します。

マリアはまぎれもなく「神への信仰」によって長年苦しめられたのです。

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マリアにとっての神

マリアにとって神とは父親が押し付ける暴力に他なりません。

「悪しき欲望に負けない強い心をください」そういって、父親はマリアを鞭でたたきつけます。

まるで映画マーターズのような神に近づく儀式のようです。

マリアにとって神とは決して救いの存在ではないのです。

ですが、アモンによってそのことは暴かれ、当然マリアがアモンの標的になります。

そのマリアが頼ることができるのは「神」だけなのです。そんな矛盾こそがこの作品の一番の見どころなのです。

結末ラストの解説

結末ラストでペドロが次の教皇になります。

ここはマリアが悪魔アモンに勝ったということでハッピーエンドになりそうなところですが、そんなマリアの雰囲気はそうでなく陰鬱そうです。

ここでの描写は

①ペドロの狂信的でうつろな表情

②マリアが神に祈る場面

で終わりますが、私の解釈ではペドロの狂信的な表情が父親に重なったと考えられます。

父親は妄信的にキリスト教を信じるがゆえにマリアに暴力を振るいました。ペドロもアモンに神が勝ったことでさらにその信教を強めたことでしょう。そこにマリアは不安感を覚えて、とっさに神に祈りを捧げてしまったのでしょう。

最後に

キリスト教という排他的(キリスト以外の神を信じない)な宗教の弱さや凶暴さを表した作品という風に理解しています。

時に宗教は人を助け、人を傷つけます。マリアはそんな不安定な世界で生きていく必要があるのです。