バスケットケースの評価
★★★★☆
80年代カルトホラーブームの名作バスケットケース。
HDリマスター版のブルーレイを手にしました。
この映画をHDリマスターで美しく見せて誰が買うんだ?と思うかもしれませんが、ここにいます。
チープな作風が逆に何十年たっても色あせない演技として残り続けます。
バスケットケースのあらすじ
ニューヨークへやって来たドゥエインは、バスケットケースに入ったメモで医師の名前を確認していました
彼は生まれた時からシャム双生児(結合双生児)という奇形で右の脇腹のところにもう一人の人格が組み込まれていました。
周りは気の毒そうに彼に同情しましたが、彼自身は脇腹にいる兄のベリアルと親しく暮らしていました。
特に彼の親は化け物が生まれてしまったと言って、ベリアルをひどく嫌っており、何年も彼らを監禁して生活していましたが、ある日ドゥエインに内緒でベリアルを切り離す手術を決行してしまうのでした。
手術は無事終了し、ドゥエインとベリアルは切り離されてしまいます。
ドゥエインたちは差別してきた医師たちを恨み、わざわざニューヨークまで彼らを殺しに来たのでした。
一人、また一人、リストに入っている医師を殺していくベリアル。
一方でドゥエインは 殺した医師の窓口受付のシャロンに恋をします。互いに惹かれあう二人でしたが、ベリアルとドゥエインは結合双生児だったころから互いに考えが共有されてしまい、ベリアルもまたシャロンに欲情してしまい、シャロンを襲います。
ベリアルの姿を見たシャロンは絶叫し、ベリアルはシャロンを殺してしまいます。
愛する人を失った怒りと悲しみからドゥエインはベリアルともみ合いになり、2人でホテルから落下し、死んでしまいます。
バスケットケースのネタバレ感想
設定はシンプルで、青年が持っているバスケットケースには化け物が入っていて、人を虐殺する、というもの。
バスケットケースに入るサイズの化け物というのがなんとも親しみやすさを覚えます。しかも、それがねんどで手作りしたような化け物であればなおさらです。
化け物ベリアル
病気の人を化け物と言ってはいけないのですが、ベルアルはかなりの奇形です。
病気だからといって人を殺していいわけではないですが、同情の余地は十分あるでしょう。
しかし、医師を恨みのは少し筋違いなような、、、、、親を恨むのはいいですがね。
しかも獣医って、、、、よっぽど親はベリアルたちを人間扱いしなかったのでしょう、なおさらなんだか少しかわいそうに思ってしまいます。
そして、時折見えるベリアルの目がとても人間の目なのです。
あえてそのようにしてるのかもしれませんが、時々優しい人間の目をしているんですよね。
チープな出来
今なお本作が名作として見れる作品なのはチープな作風にあります。
これが下手にCGなんか使っていたらおそらく粗末な作品になってしまうのでしょうが、今なおゴム人形のような不細工な出来のモンスターをまるで一人芝居でモンスターのように見せるこの世界観はおそらくCGがどんなに発達しても別次元の作品としてなお色あせない作品となると思います。
被害者の一人芝居
本作の見どころはもちろんベリアルなのですが、当然動かないゴム人形のベリアルを演じるのは被害者本人です。
まさに一人芝居を演じるわけです。首に張り付いたベリアルの人形にあたかも襲われているかのように身体を揺らし、奇声を挙げ、振り払うフリをしながら人形を支える。
まさに役者の実力が試される作品に間違いなく、大変興味深く見れました。
シャム双生児
余談ですが、シャム双生児と言えばムカデ人間を思い出します。
※閲覧注意!映画ムカデ人間のあらすじ・ネタバレ感想【魅力を解説】
こちらはむしろシャム双生児を人工的に作り上げようというクレイジーな試みではあるのですが、カルトホラーにシャム双生児は欠かせません。
しかも本作80年代と言えば、ベトちゃん、ドクちゃんが有名になった年でもあり、非常にチャレンジングな作品だと言えるでしょう。
最後に
カルトホラー好きな方にはぜひ見てほしい作品です。私はクラシックな作品はあまり見ませんが、それでも見ていてほれぼれするシーンがあります。
登場する人物も一癖も二癖もあるもの、ドウェインたちはまだまだ精神的にも子供でもあり、虐待を受けていたことを考えるとやはり私は彼らに同情をせざるを得ないのです。