LOOP/ループ -時に囚われた男-の評価
★★★☆☆
ループという名前の通り、いわゆるループものです。
同じ出来事がある日突然何度も繰り返されることになり、主人公がたどり着きたい未来に着地するために奔走する作品です。
ループものとしてはそこそこの出来で楽しめます。
元々ループものは細かい辻褄合わせが大変なので、ストーリーの完成度は少し目をつぶる必要があるでしょう。
名作とは言えませんが、それなりに楽しめます。
ただラストだけはもう少し工夫してほしかったところです。
LOOP/ループ -時に囚われた男-のあらすじ
アダムはボスのデシューとともに薬の密売人をしています。
次の仕事を最後に足を洗おうとしていましたが、最後の仕事の直前に恋人のアンナが妊娠していることを知ります。
産みたいと願うアンナに対して、最後の仕事を終えたら逃亡しようと思っていたアダムにとって妊娠は厄介ごとでしかなく、アンナに中絶を支持します。
アダムに愛想が尽きたアンナは産婦人科をしているアダムの父親のところに診察に行きます。
計画が狂い、いらつくアダムですが、今更引き返さないと悟り、アンナに別れのビデオを撮ります。
その後、アンナを探しに街に出かけるアダムでしたが、目の前でアンナが車に轢かれてしまいます。
今警察に捕まるわけにはいかないアダムはその場を逃げ出しますが、突然目の前にアンナが現れ、アダムにビデオテープを見るようにアドバイスするのでした。
今日と言う日が何度もループしていることに気づいたアダムはなんとかアンナを助けるために奔走します。
結末ラスト
デシューの裏をかき見事アンナを生き延びさせることに成功したアダムはアンナと逃げることにします。
電車にのって一息したアダム。アンナが見せてきたお腹の中の子供の写真の片切れも無事に合わさり、安堵するアダムでしたが、目の前に座ったホームレスがパンを食べるのを見て、戦慄するのでした。
(ホームレスがあげたパンは自分があげたパンであり、まだループしている世界から抜け出せていない)
LOOP/ループ -時に囚われた男-のネタバレ感想
シチューエーションループスリラーという言葉を使ったのは映画トライアングルが一番最初だったでしょうか。
この作品もループという題名の通り、シチュエーションがループしながら少しづつ未来が変わっていくお話です。
ループものを楽しむコツ
まずループものの私の持論としては、細かいことは気にしてはいけない、というのが前提です。
当然SFの話ですので、あまり細かく辻褄があってないことを指摘しても仕方がないのです。
ディズニーランドで乗り物やキャラクターの劣化を見つけて指摘するよりも、無視して世界観を楽しむほうが楽しめるというのに似ています。
ループしている理由
そして、これも持論ですが、ループしている理由というのもある程度わかったほうが楽しめます。
霊や悪霊の仕業だったり、バミューダトライアングルのようにその土地特有の出来事だったり、異次元の出来事だったり、理由や設定は何でもいいですし、それ自体の妥当性を問いませんがある程度の設定の地盤がないと世界観に入り込みにくいのです。
「LOOP/ループ」の感想
その点ループというこの作品は、とにかくアダムは本人の意思に反して何度もループして場合によっては自分と鉢合わせてしまったりはちゃめちゃですが、素早い展開で飽きがこないです。
一方で、「なんでループしてるんだっけ?」というのがないので、最後に「実はまだループしてるかも」というラストのオチがあったとしても「そりゃそうだよな、根本的に何も解決してないんだから」となるわけですね。
新しいループもの?
ラスト結末を好意的に解釈すると、新しいループものとも言えるかもしれません。
通常ループものは以下の場合が多いです。
①同じ世界で1からループするケース
②パラレルワールドでループするケース
いいかえれば展開、A⇒B⇒Cがループするという出来事があるとします。
①だと、A⇒B⇒C⇒A⇒B⇒C⇒A⇒B⇒C…という感じで同じ出来事がループし、上書きされていきます。この手の作品では原因となっている問題や、事象を解決してあげることがとても重要になります。
映画ハウンターや映画トライアングルなどがそれでしょう。
②だとA⇒B⇒C⇒A”⇒B”⇒C”A””⇒B””⇒C””…というふうにおなじA⇒B⇒Cという展開に見えても別々の展開になっています。
それぞれがパラレルワールドで起きていることなので、この手の作品ではそれぞれの世界でうまくやればハッピーエンドになります。
映画で言えば、「ミッション8ミニッツ」などがそれにあたるでしょう。
オチが難しい
この作品では、細かいつじつま合わせはおいておいてループの根本的な原因が解決されなかったため、微妙なオチ=ループから脱出できなかった、という結果に終わっています。
それは「ループはなにゆえ生じているか?」という疑問に答えていないからに他なりません。
LOOP/ループの最後に
ループものが好きな人は見る価値はあると思います。
それでも映画としてはもう一歩欲しかった作品だと思います。