映画ナーヴ(ナーブ) の評価
★★★★☆
はじめは仮想現実でのよくあるSFものかと思いましたが、そんなことはなく「ありそうな」作品になっていました。
展開も早く、必要以上に無謀な展開もなく、インターネットの怖さを改めて知ることができる、ハラハラドキドキ楽しめる作品です。
NERVE/ナーヴのあらすじ
高校生のヴィーは学校のアルバム委員でカメラマンをしていました。
憧れのアメフト選手JPに話しかける勇気ありませんでした。
ある日親友のシドニーのせっかいでJPに失恋してしまったヴィーは裏オンラインゲームのナーヴに参加します。
かねてからシドニーも参加していたそのゲームは、挑戦者と視聴者に分かれており、挑戦者になると視聴者が出す指令をクリアして賞金をつかむというものでした。
ヴィーはやけになりゲームに参加し、ダイナーで見知らぬ男に5秒間キスをして賞金の100ドルを得ます。
同じゲームのプレイヤーでもあったキスの相手イアンと一緒に、繰り出される指令をどんどん遂行していくヴィーでした。
いつしか二人は人気プレイヤーとなり、決勝に出場できるほど順位をあげていきました。
ヴィーの活躍が面白くないシドニーは負けじとナーヴに参加しますが、命をかけて行う演目に棄権してしまいます。
しかし、いつしかイアンがゲームにとても固執していることに気づきます。
ヴィーも視聴者からの無茶なリクエストに警察に行きますが、相手にしてもらえない上に運営側から密告者のペナルティを与えられてしまいます。
ペナルティを回避するために決勝へ行くことを余儀なくされたヴィーは、同じくペナルティを受けているイアンとともに決勝に残り、ゲームを脱出することにします。
ナーブの結末ラスト
決勝では互いに先に銃で撃ったほうが勝ちというルールですが、撃つことができませんでした。
そこへイアンの元相棒が割って入り、自分がヴィーを撃つと言い出します。
視聴者の過半数の賛成でゲームが動き、はヴィーを撃つことになります。
次の瞬間トミーのハッキングによりゲーム参加者の実名がそれぞれの端末上で表示されました。すると全員がサインアウトして逃げ出しました。
ナーブはその機能を失っていきました。
NERVE/ナーヴのネタバレ感想
「世界で一番危険なゲーム」というのは言い過ぎだと思いますが、面白かったです。
なによりフィクションでありながらも実際に「あり得るかも」というリアリティに合わせた構成がとても興味深かったです。
インターネットとSNSの怖さ
インターネットとSNSの進化によって、それが無かったころの人と今の人では大きくそのライフスタイルは違ってきます。
昔はいい車に乗って、いい服を着るのがステータスでしたが、今ではネットの世界やSNSで自分がいかにハイクラスな人間かを競うようになりました。
作中のシドニーがまさにそうで、みんなの注目を集めたい、フォロワー数を誰よりも多くして有名になりたいとひたすらに願います。
ナーヴはその人間の自己顕示欲をくすぐり、多くの危険なことをチャレンジャーにやらせます。
おそらく現実世界では動画サイトでポルノに足を踏み入れる女性などがこれに近いように思います。
自らを有名にするために自らを売り物にし、有名になる。お金も普通に働くよりも手っ取り早く稼げてしまう、まさにインターネットのレバレッジが効いた仕組みはインターネットの闇そのものです。
そんな現実世界でも起きているようなことを題材にしたこのナーヴと言う作品にはとてもリアリティと恐怖を感じます。
匿名多数決の怖さ
このゲームの特殊性は匿名による多数決で多くのことが決まるということです。
インターネットの匿名性というのは人間の凶暴性や裏の面を色濃く反映します。
命を落とすかもしれない指令をボタン一つで出すことができ、しかも多数決によって決まるので自分だけでなく他の人も一緒にゲーム感覚で選択することで「赤信号みんなで渡れば怖くない」というような罪悪感を減少させることができるのです。
事実ラストのシーンでは「ヴィーを殺す?」という問いに「YES」と投票した人たちの多くはオフィスだったり、自宅だったり遠く離れたところから軽い気持ちで投票していました。
さらにヴィーたちが仕掛けたハッキングにより「YES」と投票した人たち全員の名前を暴露されると彼らは一目散にネットから逃げていきました。
匿名性と悪意というのは相関があるのですね、ナーヴ(ナーブ) というゲームは本当によくできています。
インターネット上の個人情報
今回個人的に興味深かったのがイアンたちが受けたペナルティです。
ナーヴ(ナーブ) を怒らせた彼らは自身の恋人や家族を人質に取られました。
たしかにパソコンやスマホには自分の多くの秘密がいっぱい入っています。
デジタル端末の中には名前や住所はもちろん、写真、クレジットカード情報から銀行の番号まで多くの個人情報が入っていますし、カメラを使えば盗撮だって可能ですので。
物理的に誘拐などしなくても十分相手を脅すことができる世の中になってきたのです。
スタイリッシュな映像
人によって好みは分かれると思いますが、この映画はパソコンやスマホ画面のようなデジタル表記が画面中にたびたび登場し、とてもスタイリッシュな映像が楽しめます。
設定の甘さは多めに見て
確かにこんな危険なゲームを警察が放っておくわけがない、とか思うかもしれませんが、実は意外に警察というのはこういう仮想世界での出来事には興味を示さないものです。
まあ、社会現象になって批判されるでしょう、というのが日本人の感覚かもしれませんが、知らない人と車をシェアしたり、知らない人が宅配で食い物を届けたりする国アメリカですのであり得ない話ではないかもしれません。
そこらへんの設定の甘さは大目に見たほうが作品を楽しめるのは間違いありません。
実力は若手俳優
イアンを演じるのはグランドイリュージョンで若きマジシャンを演じたデイブ・フランコです。
ヴィーを演じたエマ・ロバーツはジュリアロバーツの親類らしいです(私は知りませんでした。。。)
個人的にはイアンの演技的は結構好きな感じでスタイリッシュな映画の構成にあっています。雰囲気はグランドイリュージョンにあっています。
最後に
私個人としてはとても面白かったです。
TikTokなんかでセクシーなダンスを踊っている女性や動画サイトでありとあらゆることをやっているYoutuberたちを象徴するような社会的疑問も含んでいる分深く映画を見ることができました。