ネイルズ 悪霊病棟の評価
★★☆☆☆
B級映画としてはそこそこ楽しめる作品です。
ホラーとしての最低限の要素を含んでいます。
そうは言ってもチープな作品であることは否めず、大作ホラーではないので見る人を選ぶ映画かもしれません。
見どころはネタバレ感想の項目をご覧ください。
ネイルズ 悪霊病棟のあらすじ
ある朝、ランニングに出かけて交通事故にあってしまったデイナ(ショーナ・マクドナルド)は、生死の境をさまよった末に一命を取り留めます。
彼女は喉に人工呼吸器を着けられ、自分で動くことも息をすることも喋ることもできない入院生活を余儀なくされてしまいます。
ある日寝ているデイナの部屋で妙な物音がします。看護師のトレバーに相談すると、彼は部屋中を調べると一笑に付し、彼女に安心するように言います。
翌日の夜もデイナが寝ていると、クローゼットから長身で、細い生気のない男が現れてデイナの人工呼吸器のスイッチを切ろうとしました。
妻を心配に思った夫のスティーブは監視カメラを部屋に設置し、デイナを安心させようとします。
不安に思ったデイナは自らパソコンでこの病院で起きた過去の事件を調べていると、この病院で少女たちの連続殺人事件が起きていることがわかります。
容疑者はこの病院に勤務していた若い男性エリック・ニルソンという男性でした。
デイナはこのエリックが自分を襲った悪霊であると確信するのでした。
エリック=ネイルズの正体
エリックは元々この病院の患者で、里親から虐待を受けたトラウマで激しい自傷行為(自分で自分を傷つけてしまう)の癖を持つ男性でした。
職員たちは仕方なく彼が自分を傷つけないように爪を毎日切るようになります。
エリック自身も長い闘病生活でいつしか病院を自分の家のように感じるようになり、成人するころには病院で働くようになっていました。
病院でエリックは少女たちの世話をする係でした。
彼は少女たちの爪に異常な執着を持ち、爪を切っては自分で持ち帰って保管していました。
病院側は彼のそんな趣向を知りながら害はそれほどないと判断し、放置していましたが、いつしか同僚からは「ネイルズ(=爪)」というあだ名がつけられていました。
そんな折に少女が連続で殺害されるという事件が起き、当然世話係で彼女らの爪を保有していた異常な趣向を持つエリックが疑われます。
疑いをかけられたのを苦にして、エリックは自殺し、その後も病院で悪霊となりました。
彼はまさにデイナが死んだ部屋のクローゼットで首を吊っていたのです。
結末ラスト・オチ
トレバーもデイナに起こる不思議な出来事に疑問を持ち始めていました。さらに彼はデイナの部屋に駆けつけてときに彼女の傍にいる人影のようなものを見かけた気がしていました。
その時過去の書類からデイナにそっくりの小さな女の子のカルテが出てきます。
デイナは昔この病院に骨髄炎で入院していたことがあり、しかもネイルズが在籍していたころでした。
デイナもなぜ自分が狙われるかわかったのです。
もしエリックが自殺していなかったら、次の被害者は自分で、エリックが自分への執着を持ったまま死んだため今その執着が悪霊になったのでした。
ある夜ネイルズは自らの力で病院に残っている院長、トレバーはじめすべての人間を殺します。
デイナは娘のジェナだけは助けようと一緒に病院を逃げますが、観念して自らを犠牲にジェナを逃がします。
警察と救急車がかけつけジェナは無事に保護されました。
その頃、別の世界(おそらくあの世)ではデイナがエリックから看護されているのでした。
ネイルズ 悪霊病棟のネタバレ感想
スリラーと紹介されていますがB級ホラー映画の類の作品ですね。
作りはストレートで、これはこれで見終わったとに「まあこんなもんかな」という白ごはんとお味噌汁を食べた後の適度な満腹感を感じる作品です。
要は作りが極めてシンプルで、「昔死んだやばい奴の悪霊が悪さをする」以上です。
ショーナ・マクドナルド
ホラー映画を見ている人なら「この人なんだか見たことある」と思うかもしれません。
主役のデイナ役をやっているショーナ・マクドナルドは有名な洞穴でモンスタースプラッタが繰り広げられる「ディセント」の人です。
今回は身動きとれない、しゃべれない、息できない、という完全な社会的弱者を襲うという、入院前に見ると死亡確実の患者を演じたのはホラー映画でも有名な彼女に納得です。
B級映画としては合格
あくまでもB級映画としてですが、出来はいいほうでした。限られた予算の中で、登場人物とシーンを限りなく絞り、白目をむいたガリガリの生気のない男でひたすら勝負する、この一本気が個人的にはとても好きです。
しかも、足りない部分は設定でカバーというか、動けない患者だから正直何をされても怖くてしょうがないというのがあり、十分怖い作品になってました。
脚本も欲張りすぎず「なぜデイナだけが襲われるのか」というところをうまく「昔患者として狙われていたから」という落としどころに当てはめました。
最近のホラー映画はとにかく風呂敷を広げて広げて回収しない作品が多いのでそういう意味では、好意的と言えます。
もう一味欲しかった
ホラー映画としてはもう一味欲しかった作品です。
やはりかなりの低予算で、患者がほとんど出てこなかったりドクターが出てこなかったりこじんまりとした作品であることは否めないです。
映画というほどのスケールでもなく、「本当にあった怖い話」レベルの作品という見方もできてしまうので誰にでもオススメ!という作品でもないでしょう。
ネイルズ 悪霊病棟の最後に
本作はとてもいい出来の「本当にあった怖い話スペシャル」のような作品です。B級ホラーファンなら見ても損はないと思います。
何よりディセント以来あまり見かけなかったショーナ・マクドナルドが見れるのでそれだけでもホラー映画ファンにはたまらない作品かもしれません!