機械じかけの小児病棟の評価
★★★★☆
あまり知られていませんが、結構名作だと思います。
シンプルなつくりの中で、しっかりとオチがあります。
あらすじ 簡潔Ver
イギリスのワイト島。
100年近い歴史を持つマーシー・フォールズ小児病院。老朽化のため閉鎖が決まり、移送が進められていたが大規模な鉄道事故がおこったため、中断を余儀なくされていた。
そこへ、臨時の夜間看護師としてエイミー(キャリスタ・フロックハート)が島へやって来る。突然辞めてしまった看護師スーザンの後任として雇われた。
あらすじ 詳細解説
イギリスのワイト島では大規模な列車事故が起き、原因は全くの不明だった。
死傷者多数を出したこの事故で島内の病院はいっぱいになり、マーシー・フォールズ小児病院は患者の転院を延期し、引き続き営業することとなる。
そこで働くナースのスーザンは患者の女の子マギーから相談を受ける。
マギーはときどきそこに住むシャーロットという女が見えるというのだ。
スーザンは彼女の言葉を取り合わず部屋に戻るように言うが、一方で病室ではサイモンが足を骨折する事故が起きてしまう。
サイモンは足を痛がり急いで医師がレントゲンを撮るが、なんとレントゲンを撮っている最中でも新たな骨折が生じるという奇怪な現象が起きていた。
スーザンは病院の異変に疑問を抱き、数日の休暇を取り、調査に乗り出す。
スーザンの代わりに看護師として派遣されたのがエイミーである。
エイミーは両親のいないマギーとすぐに仲良くなる。
エイミーに心赦したマギーはシャーロットの話を打ち明けた。
それは積木を使ってシャーロットとお話をすることができるという。
彼女は身体が機械のようで普通ではないという。
そのころ、やりっぱなしで机に放りだされていた積木がひとりでに動き出し、偶然なのかMINE(私のもの)という文字で並んでいた。
翌日足を骨折したサイモンから転院が決まり、エイミーが送ることになる。
ベッドから車いすに乗り換えて、エレベーターに乗ったところで異変に気付く。
下のボタンを押すのだが、反応がない。
ロイに助けを呼ぶが声も届かず、やっととどいたとしてもどうすることもできなかった。そのうち、エレベーターが動き出すが、なんとボタンが設定されていない2階へと動き出した。
2階に上がったエレベーターは止まるが当然扉は開かない。
なんとか下に降りる方法がないか探す彼らだが、突然エレベーターが動き出し、まるで落下するかのように急降下しだす。しかしエレベーターの緊急ブレーキによって二人は事なきを得る。
婦長のフォルダーから休憩を提案されるが、エイミーは気丈にふるまった。
エイミーはベッドで落ち着いて、薬を飲みこむのだった。
病院の異常について調べるエイミーだが、まずサイモンの骨折が異常なことに気づく。
彼の骨折はレントゲンを撮る数分間の間に骨折の回数が増えているのである。
原因不明の骨折に疑問を抱えながらスーザンであれば、何か知っているのではないかと思い、エイミーはスーザンを尋ねることにする。
しかし、スーザンは車を運転しているときに自己で亡くなってしまったと彼女の家で伝えられる。
病院に戻り、スーザンの訃報を同僚に伝え、やはり病院で起きている異常事態についてフォルダーに追求することを提案する。
しかし、フォルダーはまともに取り合おうともせず、むしろ異常な事態を握りつぶそうとしていた。
その夜にマギーと昼間に見たディズニー映画のラストの話をしていると突然隣のベッドでうめき声とともにシーツが動いています。
まるで誰かが布団の中で苦しんでもがいているかのようです。しかし、シーツを取っても中には誰もいませんでした。
いよいよ事態を重く見たエイミーはトム神父の紹介でその道に詳しい人を尋ねます。
スーザンも彼女らを尋ねており、女性2人はあの世とこの世の2つの世界の話をしてくれました。
彼女たち曰くこの世とあの世は全く違う世界であるものの、時に向こうの世界を覗くことができる人がいるらしい。
それは死に近づいているものであり、そのものだけが向こうの世界を時々覗くことができるのだ。そして向こう側の人たちは常に愛するものの近くにいるのだ。
戻ってきたエイミーはマギーの死期が近いことを知る。
マギーを助けるためにはなんとかこの病院の不思議な出来事を止めなければならない。
エイミーはロイに頼んで過去のカルテを調査する。
しかし、膨大なカルテから有力な情報は手に入らないかった。
その夜にロイが転院のため子供達のおもちゃを片付けていると突然積み木が動いて触るな!という文字になる。
次の瞬間天井が崩れ、ロイは外に放り出されてしまった。
ロイの死体を見たエイミーはもはやフォルダーの隠蔽にも耐えられず、本格的な調査を開始することにする。
まずはすべての発端となる病院の二階から調べることにする。二階には非常用の階段があり、それをつたって二階に行くことにする。
二階ではシャーロットとマンディと書かれた写真を見つける。写真には患者の女の子と看護婦が書かれている。
また机からは何かのフィルムが発見される一通り二階を調べたところでエレベーターに人影が見える。
マギーの声で我に帰るエイミー。
急いでマギーと一緒に階下に逃げる。
階下に戻ったマギーはロバートと一緒に持ち帰ったフィルムを見ることにする。
フィルムには骨形成不全症、いわゆる骨粗鬆症で骨がもろくなり骨折しやすくなっている女の子の映像であった。
当時は医学の知識も少なく身体中に補助具を埋め込み身体を安定させるという原始的な治療であった。
フィルムには写真にのっていたマンディとシャーロットが写っており、彼女の呪いでサイモンたちが骨折していることを確信した。
しかし、疑問もあり40年も前のことが何故今起きているのか。
ただ、疑問はあるものの子供達を移送することが第一であることからフォルダーに他病院への転院をエイミーはお願いしにいく。
もはや言い逃れもできない状況のため、フォルダもしぶしぶ子供たちの転院を認めることにした。
病院へ向かう道でフォルダが病院の2階で起きた真実を話しだす。
骨粗しょう症の少女が運ばれてきて、担当のために看護婦を雇った。
彼女はとても仕事熱心で、少女も回復に向かっていった。
もう退院も近いというある日、彼女の病状が悪化し、再び骨折するようになってしまう。
おかしいと思った病院側は彼女をもう一度調べた。
その結果、少女の身体に問題はなく、骨折は看護師がわざと起こしたものと判明した。
看護師は子供たちの面倒を見るのが楽しく、少女たちと別れたくなかったというのが原因だった。
結果的に看護師はクビになってしまう。
しかし納得できなかった彼女は少女をベッドで殺害し、自分は少女がつけていた矯正器具をつけて、エレベーターに身投げしたという。
病院側で一度はそんな不祥事が起きたので閉院も考えたが、結局事件を隠蔽し、病院の2階を封鎖した。
そのころロバートは1人フィルムでシャーロットとマンディを見ていた。そして手術の場面で医師が持っているカルテ番号を見つけ改めてカルテをあさりはじめると衝撃の事実が発覚する。
カルテに書かれていた患者番号の名前はマンディであり、シャーロットはナースのほうであった。
少女たちが言っていたシャーロットは少女のほうではなく、ナースのほうであった。
つまり、子供たちが転院することを防ぐためにナースが子供たちを骨折させて邪魔していたのだった
そのころ、順調に転院の準備が進んでいた。
しかし、多くの子供たちが病院を脱出したあとでマギーがいないことに気づく。
マギーは以前落とした自分の毛布を拾いに2階に行っていた。
エイミーはマギーを助けるために2階へ向かった。
マギーを見つけたエイミーはマギーを抱きしめる。
その後ろには全身に矯正器具をつけたシャーロットが迫っていた。
エイミーはマギーを抱きかかえて、階段まで走り出した。
同じようにシャーロットがそれを邪魔するように天井や壁が崩れだす。
最終的に脱出することができたエイミーだが足に重症を負ってしまい、大量に出血してしまう。
ロバートは何度も心臓マッサージを行うが彼女は生き返らなかったが、最後にマギーがキスをするとエイミーは息を吹き返すのだった。
機械じかけの小児病棟の疑問や謎の解説・考察
列車事故の原因は?
作中に特に指摘はない。
ただ、シャーロットが転院させないためにわざわざ電車事故を起こして他の病院の空きをなくしたという見方もできる。
実際、運転士も志望しており、原因不明なことが多いという報道がされている。
サイモンはなぜ骨折したか
サイモンは転院が決まっていた子供たちのうちの1人で、転院を阻止するためにシャーロットがわざと骨折させていたものと思われる。
シャーロットは誰だったか
シャーロットはマンディの看護のために専属で雇われた看護婦。
患者と離れたくなかったため、患者をわざと骨折させていた。
物語当初はシャーロットは患者の少女と思われていたために、いくらカルテを調べても記録がなかった。
なぜサイモンとエイミーの乗ったエレベーターは2階へ行ったか
シャーロットはとにかくサイモンを転院させたくなかったため1階で待っている救急車に乗せさせないようにしようとしていた。
エイミーはなぜ薬を飲んでいたか
エイミーは以前、患者を不可抗力で死なせてしまった過去があり、精神安定剤を飲んでいる。
彼女の口癖は「今度こそ助ける」というもので、過去の自分を責めている節がある。
彼女は休業中であり、スーザンが病休のため、臨時の看護婦に応募したものと思われる。
シャーロットを見れるのは誰か
シャーロットを見ることができるのは、向こうの世界を見ることができる人だけである。
それは死が近い人であり、マギーはその難病からそう長くはないと見られており、シャーロットが見れるものと思われる。
作中からエイミーもシャーロットを見ることができるが、これはエイミー自身の死が近いことにある。実際作品のラストでもマギーのキスがなければエイミーは間違いなく死んでいた。
なぜ今40年前の事件が起きているか
シャーロットに限らず、向こうの人たちは「愛しい人の近く」にいるものである。
シャーロットの場合この病院の患者こそ愛しい人であり、閉院により患者がいなくなる今こそ、患者を止めるために動いたものと思われる。
最後に
ラストはいまいちですし、設定として粗いところもありますが、ホラー映画としては純粋に楽しむことができます。
俳優さんも何だか見たことある脇役さんが多く出ていて作品としてはしっかり作っているものと思います。
お勧めの作品ですね。