映画ヒメアノールのあらすじとキャスト
【あらすじ】
めんどくさいから殺していい?
捕食者と被食者。この世界には、2通りの人間しか存在しない。「なにも起こらない日々」に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田。
同僚の安藤に、想いを寄せるユカとの恋のキューピッド役を頼まれて、ユカが働くカフェに向かうと、そこで高校時代の同級生・森田正一と出会う。
ユカから、森田にストーキングされていると知らされた岡田は、高校時代、過酷ないじめを受けていた森田に対して、不穏な気持ちを抱くが・・・。
岡田とユカ、そして友人の安藤らの恋や性に悩む平凡な日常。ユカをつけ狙い、次々と殺人を重ねるサイコキラー森田正一の絶望。
今、2つの物語が危険に交錯する。
【キャスト】
森田剛、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、山田真歩、大竹まこと、濱田岳
【スタッフ】
原作:古谷 実「ヒメアノ~ル」(ヤングマガジンKC所載)、監督・脚本:吉田恵輔、音楽:野村卓史
映画ヒメアノールのネタバレ感想
この作品は森田剛という彼にしかできないであろう役柄といわれています。
事前に監督も「この森田は森田剛にしかできない、たぶん映画を見てもらったらその意味がわかると思う」と言ってたとおり、森田正一に森田剛が必要な理由は映画を見ればよくわかると思います。
なんというか、森田剛の素を行く感じが映画を見ていて思ったところです。
もちろん森田演じる森田の演技は怖いんですが、この表現が難しく、演技だと感じさせない演技というのがなんともこの作品のいいところだと思っています。
濱田、ムロはさすがの演技ですが、「演技だな」というのがとてもよくわかるんです。
役を演じているっていう感じがとても強いのですが、森田剛の場合はもはや森田なんですよね。
彼は昔「学校へ行こう」を見ていたころからよく知っています。
無邪気な笑顔で、ちゃらい感じ。岡田君や三宅君と混じってV6の中では若い方ということもあり、弟分のように坂本君、長野君、いのっちにかわいがられている感じ。
でも逆に言うと、正統派イケメンの岡田君や甘いマスクの三宅君と違ってその彼の立ち居地がなんというか、ふわっとしていたというか、どこか悲しげに見えるのが実は森田剛なんじゃないかと思っていました。
つまり、残酷で悲しいって言葉が一番合うように思います。
森田の評価
さて、映画に戻ろうと思いますが、 最初のほうはとにかく、笑えますね。
ほほえましいというか、よくある邦画でのまったりと時間が流れる感じです。
始まり方もこれR指定の映画なんだっけ?って感じのふわふわした音楽ではじまります。
岡田と安藤のかけあいがおもしろく!ほほえましく見えて、一方の森田はそんなのほほんの中で「なんかおかしい人がいる」というスロースタートです。
なんだか民度が低いところにいそうなよくわからないことを口走るあたりは原作どおりなのかな?
質問に対する答えが答えになってなくて、路上喫煙について注意されたときに「もう吸ってませんから」という感じはもう危ないやつのオーラが出始めてましたよね。
映画の半分くらいでやっとタイトルが出てきてからの展開は早かったですね。
和草と彼女が森田を2人で殺そうって決めたあのシーンがなんだかとても印象に残っていて、例え和草が自首したとしても森田にはソースがわかって、彼女は殺されてたと思うし、あの2人には森田を殺すしか方法がなかったんだと思います。
もうひとつ印象に残ったシーンは森田が和草たちを殺すシーンと、岡田とユカのベッドシーンが一瞬一瞬交互になるところ。
あれはつり橋効果のように二つの生と死がいい感じで交差していたように思います。
和草たちを殺してからどんどんエスカレートしていき、何の関係もない人たちを、どんどん殺していくのはもう森田の本調子が出てしまった証拠でした。
中盤からクライマックスまでの殺人のシーンはヒメアノールの本調子が出たところかなという印象です。
これがなければヒメアノ~ルではないです。
駅で見つけた女の人をつけていってストーカーのように鍵開けた瞬間に襲うシーンなどは細かいですが、襲ってるときに生理ナプキンを普通に出してきたとこなんかは作品の本気度が伺えると思います。
ある夫婦の家で妻を襲って殺して、勝手にご飯を食べて、夫が帰宅して殺して、殺したらすぐご飯食べる、っていうシーンなんかも森田の壊れ具合がわかりますね。
ドスンとバイオレンスな重いのからまた急に安藤が宇宙人になったりとか、笑と恐が交互にきて不謹慎を超えて妙にマッチする。 安藤が襲われ、岡田とユカも追い込まれ、ユカが家帰ってきて窓の鍵が壊されてるって気付いた瞬間の凍りついた空気なんかはまさに作品のラストスパートという感じ。 警察きてどうにかして逃げようと岡田を連れて車奪って、またこの車乗ってた人もめった刺し、の上、車で頭轢かれる。
最後の最後まで狂気の森田だったけど、岡田の言葉で昔を思い出してしまって、気付いたら車の目の前に人と犬。
今までの森田なら何も考えずに轢いてた、でもとっさにハンドルきって避けたのはきっと犬がいたからだろう。 そのあとの回想シーンで、森田の時間は、きっとあの時から止まってるのでしょう。
映画ヒメアノールの最後に
忘れてはいけないのは彼はただの人間であるということ。まさに彼はサイコパスの演技をさせると天才です。
さて、一転して森田剛と最近結婚した宮沢りえ。
彼女も紙の月という作品で変わったサイコパスを演じています。
この二人が結婚して最高のサイコパス一家ができたのは実は映画ファンだけが知る楽しみでもあるのですね