ルーマニアで実際に起きた事件をもとに作られており一時期話題になった作品です。
ヨーロッパの映画は派手さがない分個々の底から怖い作品が多いですね。
キャストとあらすじ
出演: ミヒャエル・コーエン, オリビア・ボナミー
監督: ダヴィッド・モロー, グザヴィエ・パリュ
【あらすじ】
ルーマニアのフランス人学校に務めるクレモンティーヌ(オリヴィア・ボナミー)は、夫で作家のリュカ(ミヒャエル・コーエン)と静かな森の中の一軒家で幸せに暮らしていた。
ある晩、屋敷に近づいてきた何者かに脅かされ、リュカは脚を傷つけられてしまう。
恐怖を感じた2人は逃げようとするが、姿を見せない彼らに執拗(しつよう)に追い詰められていく。
【正体不明THEM-ゼム-のネタバレ】
冒頭は親子二人が立往生した車の中で襲われる。
特徴的なのは犯人の姿が一切出てこないこと。
相手がどんな姿か男か女かすらわからないまま二人は一瞬のうちに殺されてします。
ところ変わってリュカとクレモンティーヌの幸せな夫婦
ある日無言電話がかかってくることで雲行きが怪しくなっていきます。
そして、寝ている二人の家に何者かが侵入してきます。
物音に気付いた二人は外に出るとなんとクレモンティーヌの車が庭の端に止めてあります。
不審に思い近づくと車にエンジンがかかり、まるで今にもリュカを弾きそうです。
結局車はそのまま走り去ってしまいましたが。
クレモンティーヌは警察に電話をかけますが、相手にしてくれません。
そして突然のブラックアウト。
停電したため、二人はブレーカーを見に行きます。
そして一人様子を見に行くリュカは犯人に足を刺されて動けなくなってしまいます。
追ってくる犯人に対してバスルームに隠れる二人。鍵をかけて籠城します。
このままではまずいと思いクレモンティーヌは一人屋根裏から脱出する道を探しに行きます。
屋根裏で犯人の一人に見つかりますが、なんと一人を撃退地面にたたき落とすことに成功します。
怒るもう一人の犯人急いで彼女を追いかけますが、その隙にバスルームを脱出します。
外の森まで脱出した二人、奇声を上げながらおいかけてくる犯人
足を負傷しているリュカはクレモンティーヌに一人で助けを呼びに行くように伝えます。
真っ暗な森の中で犯人と追いかけっこするクレモンティーヌですが、捕まってしまいました。
叫び声が聞こえる中でクレモンティーヌを助けに行くリュカ
そして洞穴まで来たリュカが見たのはなんと二人の子供がクレモンティーヌを拷問していました。
リュカは迷わず一人を撲殺
もう一人はなんと二人を出口まで連れて行ってくれそうな雰囲気。
追いかけてくる男女の大人の声
しかし助けてくれそうだった男の子もなんとリュカを階段から蹴り落とします。
クレモンティーヌが男の子を殺そうとするとかわいい声で「やめて、僕は遊びたいだけなのに」と命乞い
しかし、クレモンティーヌが殺さないとわかると「こっちだ!」と裏切る始末
最終的にもちろん男の子が案内してくれた道は出口なんてありませんでした。
もちろん夫婦ともに殺害されます。
犯人たちはなんと10歳から15歳の子供たちでした。
そしてその動機は「だって、遊んでくれなかったから」だそうです。
最後に子供たちはバスに乗ってでかけます。おうちに帰るのか学校へ行くのか。
日常へ帰っていきます。
【正体不明THEM-ゼム-を見終わって】
このお話最大の魅力はルーマニアで実際に起きた実話であるということ。
もしその事実が泣ければ正直退屈な映画であると言わざるを得ないでしょう。
この手の映画は作り方が難しいと思います。
日常のありきたりな部分と非日常のスプラッタな部分を作る同時に作ることで身近な恐怖を引き出すことができると思いますが
明らかに殺人鬼である子供たちの日常部分が抜け落ちています。
本来であれば最後のバスに乗るシーンだけでなく家でどんな子なのか、友達はいるのか、普段は何をして遊ぶのか
などが描かれているととても感情移入できるし、非日常の恐怖感が倍増すると思いますが、そのシーンは全くありません。
実話に即しているせいか非常にシンプルなつくりの映画で、犯人から逃げる夫婦も特に逃走シーンではらはらドキドキするようなところも少なかったように思います。
最後の「だって遊んでくれなかったから」という動機もできれば子供のほうから「おじちゃんおばちゃん遊んでー」ぐらいのブラックさがあってもよかったと思います。
それこそ二人を縛り上げて死のゲームをするくらいの流れがあればその動機も納得ですが、これでは脈絡のない単に頭のおかしい人という設定で終わってしまい、映画にするほどの話ではないですね。
最後に
グロもほとんどないので見やすい映画だと思いますが、ホラー好きな人にとっては人味足りないですね。
実話なのは怖いところですが、わざわざ映画にするのであればやはり味付けをもう少しすべきでしょう。
あまり素材に忠実すぎてはドキュメンタリーであって映画でなくなってしまいますから。