テリファイドの評価
★★★★☆
アルゼンチンが舞台のホラー映画テリファイド。
ホラー映画として古典的な展開を見せる映画ですが、出来の良さはピカ一です。
余計な設定などなしに、むしろ必要なところを残したシンプルイズベストを証明する作品でしょう。
ホラー好きにはぜひ見てほしい作品です。
テリファイドのあらすじ
ある住宅街でホアンの妻はいつものように家事をしていると、ふと排水溝から声が聞こえるような気がして不気味がります。また、ある日の夜ホアンは隣の人間がドンドンと壁を叩く音に腹を立てていると、なんと妻が意識不明のまま宙に浮き、壁に頭を打ち付けていました。ホアンはそのまま妻の殺害容疑で捕まってしまいます。
また、隣人のウォルターはリフォームの最中に人の気配を感じます。ある日、ビデオカメラを仕掛けて自分が寝ているところを撮影すると白くやせ細った化け物のような生き物が家を徘徊しているのを目撃し、そのまま行方不明になってしまいます。
また、別の日にウォルターの家にアリシアの息子が近づくとまるで不可解な声に導かれるかのようにバスに轢かれてしまいます。
しかし、不思議なことはそれだけでなく、その息子が数日後墓から死体のままアリシアの元へ帰ってきたのです。
一連の怪奇現象に対して刑事のフネスは、超常現象に詳しい検視官のハノを呼び、相談します。また、以前ウォルターが超常現象について相談していたアルブレック博士も、ウォルターの家を調べていました。
フネスはアルブレック博士たちとともにこの街で起きている不可解な事件を調べることにします。
テリファイドのネタバレ感想
未体験ゾーンの映画たち2019で一際異彩を放っていた映画がこのテリファイドです。
アルゼンチンホラーというだけでワクワクしながら、さらにパッケージの特殊メイクのクオリティからも作品への期待度が高まります。
特殊メイクの感じは映画ゲヘナっぽい感じのおじいさんのような化け物が出てきます。
Netflixで早くから配信を開始し、最近見たホラー映画では一番怖かった作品です。
化け物万歳ホラー
最近のホラー映画はどうしても主人公が強かったり、悪魔祓いできたりで主人公のキャラが立っているものが多かったです。しかし、今回のこのテリファイドではあくまで話の中心は終始化け物にあります。
病気持ちで退職間近の警官に、超常現象に興味満々な検視官、小ぎれいにして写真と怪しい器具で対抗しようとするおばあさんというベストメンバーで臨んだ本作はまさに大敗。
化け物に成す術もなく、奴らを退治するどころか、むしろ本人たちもしっかり化け物になってしまい仲良くダークサイドに落ちる始末でした。
でもこれでいいんだ、と私は思います。
ホラーは人を怖がらせるために作られるのであれば、もうそこに出てくる人間というのは、ライオンの檻に入れられた生肉のようなもので、あとはもう主役の化け物に煮るなり焼くなりしてもらうしかないかなというのが本音です。
化け物に細かい設定は不要
作中でもハノやアルブレック博士がさも知ったような口で「この現象はね、光と闇のようなもので、異なる2つの現実が同じ空間と時間に存在するんだ」という説明をしますが、視聴者らすれば「ふーん」というレベルの話。
この映画ではそのあたりの細かい設定はざっくりと切り上げて、とにかく怖い描写を取り入れていることに命をかけていていいですね。
開始からアクセル全開
一番印象に残ったのはやはりはじめのホアンの妻が壁に頭を打ち付けている部分でしょうか。
全体的に暗い描写なのが寂しいテリファイドですが、ホアンの妻の衝撃的なスタートの部分はしっかり明かりの中で行われ、度肝を抜かれました。
日本人には実は目に見える悪魔よりもこういうポルターガイスト的な霊の仕業のような描写のほうが心に刺さる(?)ように思います。
個人的にホラー映画今まで見てきた中で10本の指に入りそうなシーンです。
また、他にはアルブレック博士がぐちゃぐちゃになっちゃったシーンなんかも最高ですね。
まるでサイレントヒルというかやばい生き物を見てしまったという後悔と興奮を感じます。
最後に
もうすでにハリウッドでデルトロ監督でリメイクが決まっているという作品ですが、それも納得です。
最近の小難しいホラーよりもシンプルでとにかく衝撃的なシーンが多いのが特徴です。
怖いシーン好きなホラーファンにはぜひとも見てもらいたい作品でした。