映画ゲヘナ~死の生ける場所~の評価・あらすじとネタバレ感想

ゲヘナ

ゲヘナ~死の生ける場所~の評価

 ★★★☆☆

サイパンの防空壕で起きるホラー映画です。

洋画らしいクリーチャーの生々しい造形と、脚本や演出は邦画のような作品に仕上がっているのは監督の片桐裕司だからこそできる作品です。

ラストのオチもよかったですし、ホラー映画としてはよくできていると思います。

ただし、一生懸命作った分もう少し不協和音が欲しかったところ。

ゲヘナ~死の生ける場所~のあらすじ

ポリーナとタイラーはリゾートホテル建設の下見のためにサイパン島を訪れます。

現地でコーディネーターをしてくれているアランとペペ、そしてカメラマンのデイブと共に候補地を見ているとジャングルの中に地下に続く階段を見つけます。

現地調査を続けるポリーナたちが中に入ると、中には何人もの死体があり、そこは旧日本軍が立てこもっていた秘密基地でした。

さらに奥の部屋には不気味な老人がいて、アランに襲い掛かります。

驚いたアランは老人を突き飛ばし、殺してしまいます。すると次の瞬間、爆発が起こり、彼らは気絶してしまいます。

彼らが目をさますと同じ場所のはずなのに死体や老人がいなくなっており、入り口の扉が閉められていました。

そしていつしか彼らは幻覚や幻聴を見るようになります。

ポリーナとタイラーが調べを進めていくとその場所はかつて地元民族を迫害したスペイン人に呪いをかけた場所であることがわかります。

その場所に入ったものには呪いがかかり、永遠に苦しみ続け、最後に残った一人はその苦しみの証人として永遠に生き続けるのです。

モリーナたちは呪いをかけるのに使った人形を揃えれば呪いが消えるかもしれないと一縷の望みを託します。

ゲヘナ~死の生ける場所~のネタバレ感想

日本人監督の片桐裕司が監督を務めるホラー映画作品ゲヘナです。

サイパンの美しい風景の前半とは打って変わって、後半はそのほとんどが薄暗い防空壕の中で展開されるホラーです。

未体験ゾーンの映画たち2019で話題になった作品の感想を書いていこうと思います。

純粋に怖い

まず言いたいのは「怖い」ということ。

洞穴をくぐった先は戦時下に防空壕として日本軍がこもっていた場所でした。

薄暗い中で見つけてしまった謎の人、ガリガリにやせ細り、光が無い中で肌は白く、眼は退化してまるで、ロード・オブ・ザ・リングに出てくるゴラムのようです。

元々多くの映画でメイクアップアーティストとして参加し、ハリウッドで力を鍛えたので、もちろん映画の主題とメイクアップがかなりマッチしていて素晴らしい作品に仕上がっています。

ラストへの伏線の回収

洞穴にいる化け物(人間)に襲われるといえば映画「ディセント」が想起されますが、このゲヘナでは化け物(人間)が激しく襲ってくるわけではありません。

むしろ、洞窟にいた人間は襲ってくるどころか「お前、一番に死ね」という言葉とともに力つきるという謎が謎を呼ぶ展開になります。

ポイントは「お前、一番に死ぬ」ではなく「死ね」なんですよね。

はじめは訳語のミスかと思いましたが、これが後に大きな伏線の回収になってくるんですよね。

 真面目ゆえにもう一歩

日本人らしい作品で、真面目な作品になっています。起承転結がしっかりしていて、むしろ起承転結をしっかり考えて作っている分、途中が間延びしたり、展開が一本道で通り一辺倒だったりするという課題もある作品だと思います。

どうも日本人は真面目すぎますね。

ちょっと脱線して不協和音のように登場人物たちをもう少し掘り下げてみたり、クルー同士のやりとりがあったり、タイムループしている証拠をもう少し出したりしてもよかったかなと思います。

ゲヘナ~死の生ける場所~の最後に

全体的に満足なホラー映画です。

クリーチャーの造形が素晴らしいのでそれだけでも十分怖いですね。

はじめは出てくるのがガリガリの人間なのか化け物なのかわからなかったのですが、後に明らかになっていく事実は見終わった後にスッキリするようなしないような、、、

日本人のハリウッド作品としてぜひご覧ください。