評価・レビュー
★★★☆☆
チャイルドプレイ(2019)はチャイルドプレイのリブート版です。
リブートはリメイクと違い、設定や世界観がもともとの作品と違うケースが多く、このチャイルドプレイ(2019)も設定や展開が大きく変わっています。
結果的に、面白い題材がそろっていたにも関わらず作り込みが甘いかなと思いました。
そのため、チャイルドプレイと思わなければ満足できる作品、チャイルドプレイのリブートと思うと少し物足りなさを感じる人が多いように思います。
映画あらすじ
ベトナムのとある工場。ここでは最先端テクノロジー企業・カスラン社の新商品で、音声認識やセンサー付きカメラなど高度な機能を備えた人形”バディ人形”を作っていました。
男は上司からクビにされた腹いせに一体の人形の暴力性や言語性のリミッターを解除して出荷します。
ところかわり、アンディはシングルマザーの母親と街へ引っ越してきます。母親は嫌味な恋人と付き合っており、ある日例の人形をプレゼントしてくれます。
人形は”チャッキー”と名乗り、アンディーが一番の親友だとしゃべりだします。
引っ越してきたばかりで友達がいないアンディーにとってチャッキーは一番の友人になりました。しかし、アンディーはこの人形が高度な知能だけでなく、破壊的な衝動を持っていることに気づき始めるのでした。
ネタバレ解説・感想
チャイルドプレイは元々は犯罪者の悪しき魂(意識)が人形に宿ってしまい、チャッキーという人形が自由意思を持ち、次々と人々を殺して回る作品でした。
しかし、リブート版の本作では、チャッキーはAIを搭載したハイテク人形であり、もはやロボットというほうが正しいものになりました。
これにより、いくつかの影響が作品に出ました。
いい影響
まず作品にリアリティが出ます。
犯罪者の意識が流れ込む人形というSFではなく、「ありえるかも」というより現実味のある内容になります。子供は時に残酷な存在です。思ってもいなくても「いなくなっちゃえ」とか「死んじゃえ」なんかの言葉を言ったり、バッタを捕まえて足を引っこ抜いたり、純粋ゆえにブレーキがありません。チャッキーはまさにその子供の純粋かつ残酷さを完全に受け入れたのです。
ただ一つ、チャッキーが普通の子供が違うのは精神能力の成長よりも学習能力が格段に高いということです。つまり、殺す、ということについて実際に実行できてしまうということです。
また、二つ目のいい影響として純粋なチャッキーが見れるということです。
原作でのチャッキーは完全悪に近い存在でしたが、本作のチャッキーはあくまでも学習を重ねて悪事を知っていくので純粋な心を持った0の状態からスタートします。そのため開始40分くらいはかわいいチャッキーを楽しむことができます。
いまいちな影響
残念な部分としては開始60分くらいはチャッキーがおとなしいのでつまらないということです。
純粋な作品としてはこれでいいのですが、チャイルドプレイファンの多くはチャッキーの大暴れを見たかったのだと思うのですが、中々チャッキーが殺人について学習し終わらないのです。
これについては賛否両論あるのでしょうが、個人的にはもう少し早くチャッキーには殺人に取り組んでほしかったところです。
作りこみが甘い
個人的には微妙な評価になってしまった本作ですが、最大の原因は作りこみにあります。
「いまいちな影響」でも書いた通り、展開が遅いです。ラストのショッピングモールでの大乱闘まで、静かにゆっくり進んでいくのでそこを退屈に感じてしまいます。
そして、チャッキーの純粋さはもう少し丁寧に描いてもよかったかもです。
はじめにベトナムの技師がいじったのはリミッターだけなので、もっと純粋な愛らしいチャッキーがあればもっとその後の変貌に濃淡がついたかもしれません。
登場人物もいまいちな存在です。
母親はシングルマザーですが、ダメ男にうつつを抜かし、子供の前で性行為をし、店の商品を勝手に持って帰るいまいちな女です。
友人たちもあまりぱっとしない感じですし、印象に残るのは警察官ぐらいでしょうか。そこの設定もしっかり作って欲しかったところです。
最後に
それでも殺人描写なんかは気合入って作られて、無邪気に残酷なところはグッドです。
リブート作品というのは続編ができやすい傾向があるのでもしかしたらこの続編も作られるかもしれません。続編に期待です。
ちなみに私は同じ監督・制作チームのポラロイドという映画のほうが好きです。