前作ディセント(Descent)からの続編です。監督はこの映画初の監督作品であるジョン・ハリス。以後ジョン・ハリス監督の作品は少ないため大変貴重な作品になっています。それでは今回はディセント2のあらすじから感想(ネタバレ)までをどうぞ!
登場人物
サラ
前作からの生き残り、洞窟探検から生存して保護されたが短期的に記憶喪失になっていた。洞窟に生き残りがいないか捜索隊に加えられるが、洞窟内で記憶を取り戻し怪物たちから逃げるために奮闘する。1年前に子供を事故で失っている。
ジュノ
サラの友人で前作でサラと一緒に洞窟に入った生き残り。サラの夫と浮気をしており、前作でサラに洞窟に置き去りにされた。
ヴェインス保安官
サラを保護した保安官。自分が思ったことを曲げない強引な性格。ジュノたちが生きていると信じて捜索に参加する。サラを疑っている。
リオ
ヴェインスの部下で一児の母。記憶をなくしたサラを気遣いながら洞窟内ではサラを頼りにしている。
ダン
洞窟の捜索隊のリーダー。保安官の独善的行動に嫌気がさしている。
グレッグ
ダンの部下。キャスに惚れている。
キャス
ダンの部下。落石で一人孤立してしまう。
あらすじ
(前作の続き)未知の洞窟探検から一人生き残ったサラは血まみれの状態で森で保護されます。保安官のウェインスとその部下リオはサラから事情を聴こうとしますが彼女は数日の記憶がなく、捜査は一向に進展しません。同じころ捜索チームを指揮するダンたちもジュノたちの足取りをつかめずにいました。
保安官はほかに生き残りがいないか探すためサラが見つかった場所から警察犬を放ちます。しばらくすると警察犬が古い廃坑の入り口を見つけます。その廃坑はもう何年も使われておらず、入るのは危険だと止めました。
ダンのチームと保安官たちは生存者がいる可能性があるためその廃坑に入ることにします。道案内のためサラに同行してもらいます。道を進むと「立ち入り禁止」の看板が出てきますが、彼らは前に進みます。洞窟を進むとそこには女性の死体が出てきます。彼女の死体は落下や落盤の事故というより明らかに何かに襲われた跡があります。
ウェインス保安官はサラが同行者を殺したことを疑います。サラも死体を見て少しづつ記憶が戻り始めます。それは洞窟に住む人食いの化け物の記憶でした。
記憶を取り戻したサラは混乱とともに一人走り出します。逃げたサラを保安官は一人追いか、ダンたちも保安官に続きます。しかし、そこで例の化け物が現れ彼らを襲います。保安官が持っていた銃で発砲したため落盤が起き、キャスが孤立します。先に進むダンたちは彼らの巣のような場所にたどり着きます。動物の骨のようなものが散乱するその場所でダンが襲われ命を落とします。サラに助けられたリオはサラと行動し、グレッグは落盤ではぐれたキャスと合流します。
一人でサラを探していたウェインスですが、化け物に襲われたところを生き残っていたジュノに助けられます。グレッグとキャスは化け物に襲われ殺されてしまうのでした。
結末ラスト
サラと合流したジュノたちは、ジュノの提案で彼らが地上へ狩りに行くときに使う地上への道から脱出することにします。しかし、そこは彼らのたまり場であり、道中保安官が殺されてしまいます。生き残った、サラ、ジュノ、リオは三人で地上の道を目指しますが、あまりの化け物の数の多さにサラとジュノがおとりになり、リオを逃がします。
一人地上に逃げ出せたリオは携帯電話で助けを呼ぼうとします。しかし、炭坑の持ち主に殴られ気絶します。彼はリオを引きずりまた穴まで連れ戻し化け物たちに襲わせるのでした。
ネタバレ感想
映像編集のスペシャリストのジョン・ハリスをご存じでしょうか。キックアスやキングスマン、127時間など多くの作品で映像編集で活躍してきた彼が初監督した作品こそこのディセント2なのです。
私が見るような作品、それこそディセントやバイオレンスレイクなどのホラー映画でも活躍する彼ですが、だからこそ洞窟ホラーという難しい映画をよくぞうまく編集したものです。
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簡単にディセント1をおさらい
年に一度の冒険旅行で、アパラチア山脈奥地の巨大洞窟を訪れた6人の女たち。スリリングな洞窟探検を楽しむ中、突然の落盤で出口をふさがれた一行は、迷路のような洞窟内で別の出口を探してさまよう羽目になる。言い争いから仲間割れが生じ、ヘッドランプの電力も残りわずかとなった矢先、暗闇から何者かが襲いかかってくる。
つまりこのお話は前作ディセント1からの正式な続編ということです。展開はほとんど同じです。グループが洞窟に入り、そこにいる謎の化け物が襲ってくるというのがこの映画の大きな流れです。
前作を見ている人からすると「サラは洞窟から逃げ出してないのでは?」と思うところです。前作では非常にあいまいなラストで外に出たと思ったら夢落ちだったというような話でした。その点はこちらをご覧ください。
ですが、2は完全に前作の続きとなっているので1のラストで最終的にサラは外に脱出できたことがわかります。
大きな3部構成
物語は大きく3つの構成になります。まずは導入部分でサラが生きていて記憶喪失で再び洞窟に舞い戻ってしまうくだり。次に2つ目がサラの記憶が戻り、捜索隊が奮闘するくだり。最後にジュノが現れ脱出するくだりです。パニックものとしては2つ目の洞窟内での捜索隊の奮闘こそ見どころですが、ディセントファンからすると3つ目のジュノが生きていたところは何とも驚いたのではないでしょうか。
そして、本作はジュノとサラのそれぞれの罪を償うために作られたといっても過言ではありません。
私は前作でラストのサラの境遇について2つの仮説を述べました。それは①人生への絶望と②生きることへの執着です。結果的にこれはどちらも正しいといえるように思います。
つまり中盤サラの記憶がもどり奮闘する部分は生きることへの執着であり、これこそが化け物に勝る唯一の武器でした。しかし、一方でラストに近づくほど彼女は人生の絶望さえも思い出します。彼女はすでに夫と子供を事故で失っています。しかもジュノまで一度見殺しにしました。彼女にとってリオは生きるべき人間で、自分は必ずしもそうではありませんでした。
ラストでサラが大声を出しオトリになったことはまさにその表れでしょう。
ジュノの罪は前作で明らかになりますが、一つは夫の浮気相手であったことです。それが間接的にですが交通事故につながることとなりました。
ラストの解説
特に興味深いのはラストでサラを見つけた男がリオを襲ったことでしょう。炭坑の持ち主でもあるこの男は明らかにその下の洞穴に化け物がいることを知っているようでした。それを理解しているからこそ穴の近くにリオを置き襲わせたのですから。
彼は何者なのか?ちょい役でしか出てこない彼なので確定的なことは言えませんが私なりに仮説してみましょう。
化け物は彼の家族説
炭坑は彼の所有財産でそこには金銀財宝が眠っているといわれていたそうです。かつて彼の祖先も地下に潜っては帰ってこなかった、と言っていたとおり炭坑の男の家族が実はあの化け物だったらどうでしょうか。
実は今回化け物の中に女性が混じっていたことに気づいたでしょうか?やはり化け物は何らかの原因による人間の成れの果てとみるのが一番納得いく話であり、男の家族の成れの果て、と考えれば男はひそかに彼らに食べ物を与え、世話をしていたのでしょう。
さて、ラストがまたまた少しあいまいに終わってしまいました。謎があるということは続編が作られてもおかしくないかもしれません。ディセントは洞窟ホラーとしてもモンスターホラーとしてもとても出来がいい作品なのでぜひともご視聴ください!