MEG ザ・モンスターの評価
★★★☆☆
一言:お金をかけたB級映画
長らく不在だったサメ映画の長大作です。
シナリオは王道中の王道、ヒロインがピンチになってそれをステイサムが助ける。
特別なものを期待せずに、期待したものを見せてくれる映画だと思ってください。
サメ映画ファンにとってはそれだけで大満足の映画です。
(映画としては普通ですが、、、)
MEG ザ・モンスターのあらすじ
レスキューのプロのテイラーは沈没した原子力潜水艦から乗組員を救助しようとしますが、突如轟音とともに沈没し、やむをえず一部の乗務員を置いて脱出します。
乗組員の一部が彼を責め、彼は仕事をやめてタイで酒に溺れていました。
ところ変わり、中国の海洋研究所「マナ・ワン」ではジャン博士の指揮の元、マリアナ海溝の海底探査を行っていました。
調査のため探査艇で深海にもぐっていたメンバーが、深海の未知の生物によってアクシデントに巻き込まれます。
すぐ救助のためにテイラーに声がかかりますが、ジャン博士の娘スーインが救助に向かっており、テイラーも後を追い海底に向かいます。海底に到着した2人は救助を開始しようとするが、200万年前に絶滅したはずの巨大生物メガロドンが現れ襲いかかります。
彼らは巨大な鮫のメガロドンから無事に逃げることができるのか。
MEG ザ・モンスターのネタバレ感想
まずこの映画の感想を述べる前に、鮫映画についての大前提を話さなければなりません。
鮫映画のさきがけとなったのはご存知スティーブンスピルバーグの「ジョーズ」です。
1975年に公開されたこの映画は、映画のスリリングな内容や独特の緊張感ある映画から鮫のパニック映画のブームを作った作品です。
その後鮫ブームが来る!と思いきや、やはりどうしてもパニック映画自体がそれほど一般人受けしないこともあり、鮫映画は一度B級映画というアングラへと組み込まれることになります。
サメ映画は地雷
B級映画界隈の人間であれば口をそろえて「鮫映画は地雷」というでしょう。
というのも純粋な鮫映画というのは撮影が難しいのです。
通常の動物と違って鮫などの魚は実物での撮影が難しく、またCGで作るとどうしてもちゃちくなってしまうのです。
それをさらに海の中とすると鮫CG+海CGでもはやグラフィックデザイナーの腕ですべてが決まってしまいます。
加えて鮫が人間を襲わせるシチュエーションも難しいのです。
撮影に金がかかる
鮫が人間を襲うにはビーチが最適ですが、当然ビーチを貸しきって撮影を行うと金がかかります。
ゾンビ映画や恐竜映画であればたとえば、適当な野原や山で人がワーキャー逃げればいいのですが、ビーチではそうはいきません。
さらに鮫の最大の弱点があるのです。
サメは陸に上がれない
100歩ゆずって人がいないビーチをゲットしたとしても「鮫だ!」で、「よし陸に上がろう」で終わってしまうのです。
結局鮫は陸には上がれないのでパニック映画としては1つも2つも設定を考えていかないといけないのです。
だからこそ鮫映画は独自の路線で進化してきました。
メカになったり、頭が3つ4つ5つと増えていったり、竜巻に乗って陸地に乗り込んだり、ゾンビになったり、地面を移動したり、パロディーではない正統派3流映画として独自の作風を追及してきました。
長くなりましたが、鮫映画は長らく王道超大作を不在としていました。
現れた大作
ここまでくれば展開は読めると思いますが、MEG ザ・モンスターは大作です。
制作から広告まで含めると4億ドル近いコストをかけているこの映画は、映画の出来不出来にかかわらず、映画ファンが求めた「まともな鮫映画」なのです。
一流のキャストに深海から白い砂浜まで妥協を惜しまずに場面設定を作っていきます。
あの鮫の尾ひれひとつとってもCGのクオリティを感じます。
日本でも深海ブームがあるように、深海はまだ人間がたどり着いていない未知の領域なのです。
そこに現れたメガドロンは陸に上がれなくてもそれでも人間に恐怖を与えられるひとつの鮫映画の形なのかもしれません。
展開はノーマル
いい意味でも悪い意味でも展開は極めてノーマルです。
「普通」
通常はこの言葉は悪い評価として使われることが多いのでしょう。
しかし、久しぶりにちゃんとしたい鮫映画が見たい、と思う人たちの悲鳴にも似た渇望はこの「普通」で十分満たされるのではないでしょうか。
中国資本の影響
確かに今回は中国資本で作られた作品ということも個人的には新鮮でした。
日本人のトシは当然死んでしまいますし、中国人のスーインは常に正論を振り回す割りに、気分やで好き勝手動き回り周りに迷惑をかけます。
振り回されるステイサムを見ると、なんだか今の国際情勢っぽいな~という感じで妙にしっくりきてしまいました。
最後に
これをきっかけにサメ映画のブームが続いてほしい物です。
モンスターパニック映画の新しい1ページが出来上がった、そんな作品です。
ちなみにジェイソンステイサムは元々飛び込みの選手だったこともあり、泳ぐフォームがとてもきれいですね。さすがにサメ相手に泳いで逃げようとするのは無謀でしたが。