映画31の評価
★★☆☆☆
一言:ロブ・ゾンビが苦手。
グロ系映画の注目監督と言えばロブ・ゾンビ監督。
マーダーライドショーをはじめ多くの気持ち悪い映画を作る監督で、私の得意範疇の人のはずなのですが、、、、正直言うとロブ・ゾンビの作品はそんなに好きではないんです。
もちろん、スプラッタやグロは一通り入っているのでストライクゾーンにはしっかり入ってくるのですが、興奮して見終わった時の満足感というと、、、それはないんですよね。
それは彼の作品自体が正直薄っぺらい恐怖だったりするからでしょう。
この31はマーダーライドショーほどのインパクトはなく、普通に見るには変態ばっかりの中途半端な作品なんですよね。
そこらへんは後程しっかりと。
映画31のあらすじ
ハロウィンの日のある日、サーカスの一行チャーリー、ロスコー、ヴィーナス、リヴォン、パンダの5人は車で行脚中に拉致されて巨大な廃墟に監禁されてしまいます。
そこには顔を白く塗った貴族のような老人たちが「31」(サーティーワン)というゲームを開催しており、彼らは強制的にそのゲームに参加させられます。
「31」はハロウィンの日に開催されるデスゲームで白塗りのピエロの格好をした殺人者集団を相手に12時間後に生き残っていたものだけが自由になれるという過酷なものでした。
5人はそれぞれの武器を手に殺人集団と闘い、出口を探しますが、一人また一人と仲間がやられていくのでした。
映画31のネタバレ感想
ロブ・ゾンビ監督の世界観が苦手と言いました。
ちょっと悪口になってしまいますが、まずはその部分を。
出オチのメイク
マーダーライドショーでもあった白塗りメイクのピエロ。確かに怖いんですが、もはや単に顔を白く塗った変態なだけで、2人目、3人目も白塗りの顔でもイマイチ新鮮味がないわけです。
しかも多くが「これやったらグロいんじゃね?!」という高校生のノリのような出オチの演出が多いのです。
例えば、意気込んで出てくるピエロたちは出てくるときはとても強そうなのですが、いざ戦ってみるとサーカス団員と互角の戦いを繰り広げ、結果的に負けると言う始末。
セリフはいっちょ前
いいところでもあり悪いところでもあるのは、セリフです。
とにかくこの映画では不気味な恰好をした白塗りの変態野郎がでかい口を叩いて相手を威嚇し、結果的にサーカス団員にボコられるという展開が3、4回続きます。
口だけはかなりのビックマウスで相手を威嚇するのですが、これも戦闘にいざ入ると、キレがないというか、中々相手を殺せないわけです。
相手によってはチェーンソーVSバットみたいな明らかに武器のレベルに差があっても一人も殺せず死ぬという場面も。
結局、結果が命というか、殺人鬼なら人を殺した数で勝負すべきところを、全然相手を殺しきれてないわけですよね。
浅い演出
まだまだ続きますが、とにかく視点はいいものの演出が浅すぎます。
「仲間の人間を食べさせたらいいんじゃね?」
「ナチス掲げてるピエロとかやばくね」
「やっぱチェーンソーでとりあえず裸の女をズタズタにしよう」
など2秒ぐらいで思いついたことを即実行するその姿勢には感心しますが、その見せ方はあまりにもお粗末です。
脈絡もなく人間が料理されたディナーが出されたり、突然ナチスを身体に書いたやつが出てきたり、一体なぜそうなったのか地面に固定されている女がいたり(味方なのか、敵なのかも不明)、と前後の脈略やそのフェードアウトの仕方があまりにも雑で全体の「殺人ゲーム」の雰囲気から浮いてしまっているのです。
残念なラスト
そして、今回もっとも微妙なのがラストです。
ラストでチャーリーが生き残った者の、フラフラになっているところがゲームの終わった殺人鬼が狙い撃ちするという「?」という展開です。
いやいや、そこはゲームに勝って生き残ったんだから見逃そうよ、という話です。
結局ルールも関係なく、頭のおかしい人たちを1時間半見るのであればそれはもはや映画と呼べるものではないでしょう。
それでも頑張ってる
色々批判はしたものの、目指そうとしているところはおおむね賛成なのです。
ストレートにグロとスプラッタを表現しようとするロブ・ゾンビ監督の姿勢は大変に評価できるものですし、バカバカしいメイク(というより仮装)ができるのもこの監督のいいところであり、今のありきたりな映画が多い中ではどうしても色々と期待してしまうのです。
最後に
デスゲームといえばSAWが有名です。あれもグロ描写があるのですが、やはりゲームに注力しているだけあってかなりのシナリオのクオリティです。
対して今回の作品の題材や設定はとっても興味深いものの、いかんせん話としては退屈、と言わざるを得ません。
マーダーライドショーでのあの新鮮な気持ち悪さをもう一度ぜひ見たいと思っていますのでこれからも応援してますよ、ロブ・ゾンビ監督!