映画ドクムシの評価
★★★☆☆
電子コミックで350万ダウンロードされた話題の作品です。
日本では最近めっきり減ってしまった数少ないスプラッタ映画ですが、こういった作品がもっと世に出てほしいです。
正直に言えば「いい出来」とはいいがたい作品ではあるのですが、日本の絶滅危惧種としての「スプラッタ」への応援をこめて★3つとしました。
当然ですが血の描写が苦手な方などは見ないことをおすすめします。
映画ドクムシのあらすじ
教室のような場所で目を覚ました大学生のレイジ。
自分がいるのがどこかわからず直前の記憶もない彼はうろたえながら部屋を出ようとします。
すると建物を探索していたキャバ嬢のアカネや新聞記者のユキトシらと遭遇します。
彼らは出口になりそうな場所を探しますが、すべてシャッターでふさがれてありません。それどころか、監視カメラのようなもので見張られているような気もし、部屋には何かのカウントダウンのようなものが表示されています。
さらにある部屋には鎖につながれた肉切り包丁と巨大な鍋を目にして恐怖を感じます。
やがて、ユキトシが自分たちが蠱毒というゲームのいけにえにされていると叫び始めます。
それは特定の場所に7人の男女を7日間にわたって監禁し、殺し合いをさせるゲームだといいます。
彼らははじめは話半分に聞いていましたが、暗闇や空腹への不安からそれぞれに疑心暗鬼になり、一人また一人と殺し合いがはじまってしまいます。
映画ドクムシのラスト結末
カウントがゼロになり、アカネとユキトシを殺したレイジは「ここから出せ」と叫びますが、それに答える相手はいませんでした。
数日後、シャッターがあき、レスキュー隊員が現場に踏み込むと部屋の惨状に絶句します。レイジは彼らに救出され病院に運ばれます。
病院で治療を受けていたレイジは驚愕の事実を知ります。
レイジたちは大地震で緊急救出された人たちで、監禁されていた建物は実は避難施設だといいます。
監禁されたと思っていたのは緊急システムが作動し、防御システムが作動しシャッターが下りたとのことでした。
カウントダウンは非常電源の残り時間を示すものでした。
包丁があった部屋は食料の貯蔵庫とキッチンとなっている場所だとのことでした。
つまりレイジたちは勝手に自分たちが殺人ゲームに巻き込まれたと勘違いして殺し合いをしてしまったのでした。
力なくレイジは「あれは蠱毒だ」といい続けました。
ドクムシのネタバレ感想
SAWやCUBEのようなシチュエーションスリラーが日本でも登場しました。監督は朝倉加葉子と一度は見てみたいなと思っていた監督さんの作品で少しの期待と不安で見ましたが、結果的に合格ラインは超えましたが、もう一歩ほしいラインだったなと思います。実際Yahoo映画でも2点台前半と低空飛行を続けている作品です。
それでは見どころも含めて感想を書いていこうと思います。
スリラー作品としての試み
はじめに触れたように海外では良作のシチュエーションスリラーが作られている中で日本はまだまだこの領域での名作というのは存在しないのが現状です。
理由は色々あると思うのですが、個人的には残酷な設定や描写に日本人が抵抗があるせいだと思っています。
スリラーとしての設定は十分でした。見知らぬ男女、見知らぬ場所、お互いの不信感、増える死体、もはや役者はそろったと言えるような内容で日本スリラー作品の幕開けを期待する試みだったと思います。
作品としての不足部分
それでも期待したほどの作品になっていないのはやはり内容の薄さが目立つところです。立派な舞台にスプラッタ描写も申し分ないにもかかわらず、評価が低くなってしまうのはシナリオが薄いというこの点につきます。
せっかくであればデスゲームを思いっきり楽しんでほしかったです。「絶対に生き残ってやるんだ」「てめーは許さない」「殺してやる」そんな怒号や叫びがこだまする作品を期待していた分、静かに飢えと戦いながら自分を正当化して人を殺すのがなんだか寒々しいと感じてしまったのが残念です。
最後に
ラストの結末オチについてはちょっとがっかりですね。
ある程度説明はつくのですが、さすがに肉切り包丁が裸で出しっぱなしってことは全く説明つかないですし、一時的な避難場所にしては避難物資も何もなく、しかも外に全く出られないシステムにしているのはちょっと違和感がありまくりです。
もちろん、それも蠱毒のしかけた裏工作というなら納得ですが。