映画オーマイゼットのキャスト・評価
【キャスト】
角田晃広(東京03)
ともさかりえ『100回泣くこと』
森下能幸『キル・ビル』『オケ老人! 』
萩原利久『ちはやふる・上の句/下の句』
【スタッフ】
脚本・編集・監督:神本忠弘
【評価】
75/100点
映画オーマイゼットのあらすじ
全国民を震撼させた “ゾンビパニック”勃発から5年後の日本。
事態は収拾し、いまやすっかり平和を取り戻していた。のどかな風景の町をゾンビが蝶を追って歩いていきます。
その後ろをヒロトがスマホで動画を撮影しながら追っています。やがてゾンビは花田の表札の掛った一軒家に侵入しました。その時中年の男、がヒロトに話しかけました。ヒロトはこの家の住人だと勘違いし謝っていると、さらに清野という男もやってきました。3人はこの家に入ったゾンビの話をし始めました。その時2階から男性が飛び降りました。この男性がこの家の住人で花田大輔でした。花田は家の中にゾンビが居るので警察に電話すると言いますが3人は携帯を貸しませんでした。隣の藤村という老人が結婚式に行くと家を出ていました。花田が藤村に鍵を預かり、電話を掛けるために家に入るとヒロタが電話線を切っていました。その時ゾンビの妻だと名乗る女性西岡が入って来ました。
警察に通報するという花田に対し、4人は自己紹介を始めました。土井は自分の経営する製作所が危機なのでゾンビを捕まえて売って金にしたいと言い、清野は解剖が趣味の研修医だと話し、ゾンビを解剖したいと言いました。ヒロトはゾンビを捕まえて動画を撮り、動画サイトでトップを取りたいと言い、西岡は夫に内緒で、衝動買いが増え、ゾンビを売って借金を返したいと話しました。そんな会話が続く中、花田の自宅に車が止まっていました。花田の妻の恭子が買い物から帰って来ていました。慌てて5人が見にいくと、恭子は洗濯物の取り込みでベランダにいました。2階には上がれないはずのゾンビが背後に迫っていました。ハシゴでベランダにかけあがった花田が恭子を助けました。そして6人は藤村の家に集まり、とりあえずそうめんを食べることになりました。
西岡が清野はドラッグストアの店員だと言って、清野は研修医でなくただの解剖オタクだと分かりました。ゾンビの処置について6人の話し合いです。ヒロトがゾンビの首に蝶の刺青があることに触れ、このゾンビはかつてのゾンビハンター『パピヨン木場』だと言いました。恭子はスーパーヒーローの木場の大ファンでした。土井の提案でゾンビを売って金を山分けしようという事で、ヒロトと清野が条件付きで納得し、花田以外は全員納得しました。唯一納得しない花田に対し、恭子が過去の浮気の話で脅し納得させました。ゾンビを捕まえるため、花田家に乗り込みました。ゾンビは倒れていました。ここで恭子がゾンビの口に手を近づけ噛みに来るゾンビの恐怖を味わう遊びをし始めました。怖がりながら楽しみますが恭子が手を噛まれてしまいました。恭子の腕を切断しようとする花田ですがうまくいきませんでした。そうするうちに西岡が清野に飛び掛かり仲間割れが始まりました。二人はメスで刺し合い倒れました。花田はつまづき転倒し頭を打って倒れました。その時ゾンビが立ち上がりました。
ヒロトは土井に縛られていました。土井が話し始めました。自分の名前は沼田だといい、昔中学校でゾンビに噛まれてゾンビになった学生は自分の息子だと話しました。そしその光景を動画にとってネットにアップしたヒロトに復讐に来たのでした。ヒロトはオレじゃないと言い張りますが、友人に小遣いやったら全部喋ったと言いました。その時喋った友人のケイタがやって来て沼田をスコップで殴り倒しました。ヒロトを助けようとしましたが、周囲の光景を見て逃げ出しました。隣の藤村がタクシーで帰って来ました。家に入り窓から隣の花田家の方を見ると、あわてて警察に電話し始めました。全員ゾンビになっていました。花田家に侵入したゾンビが再び蝶を追って歩いていました。そこに『パピヨン木場』が現れゾンビを刀で殺しました。『パピヨン木場』は生きていたのでした。
映画オーマイゼットのネタバレ感想
結構お笑いは見るし、東京03は好きなので角田さんの映画は正直興味がありました。
元々コントをやっているだけあってヘタなアイドルよりマシかなと思ったらいい感じの情けなさというかいじられというか、そういう雰囲気がぴったりでした。
役をこなすって感じじゃなく、完全に素で演じてましたね。
特に前半は角田節全快のあほみたいに怒鳴ってばっかりでたいしたこと言ってないんですけど、情けない漢字なんか本当いいですよね。
ゾンビ映画だけどゾンビ映画じゃない
オーマイゼットのゼットはもちろんゾンビのZです。ですが、通常のゾンビ映画のようにワーキャーして銃を乱射して噛まれて逃げて、、、、という感じでは全くないんです。
むしろそれは何年か前に終わっていて今はもう収束モード。むしろゾンビに希少価値がついて風水にいいだのお守りにいいだの、中国人が爆買いするなど、前半はのほほんさとコミカルさをうまく織り交ぜていく落ち着いた映画です。
話の中心はゾンビを売り飛ばすか殺すかという欲にまみれた嘘つき人間たちの話し合いで進んでいきます。
特にシチュエーションで見せる展開ではなく、話のやりとりでところどころクスっとくるような感じです。
個人的にはこれはこれで不謹慎な笑いで十分楽しみました。
後半は一転血みどろの展開に
やっぱりゾンビと言えば内臓が飛び出したり、血が飛び散ったりで血みどろスプラッタな展開が付き物だと思いますが、本作でもしっかりその展開を用意してくれています。
しかもその流れはなんとゾンビではなく、人間同士で殺しあうというもの。
しかもこの作品のおもしろさは、それぞれの登場人物が癖がありそれをはじめは全員隠しているということ。
ゾンビでわーきゃー叫んでいたころのほうが実は人間ってきれいなままなんですよね。
それが生活して貧富の差が出てきて、欲望が出てきちゃうと突然いろんな黒いものが表に出てくる。
今回はゾンビという題名ですがゾンビ=モンスターだけではなく、ゾンビ=金のなる木でもあるんですね。
それが不思議な雰囲気を作るんです。
いつゾンビに襲われるかな、いつゾンビに襲われるかな、と待っていてもいっこうに襲われない。
むしろ襲われそうになるとどさくさに紛れて他の人同士が、隙をついて相手を出し抜いて自分の恨みやらなんやらを晴らそうとするわけです。
不謹慎を笑いに
実はこの手の映画の作りは日本よりもアメリカ映画のほうが得意でした。
元々ゾンビ映画自体日本人は映画を作るのが苦手なのですが、こういう
不謹慎なことを笑いに変えるのはアメリカ人が得意とする分野です。
日本人がやるとどうしても不自然になってしまい、かつ人によってはそれを不快に思ってしまうのですが、本作はうまい具合に不謹慎を笑いにしています。
生き物を解剖するのが趣味の男、浪費の病で首が回らない女、頭のねじが外れている高校生、謎のかばんを持ったおじさん、彼らの変体ぶりをうまくぎりぎりモラルを超えない範囲で笑いに変える力がこの映画にはあるのです。
でもね、できれば不謹慎な笑いをモラルの境界線のもう少しぎりぎりを攻められたはずなんです。
例えばともさかりえがゾンビに噛まれたあと腕を角田が切り落とそうとしてました。
あれ、例えばもっと派手に爆発させたり、おもしろい方法で切断したほうが思い切りがいいですよね。せっかくR15にするなら不謹慎をモラルぎりぎりまでせめてほしかったですね。
オー・マイ・ゼットの最後に
ゾンビ映画らしくないテイストですが、最後に若干のグロが出てきます。
作品としては飽きないレベルですが、半端な感じで終わってしまいます。
おそらく人間の業の深さを表現したかったのだと思いますが、そのメッセージ性が薄い軽い作品になっています。
逆に言えば頭空っぽにして見るくらいがちょうどよい作品と言えるでしょう。