名作ゾンビ化!「高慢と偏見とゾンビ」のネタバレ解説

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高慢と偏見とゾンビのキャストと評価

【キャスト】
リリー・ジェームズ
サム・ライリー
ジャック・ヒューストン
ベラ・ヒースコート
ダグラス・ブース
マット・スミス
チャールズ・ダンス
レナ・ヘディ

【スタッフ】
監督・脚本:バー・スティアーズ
原作:ジェイン・オースティン「高慢と偏見」
原作:セス・グレアム=スミス「高慢と偏見とゾンビ」
撮影:レミ・アデファラシン
美術:デイヴ・ウォーレン
音楽:フェルナンド・ベラスケス
衣装:ジュリアン・デイ

評価:80点/100点

おもしろい!ゾンビが苦手な女性でもラブロマンス要素が入ることでマイルドに見ることができます。

高慢と偏見とゾンビのあらすじ

貿易が盛んな18世紀のイギリス───しかしそこにやって来たのは絹やスパイスだけではなく、ひと度感染すれば理性を失い人間の脳を渇望する謎の疫病が蔓延していた。

多くの人々が死に絶えそれがゾンビとなって人間を襲い増え続けていった。

この世の終わりを告げる黙示録の四騎士が地獄から現れたとも騒がれ人々は恐怖と混乱に陥っていた。
次々と増え続けるゾンビから首都ロンドンを守るため、高さ30mの防壁を建築し街を取り囲んだ。

ロンドンの大壁からロイヤル運河を渡る橋までの間のその土地、最後の砦となるその場所は〈インビトウィン〉と呼ばれた。

人々はゾンビに対抗するため東洋の武術を研究し、高貴な者は日本の武術を、そうでない家柄の者は中国の武術を学んだ。
ケントにおける第二の戦いは熾烈を極め、ロイヤル運河を渡る橋はついに破られインビトウィンは陥落。

若きジョージ王の命により街に繋がる橋を全て破壊した。ただ一つヒンガム橋を残して。
戦いの勝利を確信し多くのゾンビは消え去ったが貴族たちは防壁の安全な土地を残すこととした。

人間とゾンビの最終戦争は、まだ始まってはいない・・・

19世紀、イギリス───片田舎に住むベネット家の五人姉妹は裕福な男性との結婚を夢見ながら中国武術の訓練に勤しんでいた。
ある日、かつてゾンビに滅ぼされたネザーフィールドの屋敷に資産家のビングリー(ダグラス・ブース)が引っ越してくる。

村のパーティーに参加したベネット家姉妹はビングリーとその友人の大富豪の騎士ダーシー(サム・ライリー)と出会う。

長女ジェイン(ベラ・ヒースコート)はビングリーに一目惚れ、次女エリザベス(リリー・ジェームズ)はダーシーの高慢な態度に腹を立てていた。しかしそんな中、そのパーティーにはゾンビたちが忍び込み人間の脳を狙っていた。

高慢と偏見とゾンビの感想

高慢と偏見というお花畑女子(失礼?)のバイブルと言えるお話にゾンビをくっつけるというとんでもない作品が出来上がった。

結果的に高慢と偏見の世界観を残すことに成功しており、ラブロマンスが色濃く残る土台に、ばっちりゾンビが出てきて人間の脳みそを暗い尽くすという甘塩っぱいおいしい作品が出来上がった。

ホラー映画が大好きな私はもちろん高慢と偏見の原作は見たことがない。ただ、本作はそのぶんとても刺激的でおもしろかったと思う。

危機的状況でこそ男女の関係は燃え上がるものだが、基本ゾンビものの俳優の熱愛演技というのは服を脱いでとにかく一緒に裸でダンスを踊っているような動きをするだけで熱を感じない。

先述したとおりラブロマンスが土台にあるためしっかり、恋愛が描かれている数少ないゾンビ映画ができあがったと言っていいだろう。

ゾンビ映画では女性が強い法則

バイオハザードのミラジョボビッチ演じるアリスしかり、ゾンビ映画では女性が強いケースが多い。

本作もエリザベスというおてんば娘がカンフーを駆使して強い女性としての象徴を演じている。

ゾンビがいる常に死と隣り合わせの世界において女性のたしなみが武術であることはとても世界観が出来上がっており、必然的に美しいことと強いことが共生するようなキャラクターがしっくり来る。

大富豪のダーシーにとって、顔がいいだけの女性が生物学的に優れた女性ではないのは納得で、彼の高慢な態度が強きの女性と相容れないことがこれもしっくりくる。

高慢な男にはやはり強い女性がいいのだろう。

彼がどれぐらいボンクラなのかはわからないが、少しくらい鼻をへし折るくらいの相手が彼にはあっているように思う。

舞台背景も18世紀という女性にとって鬱屈した時代で、強さというシンプルな指標があることでこんなにもエリザベスが魅力的に写るのは、彼女がスパークリングで並み居る相手を圧倒するシーンからも爽快である。

最後に

個人的にはとてもおもしろかったと思う。

鬱屈した女性が生き生きと戦う姿は、現代の強い女性を彷彿とさせる。

高慢と偏見の作品自体がそういった鬱屈した女性たちを元気付ける作品であるが、ゾンビがそこに加わることにより、いっそう厳しい現実が浮き彫りになり、男女の枠を超えて人間としての生きる強さが求められる。

本作はそんな恋愛のバイブルにいいスパイスを与えている良作である。