ダイアリーオブザデッドのキャストや評価
【スタッフ】
監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ 撮影:アダム・スウィカ
【キャスト】
ミシェル・モーガン(「Lの世界」)
ジョシュ・クローズ(『エミリー・ローズ』)
ショーン・ロバーツ(『ジャンパー』『ランド・オブ・ザ・デッド』『X-メン』)
エイミー・ラロンド
ジョー・ディニコル(『ヴァージン・スーサイズ』)
スコット・ウェントワース(『アイス・ストーム』「ロー&オーダー」)
フィリップ・リッチオ
クリス・バイオレット
タチアナ・マスラニー
評価:70/100点
ダイアリー・オブ・ザ・デッドのあらすじ
山の中で卒業制作のホラー映画を撮影していた、ジェイソンら映画学科の大学生たち。
そこに、世界各地で死者が蘇っているという、衝撃ニュースが流れてくる。
撮影を切り上げ、キャンピングカーでそれぞれの故郷を目指す彼らの前に、蘇った死人が人々を襲う、信じられない光景が現出。
ドキュメンタリー監督志望のジェイソンは、全てをカメラに収めようと決意。
ニュースが錯綜する中、YouTubeには断片的な衝撃映像が次々にアップされていた。
この惨劇を後世に伝えるという使命に燃えるジェイソンだったが、学生たちは一人また一人と犠牲になっていく…。
ダイアリー・オブ・ザ・デッドのネタバレレビュー
ジョージ・A・ロメロの3部作以降の作品は評判があまりよくないです。
その作品の一つがこのダイアリーオブザデッドです。
もう3回くらい見たのですが、どうにも内容が思い返せず、久しぶりにもう1回見ました。(その時点で内容が薄いのがもろバレですが)
結論から言えば、新境地を目指そうとしたロメロの失敗作というのは間違いないと思います。ただし、ロメロ作品だと思わなければこれはこれで一つのB級作品としては合格点だと思います。
映画RECのようにパニック色を強くしすぎてカメラに酔うこともなく、ただただ淡々とゾンビに侵食された世界を撮影する進め方は確かに盛り上がりにかけますが、一方で日常を映し出すドキュメンタリー風に撮っていると考えれば味のある撮り方という見方もできます。
通常のゾンビ作品が男の子の人形遊びのように怪物とウルトラマンが戦う派手なものであれば、今回の作品は女の子の人形遊びのように淡々とリカちゃんとその彼氏の日常生活を描いたおままごとのような違いです。(余計わかりずらいですかね)
内容としては、主人公らしき男がカメラを片手にとにかくSNSでの拡散を狙ってビデオをまわし続けます。最後には友人が襲われているのを見ても助けずにカメラを回し続けています。
その結果、彼自身はゾンビになってしまいます。ラストはゾンビを相手に射撃を楽しむ人間を見ながら、主人公の彼女が「私たち人間は救う価値があるのか」という文言で終わります。
この作品でロメロは何を伝えたかったのか?
①ゾンビに襲われる恐怖や臨場感を第三者で見ている観客に少しでも与えたかった
これはあるでしょう。ゾンビ映画なのですから少しでも恐怖を観客に与えることは彼の使命でしょうから、新しい撮影方法により少しでもゾンビの世界に観客をひきづりこみたかったことでしょう
②ゾンビの世界では情報は重要かつ危険な武器になる
当時はインターネットが定着し、個人が情報を発信する時代が来はじめていました。YoutubeやTwitterなどが流行った時期ですね。
彼はもしかしたらテレビやラジオなどのマス広告にYoutubeやTwitterなどのSNSをはじめとした個人での情報発信が勝る日が来ると思っていたのかもしれません。実際に本作品の中では警察署長の会見で一番初めの冒頭のシーンを編集してあたかも警察が事態を掌握したかのような見た目に変更していました。しかし、そんなものは今の世の中だとスマホで撮影してすぐ拡散しますし、TwitterやLINEでつぶやけばすぐに真実は拡散します。
一方でデマやうその情報が拡散するのも早いので、そこに関する皮肉もメッセージコメントとして本作には挿入されていました。
③人間は救う価値のないクズだ
ラストのメッセージはゾンビの死体で遊ぶ人間を皮肉ったコメントです。さて、食べるために人を襲うゾンビと遊びのためにゾンビを撃つ人間、果たして滅亡すべきはどっちでしょうか。
ただ、私自身はこういう意見は好きではありません。意見が極論すぎます。たしかに人間はそういう残酷なことをすることもありますが、それは動物であればどれも同じです。人間の大半は自愛の精神で生き物に接しますし、動画に出てきたゾンビを撃っていた人間も家族がいて、家では子供を抱きしめて愛しているでしょう。
映画や漫画の「寄生獣」もそうでしたが、人間にとっての罪の重さは、人が人を殺すよりもゴミを不法投棄するほうが地球レベルで見るときわめて罪が重い、だから人間を滅ぼすという論調がある政治家からありましたが、はっきり言って中学生レベルの議論ですね。
上記は個人的なロメロ映画の解釈ですが、特に②については興味深かったのでもう少しここに比重を置いて作品を作ってくれれば新しいタイプのパニック映画ができたのではないかと思います。
マスメディアは事態掌握のためにデマを流し、SNSの個人メディアはデマと真実をハーフ&ハーフの割合で発信することで、自滅していく姿です。
ダイアリーオブザデッドの最後に
結構評価が低い本作品ですが、ところどころに入る主人公の彼女のメッセージは価値があるものだと思っています。ロメロの作品の中ではある意味メッセージ性のある作品は珍しいのでそういう意味で一見の価値はあると思います。
ロメロ3部作とは比較しないでください。
あれは超えられない作品だから3部作と呼ばれているのですから。
ロメロ作品はデイ・オブ・ザ・デッドも有名ですね。