本作は銃乱射事件やコロナの影響によって公開延期が余儀なくされた問題作です。問題作に相応しく内容は「人間狩り」という悪趣味な内容になっています。
制作スタッフ・キャスト
クリスタル・クリーシー: ベティ・ギルピン(樋口あかり)
アシーナ・ストーン: ヒラリー・スワンク(本田貴子)
スタテン・アイランド: アイク・バリンホルツ
ドン: ウェイン・デュヴァル(辻親八)
ゲイリー: イーサン・サプリー(宮本崇弘)
ヨガ・パンツ: エマ・ロバーツ(春名風花)
ターゲット: クリス・ベリー
ヴァニラ・ナイス: スタージル・シンプソン
ビッグ・レッド: ケイト・ノウリン
マー: エイミー・マディガン(宮寺智子)
ポップ: リード・バーニー(中博史)
リチャード: グレン・ハワートン(志村知幸)
監督 クレイグ・ゾベル(英語版)
脚本 ニック・キューズ
デイモン・リンデロフ
製作 ジェイソン・ブラム
デイモン・リンデロフ
製作総指揮 クレイグ・ゾベル
ニック・キューズ
スティーヴン・R・モレン
映画のあらすじ
12人の男女が見知らぬ森の中で目を覚まします。彼らは猿ぐつわをはめられ、見知らぬ土地に戸惑います。草原の真ん中には木箱があり、中を開けると銃や刃物などがあり、彼らは武装しはじめましたがほどなく銃声とともにあっという間に彼らは頭を吹き飛ばされ、混乱状態になります。逃げ惑う彼らを見えない誰かは追いかけて彼らを狩りにきます。
クリスタルは彼らからの追撃を逃れなんとか逃げようと奔走します。
そのうちに彼女は今回の狩り(ハント)が”マナーゲート”といわれるお金持ちによる娯楽の狩りであることを知ります。敵が何者か理解しはじめた彼女は武器を手にして彼らの住処を急襲して彼らに反撃をはじめるのでした。実はアシーナは元軍人だったのです。
結末ラスト
クリスタルは一人、また一人マナーゲートのメンバーであるセレブ達を始末していきます。そして最後黒幕であるアシーナと対峙するクリスタル。激しい攻防の末アシーナを倒したクリスタルはアシーナの服と高価なシャンパンをもってアシーナたちが乗ってきたプライベートジェットに乗り込みアメリカに帰ります。はじめて飲む高級シャンパンを一気飲みしながらクリスタルは「クソうまい」と高笑いするのでした。
ザ・ハントの映画ネタバレ解説
問題作といわれた「ザ・ハント」はなぜ問題作といわれたのでしょうか、そして映画のオチも解説していきます。
ザ・ハントの裏側
「マナーゲート」のメンバーが行っていたハントは実はもともと存在しないものでした。今回の黒幕アシーナは企業のCEOとして富裕層であることは間違いないのですが彼女はこれまで人間狩りなどしたことはなく、あくまでもメールやチャットで冗談で言った「貧乏人には死を」という内容をハッキングされ流出してしまったがために彼女が人間狩りをしているかのように社会に誤認されてしまったのです。
彼女は結局当該メールとチャットの流出の責任を取り、CEOを辞任、同様のやり取りをしていた重役も辞任することになります。彼女たちは自分たちの未来を奪ったハッカーやありもしないデマを拡散させた奴らに復讐することを心に誓ったのでした。
狙われたメンバー
つまり今回狙われたメンバーは全員アシーナたちが「マナーゲート」であると主張していた人物たちだったのです。作中でマナーゲート側のメンバーが明らかに戦闘慣れしていなかったり、彼らが着ている服装がピカピカの新品だったり、サバイバルに不慣れなのも納得なのです。
社会的な風刺
さて、ザ・ハントが話題になったのは社会的な風刺があります。トランプ氏はいわゆるエリート富裕層ではなく、貧困層に人気があり、今回の富裕層が貧困層を殺すのは反トランプ派がトランプ支持層を虐殺していくことを示唆しているといわれいます。
また、これを象徴するようにザ・ハントが有名になった1つにトランプ大統領のツイッターがあります。トランプ氏は自らザ・ハントがハリウッドがレイシストの権化で、リベラル・エリートを擁護する立場にあることを厳しく非難しています。一方で、本作は移民問題に触れるなどより現在の社会情勢に対するメッセージを組み込んだ作品になります。
個人的評価
ただ、個人的にはこの社会的な風刺については疑問が残ります。まず本作は前半こそ貧困層VS富裕層という枠組みこそあれ、結果的には単なる復讐劇であり、私怨によるもので完結しています。また、トランプ氏が強行した移民政策についても内容として組み込んでいるものの、特に深堀することなく内容としては本当に必要だったのか疑問ですらあります。
社会風刺を題材にしようとしたことは間違いないと思いますが、描き方が中途半端でした。せめて同年のバクラウぐらい突き抜けてもらえるとより話題作として出ていたかもしれません。