フランスの王道スプラッタ映画「ハイテンション」です。
アレクサンドル・アジャの才能がぎっちとつまった良作です。
【ハイテンションの評価とあらすじ】
85/100点
出演: セシル・ドゥ・フランス, マイウェン, フィリップ・ナオン, アンドレイ・フィンティ, オアナ・ペレア
監督: アレクサンドル・アジャ
マリー(セシル・ドゥ・フランス)は試験勉強のため、親友のアレックス(マイウェン)と一緒に彼女の実家を訪れた。その晩突然玄関のドアベルが鳴り、マリーは父親(アンドレイ・フィンティ)がいきなり男(フィリップ・ナオン)に刃物で斬りつけられるのを目撃。彼女は慌てて自分の痕跡を消し、ベッドの下に隠れるが……。
【ハイテンションのレビュー・ネタバレ】
本作スプラッタ好きの間では有名な作品です。
この物語はトウモロコシ畑に囲まれた、ある幸せそうな一家の家で起こる悲劇です。
夜も寝静まったとき一人の男がドアをノックします。
顔の見えない緑色のつなぎを着たこの男は出迎えた父親をまずは殺害
その後2階に上がり友人のアレックスを凌辱縛り上げ、小さな男の子をとうもろこし畑にて撃ち殺します。
試験勉強のために居候していたマリーはあわててベッドの下に隠れ、難を逃れます。
しかし、その後ベッドからクローゼットの中へ隠れる場所を移動した際に目の前で母親が首を刃物で切られ殺されます。
このクローゼットに飛び散る血がなんとも残酷で見ている人間を震え上がらせます。
マリーはなんとかアレックスを助けようと車に入れられたアレックスの拘束を解こうとしますが、そのまま車は発進、抜け出すタイミングを伺います。
男の車の中には女性の切り抜かれた写真が貼ってあります。これまで拉致した人なのか、殺した人なのかはわかりません。それでもとんでもない数であることが男が残虐な相手であることがわかります。
途中立ち寄った給油所。千載一遇のチャンスが巡ってきます。
マリーは車から抜け出しGSの店員に助けを求めます。
ただGSの店員と男は知り合いのようで挨拶を交わします。
その中で男が言っていた言葉
「町から来た金持ち女どもに興奮させられないか?」
いつもと挙動が違うGS店員に不信がる男、あっけなくGS店員を殺害します。
GS店員も何に気づいたか男もわかっていませんでしたが、疑わしきを罰するこの男のプッツン感が半端ないです。
やっと警察に電話できたマリー
しかし地理感も全くなく、自分の居場所も全く説明できずトラックの特徴も言えない状況では役に立たない地元警察。いら立つマリー。
マリーは自分でアレックスを助けることを決意します。
GS店員の銃と車をもって男のトラックを追跡するマリー
しかし追跡は罠でした。
持っていた銃は弾が完全に抜かれており、車を後ろにつけられてしまいます。
ついに捕まってしまうマリー。男に攻撃を受け殺されそうになるマリー
しかし寸でのところで相手を石で撲殺します。
一件落着。。。。。
ところ変わってGSに警察が到着
防犯カメラを確認していて衝撃の事実が。。。。。
マリーがGS店員を殺しているシーンが映っているではないですか。
アレックスを助けるマリー
しかしマリーを怖がるアレックス
アレックスは包丁を構えマリーを刺します。
そこからマリーの中の「男が目覚めます」
チェーンソーをもって追いかける男
そしてチェーンソーを持ったマリーと男が交互に出てきます。
男のしゃべり口調が突然「私」になりはじめます。
【重要ネタバレ】
そうマリーと殺人鬼の男は同一人物でした。
正確には男はマリーが作り上げた偶像もしくは多重人格者のうちの一人だといえます。
マリーは精神的な病気を抱えていて、自分がやっていた殺人をあたかも第三者の男がやっていたかのように感じていたのです。
冒頭「録音して」の一言からはじまるこの映画のスタートはマリーの物語です。
つまりこの物語は「マリーが自供している内容」なのです。
実際には男などいないし、マリーが勝手に一家を襲っているに過ぎません。
本作では現実と「マリーの妄想」がいりまじって作られているのでとてもわかりづらい部分があるかもしれませんが、いろいろと辻褄が合います。
特にマリーが追跡することを知っている男、マリーが銃を持っていることを知っている男(だからあらかじめ弾をからっぽにできた)
すべてマリーの中の男だからこそできる先回りです。
本作であまり殺人鬼の顔が出てこないのも納得ですね。
しかも実はこの映画のパッケージはマリーがチェーンソーを持っている絵なんですね。ここらへんも遊び心が憎いです。
【最後に】
ハイテンション意外な結末でした。
スプラッター映画としてはそこまでシナリオに求めているものは少ないかもしれないですが、最後の精神病棟にいるマリーは本当に怖いです。
すこしグロシーンも多いですが、おすすめの映画です。