マーターズという映画をご存知だろうか。
マーターズはフレンチスプラッター、バイオレンス、不条理の代名詞のような映画である。
マーターズを見た人は「見なければよかった」「すごく落ち込む」などいい意味でも悪い意味でもよく議論に取り上げられる作品だ。
その界隈でも有名すぎてハリウッドでもリメイクされ、これも議論を呼んだ。
先日マーターズのリメイク作品を見たので改めて原作での謎を整理してみたいと思う。
マーターズのあらすじ
1970年代のフランス、何者かに拉致監禁され、長期にわたり虐待を受け続けた少女リュシー(ジェシー・パム)は自力で逃げ出し、傷だらけの状態で発見される。養護施設に収容された彼女は心を閉ざしていたが、同年代の少女アンナ(エリカ・スコット)にだけは心を許していた。15年後、リュシー(ミレーヌ・ジャンパノイ)は自分を監禁した相手を発見し、猟銃を手に犯人宅を訪れる。
(シネマトゥデイ)
マーターズの謎 最後のささやきとは
本作ではマドモアゼル率いるカルト集団が死後の世界をのぞき見ることを目的に、あることを少女にしています。
それは「拷問」です。
正確には痛みを与え続けることで何人かに1人は死なずに殉教できるということを実験しています。
マーターズ最大の謎はアンナがそのように拷問を受けて最後その果てに辿り着いた(?)といわれる先に何を見たのか、そしてマドモワゼルにつぶやいた言葉は何を伝えたのか。
ということです。
マーターズでモドモワゼルへの最後の言葉 考察
そこでいくつかの説をまとめてみたいと思います。
①実際に死後の世界を見て、素晴らしい世界だとマドモワゼルを誘った説
実際にアンナが死後の世界を見ることに成功し、マドモワゼルに「いい世界だからすぐにでも行くべき」と言ったという説があります。
これは本作の筋に沿った、カルト集団の完全勝利の結果と言えるでしょう。ただ、これを支持する人は少ないようです。見ている側からするととても勺な結果(あんなに残酷なカルト集団が正しかったなんて認めたくないですよね)ですし、何よりもマドモワゼルの言葉「疑いなさい」というところがうまく説明できないように思います。
②死後の世界は見えなかった、あるいは、何もないことがわかった説
アンナは辿り着けなかった、ないしは見たけどその世界は何もない世界だったという説があります。
この説によるとマドモワゼルはこれまでがんばって死後の世界を探してきたのに何もないということで絶望したという説明ができます。
疑いなさい、と言う言葉自体も「そんなものはないのよ」という忠告ともとれます。
ただ、本当に自殺するほどの話でしょうか?アンナは単に辿り着けなかっただけでは?と疑うのが普通ではないでしょうか。別にカルト集団からするとまた1から逸材を見つけて試せばいいだけの話です。わざわざすぐに自殺するほどではないと思います。
③死後の世界を見てすでに死後の世界に魂は行っていた。そして死後の世界からマドモワゼルを誘った説
アンナは実際に死後の世界に言っており、彼女が吐く言葉は死の言葉。その言葉に引き寄せられるように自殺したという説。死者の言葉は生きている人には聞こえないので、必ず死を招くといったところでしょうか。
これが一番濃厚ではないかと思います。というか人間心情的にこれであってほしい、、、せっかくアンナががんばったのでカルト集団は自分たちの墓穴を掘っているのだと。
疑いなさいという言葉も、そもそも死者の言葉聞くとその瞬間に死んでしまうのでそこに矛盾があるということを伝えたかったのではないでしょうか。
リメイク版と比べて
さて、色々な議論を生んだマーターズですが、ハリウッドでリメイクされています。
マーターズリメイクはリメイクと呼べないくらい内容が違います。
マーターズハリウッド版ではアンナは殉教者ではなく、殉教者となるリューシーを助けに行きます。
リューシーは最終的に原作のアンナと同様に言葉を残しますし、それを聞いたアンナと神父も死んでしまいます。
唯一の救いはアンナがマドモワゼルを射殺するシーン。ここだけは溜飲が下がります。
ですが、はっきり言ってマーターズのような不条理ものは別にアンナのリベンジシーンはいらないかなと思っています。
もしマーターズが気に入った人がいたら絶対にフランス版の原作を見ることをおすすめします。
ちなみにマーターズの拷問シーンはフランス版のほうが圧倒的につらいです!