当時マッドマックスがとても流行っており、この手のパロディはいっぱいあった、そう思っていました。でもこれはマッドマックスのパロディではありません。
これは邦訳の題名を付けた人が悪いのです。これはこれでとても素晴らしいB級作品であることをここに誓います。
【ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビの評価・キャストは?】
85/100点
【概要】
監督:キア・ローチ=ターナー
主演:ジェイ・ギャラガー
マッドマックスがリメイクされたときに突如現れた作品。パロディか?とはじめ思うかもしれませんが、内容は全く別物でした。
【ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビのあらすじは?】
平凡な整備工がお手製の武器でゾンビに立ち向かうホラーアクション。
妻子を失った整備工・バリーは生きるためにゾンビの生きる世界で奮闘する。生き残った人間達はお手製の武器でゾンビに立ちあがった!
そして、その時、一筋の光明がさす。
バリーたちはゾンビの血液がガソリンの代替になることを発見したのだ。滅びてたまるか! 人類の逆襲が片田舎のガレージで始まった! ! !
【ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビのネタバレレビュー】
はじめに書きましたが、マッドマックスとは完全に関係ありません。強いて言えばバリーや生き延びた人たちの防具の外観がマッドマックスを彷彿とさせますが、これにはちゃんとした理由があります。
ゾンビが現れた世界において最も怖いのは銃でも核でもなく、噛まれることです。
逆に言えば噛まれることを回避することが最大の目的になるので、必然的にアメフト選手+甲冑のような全身噛まれても耐えられるような格好が必要になるのです、なるほど。
余談ですが、たしかに自分がゾンビの世界に行ったら噛まれないようにする工夫よりも、噛まれても大丈夫な工夫をしますね。そういう意味で非常に合理的な格好と言えます。
映画を見るときにはできるだけ先入観を持たないで見るようにしていますが、私も人間なので完全に排除することは難しいです。ほかの方のレビューを見ているとレビュー評価の低い方はマッドマックスのような内容を先入観に持って入り口にしているように思います。
そうなるとこの映画は迫力がない、チープ、キャラに魅力がない、世界観が曖昧、アホなど一言で言えば「駄作」となってしまいます。
ですが、ここはあえてB級映画として見てほしいのです。一流シェフが作る料理ではなく、ちょっと料理が得意な友人や彼女が作った料理が目の前に出てきたという前提で見てみてください。
彼らのチープな格好は自分が確かにあの世界に行ったらなりふり構わずあの格好をするでしょう。
そしてなにより設定です。
本作では燃料が枯渇した世界ですが、バリーによりゾンビを燃料として車を動かす試みが行われます。ミドリムシが燃料になるのであればゾンビだって燃料になるな、と個人的には納得しました。でもこの思考錯誤がまた真剣に悩んでいます。ある意味役者がうまいのか世界観ができあがっているのか、笑いたくなる中でも真剣に見てしまいます。
その結果、車にゾンビをくくりつけて爆走するわけですが、これがまたマッドマックスとかぶってしまい、「アホか」となってしまう要因なのだと思います。ですが、これは決してマッドマックスとは関係のない映画です。彼らは真剣に車を動かしたいと思い結果的にそれを成功させたのです。
そして、この映画最後の見せ場でブルックが無双します。彼女はバリーと別軸で動いている存在で、特別な存在です。一人悪人に捕まり特殊な能力によりゾンビを操ることができます。
さて、これまで見た中で、ゾンビで車を動かした人間もびっくりですがゾンビを特殊能力で操る人間が出てきた映画も見たことがありますか?
マーベルヒーローもびっくりの最強の力を手に入れたといっていいでしょう。しかもその能力がなんともしっくりきているのです。下手なCGなど使わず人間の演技と見ている人間の想像力によりたしかに特殊能力が開花していることがうまく表現されています。
そしてゾンビ映画においてバッドエンドが多い中でも希望がある終わり方をして、見ている側にも「ああ、よかった」と思うような内容になっています。
【ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビの最後に】
総じてB級映画の中では最高にクオリティが高い作品だと思います。
お金をかけないように少ないセットや普通の道で撮影したり、必要以上に派手な演出やアクションも取り入れていません。
総評でも書いたようにとんでもビックリな展開が多い映画ですが、とてもまじめに作っていることが見ている側でも感じ取れるので、笑いながらも真剣にみてしまいます。
小道具もちゃちいですが、逆にそれが素人が作りそうなリアリティを出しますし、はっきりいってゾンビ映画に慣れていない人でも十分楽しめる内容だと思います。