「デッド」とつくものはとりあえずツタヤで右から左まで借りることにしているので、もちろんこれをチョイス。
ヒルズハブアイズみたいなパッケージだなあと思いながらこれは期待が高まる。
思ったものと全然内容が違いましたが、いい意味で裏切られました。まずはストーリーから !
サンズ・オブ・ザ・デッドの評価とキャスト
★★★★☆
期待していなかった分、いい意味で裏切られて面白かったです。
最近はこういったいい話のゾンビ映画も増えてきました。
ちなみに私はいい話といえばカーゴも好きです。
【キャスト】
ブリタニー・アレン
フアン・リーディンガー
クリストファー・ヒギンズ
【スタッフ】
監督:コリン・ミニハン
脚本:スチュアート・オルティス、コリン・ミニハン
製作:ブランドン・クリステンセン、ビック・トラン
サンズ・オブ・ザ・デッドのあらすじ
ゾンビが蔓延した終末世界――。
ゾンビの脅威にさらされた町から脱出するため、モリーは恋人のニックと空港へ向かっていた。
しかし道中、ニックが無残にもゾンビに食い尽くされ、モリーはたった一人、貪欲なゾンビと共に砂漠に取り残されてしまう。 ゾンビの動きは鈍く、容易く逃れることに成功したモリーだったが、そのゾンビは眠ることもなく、ただひたすらモリーの後をつけ回す。 砂漠での過酷な状況下、モリーの体力は消耗し切り、わずかな食糧も底をつき始め…。
サンズ・オブ・ザ・デッドのレビュー・ネタバレ
はじめはグダグダなゾンビパニックものかと思い、すぐ見るのをやめようと思いました。
バカな男と女のカップルがゾンビに襲われて「あぁ、こりゃすぐ死ぬな」とすぐにわかる展開、、、、開始15分は本当に苦痛でした。
でも結局見続けてよかった!
それから自体は一変。ん?ゾンビ全然出てこないのです。
いつもなら、この時間帯ならワラワラとゾンビが出てきてたちまち惨劇の光景ですがこの映画では結局ゾンビはほぼ1匹しか出てきません。それで映画が成り立つのか?と不思議ですが、これはこれでしっかり一つの作品になっている。
まず、最初に言っておくと最終的にモリーとゾンビに友情(?)が生まれるという不思議な展開が生まれます。これは非常に興味深く拝見しました。
モリーは薬漬けでろくでもないバカ男と付き合っていますし、自分の子供兄弟に育てさせているし、ハッキリ言ってクズ人間以下です。
もしゾンビがいない世界であれば麻薬のやりすぎでそれほど長生きもできず、人に迷惑をかけて、子供に会うこともなく、これはこれで悲惨な最後を迎えていたのではないかと思います。
ですがゾンビのスモール(ち○ちんが小さいという嫌味)と死の追いかけっこをしているうちにどんどん自分自身に正面に向き合うことになります。
何もない砂漠の上で、ゆっくり歩きながら人生の危機を迎えるというのはスティーブンキングの「死のロングウォーク」という小説でもありました。
この本ではある大会で歩くことをやめると その場で射殺されるが、優勝すれば褒美がもらえるという趣旨の本ですが、歩きながら若者たちはそれぞれの人生を走馬灯のように振り返っていきます。
本作でもモリーは自分が今までしてきた愚かな行為を振り返り、結果的に真剣に生きたいと願うようになっていきます。
そしてさらに本作で皮肉なことにおそらくゾンビのスモールがいなければ、モリーは40kmという道のりを限られた装備で歩ききることができなかったとも考えられます。
今までのモリーであればタバコと麻薬のやりすぎですぐに力尽きて、ハゲタカの餌になっていたでしょう。
いえ、それ以前にこの手の人たちは自分で何かをやりきることをしないのでそもそも40キロは歩けなかったでしょう。
彼女の堕落生活の象徴である麻薬もスモールが破くことで彼女は全うな判断ができるようになりました。
世の中にはショック療法というものが存在します。映画エンドレスフィアーでは極限状態に麻薬依存者を置くことで「生きたい」という人間の意志を最大限振り絞るところまで追い詰めました。
本作でも同様に、ゾンビに追いかけられて「もうだめかもしれない」というところから、生きたいという意志を持ち直しました。
そしてそれどころか、普段悪ぶっている彼女がゾンビに不満をぶちまけ、自分に向き合えることになり、人として大事なものを見直して子供にもう一度会いたいというところまでもって行きました。
本当に予想外の展開に大満足でした。
サンズ・オブ・ザ・デッドの最後に
結局ゾンビ映画やホラー映画だと思ってみているといつのまにかとってもほっこりしてしまう映画でした。
相変わらずゾンビ映画ですので何も解決しないで終了しますが、彼女にとっては大きな一歩を踏み出しました。
私たちの生活も一つづつ小さな成功や成長によって構成されていますので彼女にとってやっと転機が来て本当に見た後は得も言えぬ満足感になりました。
また、ところどころに監督の細部のこだわりが見え隠れする映画です(タンポンを使った作戦なんかは地味に好き)
普通のゾンビ映画に飽きた人はぜひ見るといいとおもいます。
強いて難点を挙げれば「ジョージ・A・ロメロ監督の名作ゾンビ映画3部作に匹敵すると絶賛」という文句は言いすぎだと思いますね。