カラーミーブラッドレッドの評価
★★★★☆
ゴア描写が落ち着いてしまっているのがファンにとっては残念か。
しかし、芸術家の狂気はしっかりと描かれており、十分満足できる内容になっています。
カラーミーブラッドレッドのキャスト
出演: ドン・ジョゼフ, キャンディ・コンダー, スコット・H・ホール, エリン・ワーナー
監督: ハーシェル・ゴードン・ルイス
アダム・ソーグ:ゴードン・オー・ハイム
エイプリル・カーター:キャンディ・コンダー
ジジ:エリン・ワーナー
パトリシア・リー:パット・フィン・リー
ロルフ:ジェローム・エデン
ファンズワース:スコット・H・ホール
ジャック:ジム・ジャケル
カーター夫人:アイリス・マーシャル
カラーミーブラッドレッドのあらすじ
画家のアダムは自らの作品が評論家から評価されず悩んでいました。彼の書く絵は「売れるが才能はない」と言われていました。
ある日助手のギギが怪我をしてキャンバスに赤い血がついてしまいますが、それを見たアダムは血の色こそ自分の求める赤色だと確信します。
はじめ、自分の手をカミソリで切りながら絵をかいていた彼ですが、どうしても疲れてしまいます。
そこへギギがとおりかかりアダムはギギの顔を切りつけて殺し、その血で絵を描き始めました。
血で書いた絵は評論家に大うけしましたが、才能を証明するためにもう一枚書くことを提案されます。
アダムは絵を描くために近くのビーチにいたカップルを殺してもう一枚絵を描き上げました。
その頃エイプリルがアダムの家の近くの海岸に遊びにきていました。
彼女は友人たちと一緒に楽しく過ごしていましたが、アダムの画廊に行くとモデルになってくれと頼まれます。
その夜エイプリルは友人たちを残してアダムの画廊へ現れます。
アダムはエイプリルを縛り逃げられないようにし、殺そうとします。
しかし、寸でのところでエイプリルの彼氏が助けにきます。
彼は銃でアダムを撃ち殺し、倒れたアダムは自らの血を白いキャンバスに染めるのでした。
カラーミーブラッドレッドのネタバレ感想
ハーシェル・ゴードン・ルイスの「血まみれ三部作」の一つです。
三部作の他には血の祝祭日と2000人の狂人があげられます。 三部作の比較
ルイスの「3部作」と言われる作品に関連性はなく、ストーリーも全く別のものです。
デビュー作となる血の祝祭日は料理人が黒魔術に手を染める話ですし、2000人の狂人は摩訶不思議な怨霊の話です。
血の祝祭日に関して言えば、当時マンネリ化したホラー映画界でタブーと化していたゴア描写を積極的に取り入れ、観衆を沸かせたカリスマ的作品でした。
続く2000人の狂人では3部作の中でもゴア描写は最高潮、殺人シーンもできるだけ盛り込み、不条理に殺されていく要素が満載の作品でした。
そして、本作カラー・ミー・ブラッド・レッドは一人の画家が自らの作品を作るために人を殺していく作品です。
この作品は主人公が正常な状態(作品に悩む状態)からスタートします。そして、殺すことよりも、目的は「血」を作品の一部に使うことなので死体や臓物が出るシーンが少なくなっています。
そのため他の2作に比べるとゴア描写、スプラッタ描写が少なくスプラッタ好きにとっては少し物足りなさを感じます。
アダムが狂うまで
ルイスがこの映画で表現したかったことはアダムが狂っていく変化だったのではないかと思います。
芸術家として「平凡」と言われ、悩む彼にとってたまたま助手の血のついたキャンバスを手に取り、自らの心のブレーキから足を話すわけです。
これまでの3部作と違いアダムは映画序盤では普通の画家でした。そういった心の変化の繊細な表現とルイスが得意とする大味なゴア描写のバランスが難しい映画だったとは思います。
ただ、この映画が後世の映画に影響を与えているのは間違いなく、例えば映画ベルベットバズソーは絵画に老人が血で絵をかいていました。
最後に
ルイスはこの映画を機にスタッフを総入れ替えしています。本人に納得のいく作品だったのかはわかりませんが、個人的には2000人の狂人のほうが好きな作品でした。