バイオレンス・レイクの評価
★★★★☆
登場人物がサイコパスのような奴らばかりで救いのない話ですが、こういう作品が得意な人にはとても興味深い作品だと言えるでしょう。
実際に子供たちの純粋な暴力行為が見ている人間を恐怖に陥れます。
安易なリベンジ系の映画にせずに、ストーリー展開も二転三転して、それでも逃げきれないジェニーの運命を目を覆いながらも最後まで見てしまいます。
バイオレンス・レイクのあらすじ
美しい湖“エデン・レイク”を訪れたジェニーとスティーブ。
スティーブは今回の旅でプロポーズをしようと指輪を用意していました。
長い道のりをいき、立ち入り禁止の傍をすり抜け湖の湖畔で過ごしていると、そこへ大音量で音楽を鳴らながら少年たちがやってきます。
つばを吐き悪態をつく少年にスティーブが注意しますが、少年たちは悪ぶっていて、一向に話を聞こうとしません。
仕方なく、彼らを無視しながら過ごすことにしたスティーブ達。
しかし、帰る時間になり、車を発進させると、空き瓶を踏んでしまいタイヤがパンクします。
スティーブは子供たちのいたずらだと思い、激怒しますが、ジェニーはそれを慰めます。
途中子供たちの自転車を見つけて、親に注意しようとスティーブが家に入りますが、話がこじれそうでしたのでスティーブは逃げ出しました。
地元のダイナーでご飯を食べながら子供たちの悪戯について話をするとダイナーのウェイトレスは罰が悪そうに不機嫌になります。
子供たちの悪評は有名なようでした。
プロポーズを考えいたスティーブはそんなこと気にもとめずにバカンスを楽しむことにしました。
スティーブが湖に潜っている間、ジェニーは浜辺で眠っていました。
スティーブが湖から上がるとプロポーズのために指輪を取り出しますが、ジェニーがバッグがないことにきづきます。
まさかと思い、バッグを探して車のところに行くと、車もありません。
スティーブは子供たちの仕業であることに気づきます。
スティーブは森の中を探しに行くと車がもうスピードで森の中を走り抜けました。
彼らは子供たちを追っていきます。
薪をしているところで子供たちを見つけて車や財布を返すように言います。
リーダー格のブレッドは一歩も引きません。そのうち、子供の一人がナイフを抜きます。スティーブはもみ合いになり、誤って彼の犬のボニーを殺してしまいます。
仕方なくスティーブとジェニーは車のカギをもって逃げ出します。
車を運転して逃げるスティーブですが、夜道でのオフロードの運転に慣れていないことと、子供たちにライトを壊されて視界が悪いためすぐに子供たちに追いつかれてしまいます。
車から動けないスティーブは仕方なく、ジェニーに先に行くように言います。
ジェニーは夜の森をずっと隠れていましたが、スティーブは捕まってしまい、縛られます。
主犯のブレッドは他の子供たちよりも肝が据わっていましたが、他の子たちはびびっていました。
ブレッドは他の子供たちを脅してスティーブを少しづつ刺し、それを撮影することで共犯意識をより強くしました。
そのときジェニーは警察を呼ぼうとGPSから携帯を遠隔で発信します。
しかし、携帯はブレッドが持っていたため、居場所が逆にばれてしまいます。
ジェニーは逃げ出し、走り出し、子供たちはそれを追いかけます。
一方でスティーブは子供たちがいない隙を見て逃げ出します。
ジェニーはうまく子供たちをまいて、スティーブと合流します。
スティーブの傷は思ったよりも深く、内臓に傷もついていました。
仕方なく、スティーブを森の中に隠して、ジェニーは走り出します。
しかし、途中で子供に助けを求めますが、結局その子も子供たちとグルで捕まってしまいます。
子供たちはスティーブも捕まえており、油をまきながら焼き殺そうとします。
子供たちは躊躇しますが、火が燃え広がります。
一瞬のスキをついてジェニーは逃げ出し、森の中へ入りこみます。
森へ逃げ出したジェニーはなんとかブレッドを振り切ります。
そして、逃げる途中で、子供たちの一人を反射的に殺してしまいます。
その子はグループの中でも幼い子で、このような犯罪に全く関与したくないと考えていただけにジェニーもショックでした。
ただ、仕方なく逃げ出すしかない彼女は、やっと車道にたどり着きます。
そのとき1台の車が通りかかります。
ジェニーは助けを求めて車に乗り込みます。
しかし、その車の青年はあの子供たちの一人のお兄さんでした。
ジェニーは引き返すようにいいますが青年は子供たちのところへ向かってしまいます。
一瞬のスキをついてジェニーは車を奪い取って街を目指します。
街に着いたジェニーはとにかく助けてもらえる場所を探そうと運転しています。
しかし、事故ってしまい、ある民家につっこみます。
そこでは何家族かが集まってパーティをしています。
彼女は助けを呼び、彼らが介抱してくれました。
しかし、その家はあの子供たちの親の家でした。
自分たちの子供が殺されたことに怒り心頭の親たちはジェニーを押さえつけて痛めつけるのでした。
そのころブレッドは一人、携帯に録画したスティーブの拷問の動画を消していました。
バイオレンスレイクの見どころ解説
救いのない話、それがバイオレンスレイクです。
映画というのは非日常を味わうものですが、決してそれはホッケーマスクをつけた怪物や食人族がいなくても十分表現可能ということがよくわかる作品です。
本作で出てくるのは怪物ではありません。ただの人間、しかも子供たちです。
子供こそおそろしい。大人はなんとなく思考が読めたりするものですが子供は純粋であるがゆえに先が読めず、暴力に手加減がありません。
余談ですが、イーライロスの名作ホステルも実は怖いのはスラムの子供たちでした。
個人的にホステルで子供たちが通行人をボコボコにするシーンが思い浮かびました。
単純なリベンジ話に終わらない救いのない話
通常、プロポーズする指を持っている婚約者が殺されたら、リベンジするのが映画の王道のように思いますが、今回のジェニーはとにかく逃げつづけることを強要されます。
そして、逃げる先、逃げる先、すべて不幸が待っているのです。
展開が二転三転して、今度こそ「逃げ切った~」と思ったら、それも何かの始まりなんです。
まいたと思ったら捕まり、逃げたと思ったら捕まり、子供が助けてくれると思ったら裏切られ、車に乗ったと思ったら敵の車で、最後に家に駆け込んだらそれも敵の本拠地だったという、もはや呪われているレベルの運の無さでした。
これを”話ができすぎてる”という人もいるかもしれませんが、残念ながらこのバイオレンスはそういう話なのです。
観客はとにかく不幸を見に来ている、そう割り切ってみるのがこの映画の醍醐味です。
カエルの子はカエル
とにかくこの親にしてこの子あり、という感じ。
ラストあんなに安心しきっていたのに、結局敵のアジトにまんまとかくまわれるなんて、、、アメリカの田舎ってこんなに怖いの?
トランプ政権に支持している人たちってみんなこんな人たちなの?
ジェイソンもレザーフェイスも食人族もアイスピも発情アニマルも全部都会の人が田舎に遊びにいったら、ひどい目にあったという話なんです。
そんなに怖いんだアメリカって、、、、
もはや一つの王道になってきてますよね。
決して子供たちが異常なわけではなく、その親たちも最後異常者の集まりだったわけで、カエルの子はカエル。結局どこに助けを求めても救いはないというのがつらいところです。
いい人が全員死ぬ
不条理な作品の中でも極めつけは、いい人ほどみんな本作では死んでいます。
都会で保育士として働くジェニーも、真面目に働いていそうなスティーブも、本当はこんなことしたくないけど、一番年が下で気の弱い子もジェニーに殺されました、ジェニーたちに火をつけたけど気の弱い黒人のアダムもブレッドに焼き殺されました。
結局いい子やいい人は全員死んで、悪党が残ることになります。
こんな不条理を極める方法があるのでしょうか。
しかもスティーブはジェニーにプロポーズする予定でした。
女性にとっては最良の日を選ぶあたにが監督の鬼畜度がうかがえます。
最後に
残酷な描写も少しはありますが、やはりその不条理さでしょう。
ちょっとしたことから譲れない少年たちと大人たちのすれ違いで双方こんなに死体が積みあがることとなりました。
しかも結局最後の最後まで逃げきれなかったジェニー。
彼女があのあとどんなひどい目にあったかは想像に難くないですが、こんなに救いのない話も珍しいです。