父の秘密のネタバレ見どころ解説※閲覧注意【狂気は躊躇を知らない】

父の秘密の原題は「After Lucia」Lusiaは主人公のロベルトとアレハンドロの母親の名前で、母親を失った二人の悲しいすれ違いを描いた作品です。

 父の秘密の評価

★★★★★

何度も目を背けてしまいそうになるお話で、最後どう着地するかと思い耐え抜いて見てよかった。

ラストのワンカット5分ですべてを理解しないといけない作品です。

グロはほとんどないですが、残酷な描写も多いですので、いじめの描写が苦手な人はやめたほうがいいです。

精神的に追い詰められる作品に耐えられる人はぜひ見てください。

「不快」なんていう単純な言葉では表せない作品です。

 父の秘密のあらすじ

ロベルトは車を修理に出していました。

かなりのダメージをくらっていた車は修理工場にて完璧に奇麗な姿になっています。

鍵を受け取り走り出し、快調に運転するロベルトですが、交差点で止まると、突然鍵を置いたまま外に飛び出します。

そのまま歩いてどこかへ行ってしまいました。

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ロベルトは娘のアレハンドロと二人で車に乗っています。

それは長い道のりで二人は新しい街に向かっています。

昔の街はお母さんが事故で亡くなったため、引き払い新しい街で新しい暮らしを始めるところでした。

アレハンドロはロベルトに古い車をどうしたか聞きます。

するとロベルトは売ったと言いました。

アレは新しい部屋の満足のようです。

学校も新しくなりました。入学のとき抜き打ちで薬物検査を受けることになります。

また、すぐに友人ができます。ホセ、カミーラ、イレーネ、ハビール、マニュエル。

彼らはアレハンドロがどこから来たのか、どこに住んでるのか、お父さんが何をしているかしきりに聞いてきます。

彼らとすぐに仲良くなり、家に遊びに行くようになります。

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アレは入学時の薬物検査が気になっていました。

最近マリファナを吸っていたからです。

当然結果は陽性であり、お父さんが呼び出されることになりました。

お父さんは新しい家や職場には中々慣れられませんでした。

特にレストランでシェフとして働いている同僚もレベルが低く、自分の満足できる仕事ができないことにも苛立っていました。

ちょっと道でマナーが悪い運転をしている人がいるとすぐ喧嘩になりました。

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そんなお父さんをアレなだめることもありました。

お母さんを失った悲しみを埋めるために二人はできるだけ支えあっていこうとしています。

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ある日、アレはホセの家でパーティをします。お酒、マリファナと手伝てホセと性交渉を持つことになってしまいます。

しかもホセはその性交渉を動画で撮影していました。

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翌日ホセが自分の撮った動画をなんとネットにアップしていました。

アレには友人から「アバズレ」というメールがきます。

カミーラはホセのことが大好きなのです。

ホセは自分は携帯を失くしてしまったから誰がアップしたかわからないと言い訳をしました。

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それからアレへの嫌がらせがはじまりました。はじめは陰険なものからはじまり、ついには友人のハビールたちも嫌がらせをしてきます。

しかし、そのいじめを先生や父には言えません。

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いじめはだんだんエスカレートしてきます。

時には裸に近い恰好をさせられ、写真を撮られ、髪まで切られてしまいます。

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髪を切られたアレはショックで父に顔を合わせられませんでした。

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しかし、ある日伯母からかかってきた電話でロベルトの車が道でキーが刺さった状態で発見されたと連絡があります。

アレが父に聞くと父は言葉を濁しました。

その後アレへの嫌がらせは度を増していきます。

食べ物といえないもので作られたケーキを無理やり食べさせたり、屈辱的な日々が続きます。

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ある日アレはバスターミナルに来ます。タスコ行きのバス(前に住んでいた場所)のチケットを買ってバスに並びますが、最後のところで踏みとどまり、バスには乗りませんでした。

彼女はもう少し頑張れると思ったのでしょう。

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そして、地獄の修学旅行がはじまります。

バスでも孤独。ホセが話かけてきますが、無視します。

4人一組の部屋割りは最悪でした。

アレはベッドで寝ることを許されず、トイレで寝ることになります。

部屋では友人たちが集まってパーティが始まります。

そのうちの一人のファッティが入ってきて、アレをレイプします。

その後もアレは動けず、アルコールを無理やり飲まされ、海へ連れていかれます。

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動けない彼女は友人に無理やり海へ放り投げられますが、海の波に流されてしまい、アレはどこかへ消えてしまいます。

さすがにまずいと思った彼らはアレを探し始めます。しかし、彼女は見つかりませんでした。

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翌日の点呼でアレがいないことに気づき、担任の先生が慌てて探します。地元警察も動き、大捜索がはじまりますが、アレは見つかりませんでした。

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そのころアレは自力で海からはい出し、身体一つでバスに乗っていました。

目指すは昔住んでいた家です。

バスの中でゆっくり安心して寝ていました。

そのころロベルトはアレが行方不明と聞いて、慌てて現地へ行きます。

しかし、現地では非協力的な友人たち、やる気のない教師、未成年は調べられないという無力な警察たちにロベルトは苛立ちます。

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仕方なく一度家に戻ってきたロベルトの家に一つのDVDが届いています。誰が届けたか、DVDにはアレの性行為の動画が入っていて、すぐに関係者が学校に集まりました。

ロベルト本人は

合意の上だった

動画はアレも知っていた

ネットにあげたのは自分ではない

と全く反省の色を見せません。

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友人が集まった会でも真実が話されることはなく、アレがどのようにいなくなったかはわからないままでした。

父の秘密の結末ラスト

ある日ロベルトはホセの家の前で彼を追跡します。

信号で車が止まると無理やりドアをあけ、彼を引きずり出し、自分の車に乗せます。

そのころ、アレは自分の旧家を訪れて、窓を割って中に入ります。ベッドしかないその部屋でご飯を食べて日がな1日ゆっくりと過ごしています。

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ロベルトはホセと一緒にある場所へ向かっていました。

時にモーテルで休み、着いた場所は船着き場でした。

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二人は船に乗り換えて、海原へ漕ぎ出します。

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ある一定のところまでくるとロベルトが船を止めます。

静かにホセのところに近づくとロープで縛った彼をひょうと持ち上げ海に投げました。

ロベルトは何事も無かったかのように海を来た道をそのまま引き返していきました。

父の秘密のネタバレ見どころ解説

すごい作品を見てしまった。

あまりにも衝撃的過ぎて、見終わった後に震えが止まらなかった。

確かに残酷だし、確かにひどい話で救いようがないが、それでも私が感じた見どころを伝えられればと思います。

愛する人を二度失ってしまった父

アレの父にとって最大の不幸は妻を失ったこと。

そして、その原因が娘と車を運転していたときに起きたことであること。

娘との運転中であり、妻の死に対して怒りをぶつける場所がなかったことが映画の随所で見られます。

職についてもすぐにイラだって、やめてしまう。

妻の車を見ると我を忘れて乗り捨ててしまう。

運転マナーが悪い相手がいるとすぐに因縁をつけてしまう。

彼の哀しみ以上に怒りのボルテージが上がっていくのがとてもよくわかるお話です。

そして次の不幸がアレを失ったこと(少なくとも失ったと思った)

でもアレの時は違います。

怒りをぶつける相手(ホセ)を彼はやっと見つけました。

妻の時にもぶつけられなかった怒りをまとめて彼はホセにぶつけます。

彼が縛ったホセを海へ投げる瞬間、一度も躊躇がありません。

海のシーンだけでノーカット4分間。

彼は一度も迷いを見せることなく淡淡とホセを海へいれます。まるで漁師が網を投げるように。

この主人公はアレハンドロではないのです。

父こそ主人公なのです。

描きたいのは抑圧された狂気が一気に開放されるところ。

それも静かに、ゆっくりと、確実に。こんなに長いワンカットは初めて見ます。

ありそうな展開と話し

救いのない話では、「隣の家の少女」がありますが。これはかなり残酷、狂気の沙汰の女がいて成り立つ話です。

隣の家の少女を120%楽しむネタバレ解説【閲覧注意】

そして今回のアレの話は結構ありそうな話ではないですか?

若気の至りで性行為の動画を撮ったカップルが動画を上げて学校中が知るところとなり、最終的にイジメにまで発展してしまいます。

実際に友人からのレ〇プなどがあったか詳細はわかりませんが、設定としてはありそうなのが怖いところ。

そして、アレの父はアレがどこまでイジメにあっているかわからないところがまたすごいです。

私たちはアレがレ〇プに近いことまでされているので自然と彼らに殺意すら湧きますが、アレの父が知ったのは

・性交渉を撮影された

・アレを友達が助けなかった

ここまでしか知り得なかったはずで、この後多くの残酷な真実を知ったアレの父親がどのような行動に出るかは想像するだけで鳥肌が立ちます。

事実は小説より奇なり。

実際社会性が確立していない子供のいじめはもっとひどいことも予想されます。

面白いカメラワーク

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上記の二つは車の運転と船の撮影シーンです。

これらはおそらくカメラマンが撮ったものではなく、カメラを固定してノーカットで撮ったものです。

ここらへんが物語をよりリアルに冷静なものにしています。

 最後に

父に秘密は確かに残酷な悲しいお話です。

それでもこの手の作品がある程度許容できて見れる人には忘れられない作品になるでしょう。

決して下げられない留飲をロベルトとアレハンドロは全く違うやり方で少しづつ下げていきます。片方はとにかく耐えて耐えて、時に逃げて発散するようにします。

もう片方はとにかく爆発させて発散させていきます。

そんな正反対の二人が不器用ながら支えあい、それでもすれ違ってしまう本作にどうしても満たされない満足感を感じてしまう私も悪い人なのかもしれません。