トラジディガールズの評価
★★★★☆
バイオレンスものをコミカルに描いている作品です。
ブラックジョーク満載、この笑いについてこれるかが作品の評価の分かれ道でしょう。
トラジディガールズの簡略あらすじ
マッケイラとサディは、ネット・セレブを夢見る女子高生二人組。
そんな彼女たちが住む町で、猟奇的連続殺人事件が発生!二人は事件の行方を追いながらSNSに情報を上げていくが、全くフォロワーが集まらない。
すると、彼女たちは綿密な計画を立て殺人鬼を捕まえることに成功。
しかし、警察に突き出すどころか、殺人鬼を監禁して、その代わりに連続殺人を続行。
自作自演で悲劇のヒロイン「トラジディ・ガールズ」を演じ、瞬く間にメディアやネットの人気者になっていく。
そして、話題を維持するために、その殺人方法はだんだんエスカレートしていくが、監禁していたはずの殺人鬼が逃亡し…。
トラジディガールズの詳細あらすじ
物語は霧の立ち込める橋の上に停車している1台の車からスタートします。
あ~明らかに襲われるだろう、この車、、、、
ベタ過ぎて胸がワクワクします!
この車でいちゃいちゃしているのが今回の主役サディとそのボーイフレンドです。
まあボーイフレンドと言っても名ばかりでその10秒後くらいに殺されます。
殺したのは世にも恐ろしい殺人鬼ローウェル。マチェーテかサラマンダーのような大きい刃物を振り回して一撃で相手を仕留め、、、、切れてない微妙な奴ではあります。配役もコメディアンですしね。
ただ、もうすでに4人(一人は殺し損ねたが)殺しているというとんでもないやつです。
しかし、残念ながらローウェルは油断していたところをサディと道端に隠れていたマッケイラに捕まってしまいます。
目を覚ますとローウェルは椅子にぐるぐる巻きにされて身動きがとれません。
そこでマッケイラとサディは今回の作戦をしゃべり始めます。
彼女らトラジディガールズという悲劇のヒロインを演じるハッシュタグでSNSをやっており、そこでの動画や投稿を多くの人に見てもらっていいね!やフォロー、リツイートをしてもらおうと考えたのです。
そのため殺人鬼を作り上げて、自分たちで事件を起こして、その情報でSNSの女王になる、という作戦でした。
そのあとの彼女らの活躍は目覚ましく、とにかくどんどん殺すことをはじめました。
ここからが怒涛の殺人ラッシュです。
手始めにうざそうな奴から殺していくことにします。
まず記念すべき1号はマッケイラの元カレでバイクにはまっているイケメンナルシスト君です。
彼は特に悪いことは一切していないのですが、たまたま目に止まったために彼女らにひき殺された上に、すぐに息を引き取れず全身を何度も刺される苦痛まで味わうことになりました。
続いてはチアリーダーです。
彼女らがチアをやっていること自体びっくりですが、やる気は全くないです。
また通常チアリーダーというとアメフト筋肉バカと付き合っているイメージですが、今回のチアリーダーはむしろ真面目系生徒会長で、いじめっ子を顎でつかう裏表のあるタイプでした。
当然そんなの彼女らが赦すわけもなく死刑。
居残りしていた図工室でしっかり電ノコで頭を切断します。
しかもこの流れが完全にファイナルデスティネーションを彷彿として(自分たちでも言ってましたしね)GOODです!
しかし、彼女らは思います。
「事故だと思われるのでは?」
いやいや、明らかに自己じゃねーだろ。と言いたくなる気持ちをおさえて、念には念を入れる彼女らは死体をしっかりとバラバラに切断して帰宅。
これだけ凄惨な事故、でなく殺人が起こればマスコミは一変します。
事件を取り上げているトラジディガールズのサイトはどんどん閲覧され、ついにはインタビューまで行われるようになります。これこそ彼女らが望んだ地位であり、求めていた結果です。
しかし、そうは問屋が卸しません。
チアリーダーの追悼式でなんとトラジディガールズの活躍が取り出される前に、消防隊のデブが自警団を組織することを提案し、注目は彼に集まります。
市民は殺人鬼がうろうろする街を守る彼のようなヒーローを歓迎します。
しかし、面白くないのは当然この二人。
「私たちの晴れ舞台を横取りされた」
完全な被害妄想ですが、気持ちはわかります。
3日天下どころか数日しか注目されませんでした。
せっかく一生懸命殺人鬼を捕縛して、知り合いを3人ぶっころして得たチャンスをこんな黒人に横取りされるなんてたまったもんではありません。
当然彼女らの次なるターゲットはこいつです。
まずは色仕掛けと毒殺による攻撃に出ます。
しかし、残念ながら計画とも呼べない計画のため当然破綻。
なんと二人で大男を撲殺してしまうという文字通りのジャイアントキリングを達成します。
そして、止めにウェイトの一撃で脳みそを切り取ります。
その頃サディの家に友人のジョーダンが訪れることになり、慌てて帰ります。なんとジョーダンはマッケイラを疑っていました。
そして、サディはジョーダンが奪ったマッケイラの使い捨て携帯を取り返すべく、後日ジョーダンの家へ向かいます。
時同じくして、殺人鬼のローウェルは見事脱出に成功します。
彼女の目的はサディとマッケイラを抹殺すること。
まずはサディを追ってジョーダンの家に襲い掛かります。
ジョーダンが刺され、サディが抵抗します。
そのころマッケイラがジョーダンの父親(警官)を起こし、反撃させ、ローウェルを退けました。
通報するサディは人知れずマッケイラの携帯を壊すのでした。
そのころ思わぬことがサディに置きます。
図らずともジョーダンを殺人鬼から救ったサディが警察から表彰されることになったのです。
みんなの前で祝福されるサディ。一方でマッケイラは面白くありません。
サディはみんなからちやほやされヒーロー扱いです。
ジョーダンも彼女にベタぼれで付き合うようになりました。
ついに二人はプロムの準備中に大げんかをすることになります。
仲直りできないままプロムの日になります。
ジョーダンとサディは一緒にプロム入りしますが、マッケイラはなんと殺人鬼ローウェルと一緒にプロム会場に向かっていました。
プロムで華やかな世界を期待していたサディですが、どこかつまらなそうです。
プロムのキングとクイーンに選ばれたときもなんだか不満そうでした。
同じころマッケイラはローウェルと一緒に会場入りし、まずは先生を切り刻みます。
サディは会場でマッケイラを見つけ舞台裏まで追いかけます。
そこで待っていたのはマッケイラとローウェルです。
マッケイラは全員血祭に上げることを提案します。
また、サディが昔ジョーダンの母親を殺してしまったことも話し始めます。
サディは戸惑いの表情を見せますが、次第に表情が明るくなっていきます。
その頃ジョーダンがサディを追いかけて舞台裏に来ると、ふいをついてサディを連れて逃げます。
トラジディガールズのラスト結末
逃げ出したジョーダンがサディに「本当の君はこんなんじゃない」と言ってそっとキスをします。そこでサディがニヤっと笑って一言。
「本当の私を知らないのよ」
ジョーダンの身体は次の瞬間、宙を舞うことになります。
しかも首にはばっちり縄がつけられており、ぶらぶら揺れています。
ちなみに殺人鬼ローウェルはあっさりとマッケイラが射殺しました。
復活したコンビ。
ジョーダンの母親を殺したことがサディにとってトリガーとなり、サイコパスになってしまった彼女は、その話を思い出すことで一度は失った正常な心を再度サイコパスに戻すことに成功します。
彼女たちは会場に鍵をかけ、中に火を放ちます。
元々燃えやすい素材でできた飾りつけたちはどんどん火の勢いを増します。
結局彼女たち以外は生き残ることができませんでした。
むしろ彼女たちは生き残った英雄としてマスコミ各社から取材を受け、本まで出版されることになります。
インタビューに対して「無名のまま生きたい」「普通の大学生活が送りたい」など最後の最後まで完璧な裏表を演じた彼女らはまさに最強のサイコパスでした。
トラジディガールズの見どころ
アルバトロスなので全く期待していなかった分、かなり楽しめた作品でした。さてでは見どころをレビューしていきます。
小気味いいほど胸糞悪い展開
評価を低くつけている人の主張は一貫して「胸糞悪い展開」の一言です。
確かにおバカなチアガールたちが、とにかくSNSで有名になりたい!みんなに注目さrたい!という作品で、チープすぎる動機やご都合主義すぎる展開ではありますが、逆にご都合主義すぎてこれはこれでいいのではないでしょうか。
シリアスな展開で都合がいいと白けてしまいますが、ここまでふざけていて、ろくでもないと、もはや応援したくなってすらきます。
本作はそんな「悪は必ず勝つ」という展開で真面目に生きている人間ほど殺されるというセオリーと真逆である意味現実に近い皮肉を許容できれば十分見れる作品ではないでしょうか。
ありそうな話
SNSで注目されたいから自分から事件をでっち上げる。
正直そんなに非現実的な話ではなく、結構世の中ではあるんじゃないかな?と思ってしまいます。
ユーチューバーとかがどんどん過激なことをしている世の中ですからついに人を殺す輩が出てきてもおかしくないですね。
斬新な設定
通常のスラッシャーものだと殺人鬼がとにかく人を殺しまくるところですが、今回は殺人鬼が捕まって、代わりに女子高生が町の人を殺しまくるというとんでもないストーリーですが、発想が面白い!
さらにSNSで有名になりたい!という欲望が、現在の若者思考にあっているというか、過激なことをやりそうなアメリカのアホなチアリーダーならあるかなと思ってしまいます。
ラストの火事は改善の余地あり
文句をつけるとしたらラストはなぜ火事にしてしまったのか。
せっかくここまでコミカルにファイナルデスティネーションとキリングフェイスを足して2で割ったようなスラッシャー映画になっていたのに最後が火事だなんてあっさり片付けすぎです。
ぜひ殺人鬼と三人でクラスの全員を切り刻む無双を見せて欲しかったところです。
最後に
私がひねくれた性格というのもあり、中々に楽しめた作品です。
どうせ、殺人鬼が現れるのであればむさ苦しいおっさんより、ピチピチの女子高生のほうがいいですよね(ピチピチは死語か)