※暴力的な映画ですので閲覧注意です
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ3の評価
60/100点
これまでのシリーズの中で一番残虐性が少ない作品。
1の続編として新しい作品を作りたかったのはわかるのが、リベンジ映画としての悲しみや残虐性が失われてファンは少しがっかりでは?
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ3のあらすじ
惨劇の森から逃れたジェニファーは名前をアンジェラと変え、素性を隠したまま新たな街・ニューヨークの片隅でひっそりと生活をしていた。そして絶望の記憶から逃れるため、とあるセラピーに参加をする。そこは性犯罪のPTSDに苦しむ人々の集まりだったが…
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ3のネタバレ感想
本作はアイスピットオンユアグレイヴで出てきたジェニファーが主人公の続編です。アイスピットオンユアグレイヴ2は完全に違うお話なのでややこしいですね。
発情アニマルからスタートしてレイプリベンジものの映画としては、前半で女性が陵辱され、後半で女性が仕返しをするという展開が主流でしたが、本作は正確にはリベンジではなくアベンジものです。
※リベンジは自分の個人的な復讐で、アベンジは他人の敵討ちだったり、社会的制裁を指します。
アイスピットオンユアグレイヴでは超人的な復讐劇を繰り広げたジェニファーが生き残って通常の生活に戻ろうとするものの、やはりトラウマが大きく人となじめない、攻撃的な発言をカウンセラーにする映像が繊細に描きだされています。
これまでと趣向の違う作品
良くも悪くもこれまでと趣向がかなり違うので見る人によってはがっかりするのではないでしょうか。
特にリベンジの対象が他人であることや、すでに全員被害者になっているところからスタートしてしまうため、どうしても被害者側に視聴者が感情移入しずらいところがあります。
それにやはり裁判で裁けない人間を個人的に裁くというのが当事者以外では感情移入しずらいですね。
しかも最後のほうはジェニファーの頭がおかしくなっている部分もあるのか、レイプしていないただのナンパ野郎まで殺そうとしてしまう始末。
まるでわざと捕まって捌きを受けたがったかのような描写でしたが、彼女の真意は映画では明かされていません。
レイプリベンジ映画の趣旨
ただし、レイプリベンジ映画というのはもともと社会的なメッセージを含んだものです。
1970年代にレイプで無罪となる事件が続いたことから、作られたのが映画発情アニマルです。
監督は自身が助けた女性が警察に行ったものの、ろくに取り合ってもらえなかった経験から発情アニマルを作ったと言っています。
そういう意味ではこのアイスピットオンユアグレイヴ3はレイプ被害者に寄り添う映画としてはその趣旨を忠実に守っているといえます。
アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ3の最後に
ラストはジェニファーが捕まり、囚人とカウンセラーをズタズタに殺す妄想で終わります。
ジェニファーがあそこまで残虐に変わってしまうのはやはり強いトラウマによるものですが、被害者であるはずの彼女が刑務所に入って捌きを受けるのはなんとも嘆かわしいです。
それにしてもカウンセラーや被害者の会の司会のオバサンが本当に腹立たしいです。正論しか言わない、綺麗事しか言わない彼女らは全く被害者に寄り添っていません。
ジェニファーは妄想で何度も彼女たちを刺し殺していますが、それを実行に移す前に自分を警察に捕まえさせたという見方もできるかもしれませんね。