映画イップ・マン(葉問)序章
映画イップ・マン(葉問)序章のキャストと評価
【キャスト】
ドニー・イェン 「かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート」「SPL/狼よ静かに死ね」「HERO」
サイモン・ヤム 「エグザイル/絆」「エレクション」「SPL/狼よ静かに死ね」
池内博之 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」「TAJOMARU」「桜田門外ノ変」
【スタッフ】
監督:ウィルソン・イップ「かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート」「SPL/狼よ静かに死ね」
アクション監督:サモ・ハン・キンポー「カンフーハッスル」「燃えよデブゴン」シリーズ「スパルタンX」
音楽:川井憲次 「DEATH NOTE」「リング」「劇場版ガンダム00(ダブルオー)」
評価:80点/100
映画イップ・マン(葉問)序章のあらすじ
伝説の映画スター、ブルース・リーにとっての唯一の師匠として知られる中国武術“詠春拳”の達人、イップ・マン(葉問)の壮絶人生を、ドニー・イェン主演で映画化した本格カンフー・ムービー。
その第1作。
1930年代の中国広東省佛山。家族と共に平穏な日々を送る詠春拳の達人、イップ・マンはその実力と人格で人々の尊敬を集める一方、彼を倒して名を挙げようとする武術家たちも多く、心ならずも手合わせをしては、いずれも一ひねりにしてしまうのだった。
ところが折しも日中戦争が勃発、佛山を占領した日本軍によって家屋を奪われ、窮乏を強いられる。
やがて空手の名手でもある日本軍将校・三浦がイップ・マンの実力に目を付け、日本兵たちに中国武術を教えるよう迫るのだが、イップマンはその申し出を断る。
イップマンは戦争下であっても中国人としての誇りを持ち続けることを呼びかけ、弱きを助け続けるのだった。
映画イップ・マン(葉問)序章のレビュー感想
実は元々イップマンは3の継承から見た口です。
3ではイップマンの生涯の後半で妻がガンで死ぬシーンがあるくらいです。(ネタバレですね)
イップマン序章での敵は日本軍です。
アメリカにとってはロシアが、そして中国人にとって最大の敵は日本なのでしょう。もちろん、反日の感情丸出しでスタートする本作ですが、一方で日本人の中でも三浦というイップマンの才能を認め、正々堂々とイップマンに勝負を挑むという、単純な勧進帳悪ではありません。
むしろ全員戦争というゴタゴタの中での出来事であり、社会という枠組みが壊れた中での小競り合いですので単純な善悪の話ではないというこの時代設定をまずは認識しなければ本作の本当のおもしろさはわからないと思います。
映画イップ・マン(葉問)序章のおもしろさは
個人的な見解では本作のおもしろさは単純なカンフー映画だけではないと思っています。
もちろん、ドニー・イェンのカンフーは素晴らしいですしそれだけでも十分見ごたえはあります。ただこれは準ドキュメンタリーであり、イップマンという実在の人物を描いた伝記なのです。
エンディングで述べられる「イップマンは最後まで日本軍には従わず、民衆に団結することを呼びかけた」というところからも本作の中心はイップマン自身の正義を示していく過程が最大の魅力であると思います。
具体的に言えば、本作のはじめは豊かな生活、師匠という安定した地位、美人な嫁にかわいい息子、そして絶対的な強さというもはやイップマンが存在してもしなくても社会にとってはどっちでもいい設定からスタートします。
ですが、戦争がはじまり日本こそ正義、これまでの安定した地位も失い、カンフーの強さなどどうでもよい世の中になってしまって、イップマンの中の正義が目覚めます。
実は3の継承を見ていた時からイップマンの余裕がありすぎてそれが気に入りませんでした。
でも本作では感情をむき出しにして、日本という敵を憎み、秩序の失われた世界でそれでも自分なりに正しいことを貫こうとするイップマンのかっこよさが本作ではしっかり描かれていたと思います。
イップマンの強さはカンフーという物理的な強さだけでなく、ラストの三浦との闘いの中でも本来は負けて当たり前の接待の中で自身の闘争本能を最大に発揮し、相手をボコボコにします。
そして、その強さは自身に留まらず、周りの人間にも波及していきました。あんなに日本軍に媚を売っていた李釗も最後は日本に反抗することを覚え、民衆もラストではイップマンが暗殺されそうになると怒って動き出しました。
綿花工場ではこれまでカンフーなんてやったことなさそうな人たちがイップ師匠の教えにより、自分の身を守ることを覚えていきました。
このように本作のおもしろさは単純なカンフー映画ではんく、イップ師匠の周りにいる人間をどんどん成長させるその人間的な魅力にあります。
イップマン序章の最後に
ストーリーはシンプルですが、その中に人間としての力強さが出ていました。三浦による格闘場の件によりイップマンは自身の中の眠れる獅子に気づきました。
その過程はしっかり描かれていることは単純なストーリーの中にもとても力強さを感じました。
もちろん、詠春拳の実際の取得者による監修を受けている本作ですからとてもアクションとしての魅力もあります。
にしても日本軍は本当にこれぐらい憎まれているんですかね。何とも心苦しい気持ちです。ドイツはヒットラーがひたすら悪者になっていますが、日本の場合は特定の人物というよりは国が、民族が、悪いという風に言われているような気がして心苦しかったです。