映画「アフターショック」のネタバレ解説と感想【本当に怖いのは人間】

鬼才イーライロスがチリでの地震をもとに作ったパニックホラーです。本当に怖いのは地震ではなくて、人間なんですよね。

あらすじ

運の悪いアメリカ人観光客のグリンゴ(イーライ・ロス)、彼のチリ人の友人アリエル(アリエル・レヴィ)とポロ(ニコラス・マルチネス)。
彼らにとって、今回のチリ旅行は最高だった-かわいい女の子がいないことを除けば-!
は、美女さえいれば“友人達は満足してくれるはずだ”と考え、ロシア人モデルのイリーナ、パーティー番長のカイリー、カイリーの真面目な妹モニカの3人の美女をナンパし、うまい具合に一緒にバルパライソの街を観光することに。
6人の男女は、ダンスクラブに繰り出すのだが、その時、巨大地震が街を襲う! 至福の時間だったはずが一転、死と破壊の地獄絵図と化す。
不運なグリンゴ達一行は、街で暴れる略奪者や、脱獄した囚人達、余震の恐怖から、命を守るために逃げなければならない!

ネタバレ解説・感想

まずアフターショックは地震の悲劇に関する映画です。
日本人は地震に関して痛い思いをしている方も多くいらっしゃると思いますのでそんな方には視聴はおすすめしません。

しかもこの作品あのイーライ・ロスが絡んでいる作品とあって見る前からはちゃめちゃであることが十分予想されます。
もとい、イーライロスだからこそ容赦ない現実をモザイクなしでぶつけてくる可能性があります。

そしてその予感は的中します。

物語はチリ。
チリ地震をイメージして作られたこの作品は地震が起きた場合に起こりうるあらゆる不幸を網羅しています。

アメリカ人観光客グリンゴはチリでポヨの案内で観光を満喫します。

現地で美女3人とも合流しテンションはマックス。
クラブで踊っていてその日は訪れます。

突然の揺れ、建物の倒壊。
逃げる人々、轟く悲鳴。
倒壊する建物の下敷きになる人、ガレキに埋もれて死んでしまう人もいます。

交通機関も停止します。ケーブルカーは満員。メンテナンスが不十分なケーブルカーは無残にも運転中に暴走し、多くの死者を出します。

本作ではパニックに要素あり、とにかく人が死にます。
行く先行く先危ういところが多くあり、互いに助ける余裕がありません。

そして最悪の展開が、、、

刑務所が崩壊、囚人が逃げ出すことで街のモラルはさらに下がることになります。
略奪、レ○プも横行しもはや地震だけでない被害がどんどん出ます。

本作のアフターショックという名前のとおり、実は地震自体の被害よりも地震のあとの人間のモラルの崩壊のほうがとても怖いです。
モラルが崩れると人間は欲望に走ります。食べ物の略奪や女性のレ○プなど人間の根源的な欲望がむき出しになります。そこに人間の怖さがあります。

そしてイーライロスという不安要素がまさに的中します。
本作ではとことん救いがありません。

相手を助けようとすればその人は確実に死にますし、見殺しは当たり前。
ギャングに拷問されて仲間の居場所をバラすシーンもありますし、イーライロスは相変わらず極限状態での人間の弱さを描くのがとてもうまいですね。

そういう意味では見ていてあまり気持ちのいい作品ではないですが、逆にそれがリアルですね。

そして最後、必死に生き残ってきたのにすべてを津波が洗い流してしまいます。
こんなに必死に逃げて生きてきたのにこの不条理な展開は、、、、、、

最後の最後までつらい映画でした。

アフターショックの最後に

不条理すぎる映画ですが、そこがいいという方はぜひご覧ください。
ホステルほどの不条理さはないですが、やはり人間の見醜い部分や救いの無さが存分に満喫できる作品になっています。