評価レビュー
★★★★★
前作パージの大ヒットを受けて制作された正統派続編のパージ:アナーキーです。
パージシリーズはシンプルでかつ大胆な設定の中で描かれる、スリル、愛情、友情、尊厳、葛藤が見事に描かれる究極のスリラー映画だと思っています。
特に前作よりもよりパワーアップし、オープンワールドになった世界観と登場人物のそれぞれの思惑が錯綜する展開は続編ながら違った面白みを味合わせてくれます。
なお、前作はこちら。
続編はこちらです。
経済崩壊したアメリカは治安維持のため、毎年1年に一度、殺人を含むすべての犯罪を合法化するパージと呼ばれる日を制定していました。
パージの日、ロサンゼルスに住むウェイトレスのエヴァは娘のカリとともにアパートに閉じこもっていると同居する父がいないことに気づきます。彼は生活が苦しいエヴァたちのために自らをお金持ちに売ったのでした。
悲しみに暮れるのもつかの間、同じマンションに住む住人が彼女たちを殺しに来たり、謎の武装した集団が部屋へ押し入ってきます。
同じころ、シェーンと妻のリズは車で家への帰り道、車がパンクしてしまいます。
タイヤを見ると誰かに故意にパンクさせられた跡が残っています。
パージが今にもはじまるため焦る二人は歩いて家路につきます。
武装集団に捕まったエヴァたちですが、たまたま通りかかったレオが見るに見かねて彼女たちを助けます。
車に戻るエヴァとレオたちはレオの車に忍び込んだシェーンたちを見つけます。
仕方なく運命共同体となったレオ、エヴァ、カリ、シェーン、リズは銃を構えながら無法地帯となったロスの街を歩き、エヴァの友人ターニャの家に向かうのでした。
しかし、ターニャの家も安全ではなく、彼らは謎の集団に捕まってしまい富裕層の狩場に連れていかれてしまうのでした。
結末ラスト
富裕層たちの狩場から逃げ延びたレオは当初の目的である自分の息子を殺した男ウォーレンの家に向かいます。
レオは裁判で無罪になった彼が許せずパージの日に復讐する計画を立てていました。
ウォーレンを追い詰めたレオですが、結局彼を殺すことはできませんでした。
そのころ武装集団がレオを追いかけてきます。
撃たれたレオは倒れますが、ウォーレンが武装集団を迎撃します。
エヴァも加勢して膠着状態になりますが、そこでサイレンの音がなりパージが終了します。
エヴァはレオを急いで病院へ連れて行くのでした。
ネタバレ感想・解説
パージシリーズの第2作目です。
1作目からより世界観が大きく、より混乱した世界を描くこの2作目のパージ:アナーキーは1作目から見ても楽しめますし、今作から見ても十分内容が理解できる作品になっています。
今回はこのパージ:アナーキーの魅力を感想とともに解説していきます。
パージとは
パージとはそう遠くない未来で経済崩壊したアメリカが舞台のお話です。
その世界では貧富の差が激しくなり、犯罪率は増加の一途をたどっていました。その時に政権をとったのが、「新しいアメリカ建国の父たち」という人たちでした。
彼らは、増える貧困層と犯罪抑制のために「1年に一度、殺人を含むすべての犯罪がが合法化される」パージという制度を作ります。
パージの目的
パージの目的は「犯罪の抑制」と言われていますが、裏では”貧困層を殺すことによって社会保障制度の安定を図る”ことを目的としています。
ですので、パージの日にはお金持ちは家を防衛システムで多い、強力な武器で戦いますが、貧困層やホームレスはただただ逃げ惑うしかないのです。
この辺のお話はパージの1でした。
パージの制限事項
全ての犯罪が合法化されるパージですが、いくつか禁止事項もあります。
・一定クラス以上の武器の使用の禁止
・一定クラス以上の人物への犯罪行為の禁止
一つ目は爆弾など破壊力が高い武器は、それ自体が国を滅ぼしかねないので禁止されています。
二つ目は主に政治家を守るための法律です。テロを起こさせないための法律とも言えます。
シリーズ3作目ではこの2つ目の一定クラス以上の人物への犯罪行為の禁止は撤廃されます。
結果的にこの3作目では議員や大統領候補が狙われることになります。
パージシリーズの時系列
パージシリーズの時系列はナンバリング順ではありません。
まずは4作目のパージ:エクスペリメント
次にパージ1作目
そして、このパージ:アナーキーです。
さらに続編がパージ:大統領令です。
ちなみにどこから見ても十分楽しめるようになっています。
パージの魅力
1作目と比較して、このパージ:アナーキーには以下の特徴があります。
・登場人物の多様化
・シーンの映り替わり
・世界観の醸造
まず登場人物はそれぞれが訳ありです。
主人公のレオは自身の子どもを殺された復讐をしにいく途中でエヴァたちを助けるような心に葛藤のある人物です。
エヴァは貧困層の代表であり、女性という立場でも周りから狙われる存在です。
そんなエヴァは自分だけでなく娘のカリを守りたいと思っており、彼女を守るためならレオに嘘だってつきます。
カリは若さゆえの無謀さもありますが、絶対的な倫理観でレオを諭す重要な役割を持っています。
シェーンとリズは離婚まじかの不安定な存在です。生き延びるために一時的な共闘を行いますが、それでも二人の関係はパージに翻弄され続けます。
こういった人物の多様化が2作目で作品の深化に大きく貢献しています。
また、シーンの移り変わりが激しく、展開が早いのも視聴者を飽きさせない工夫が見れます。
特に「パージの世界で人々はどう動くのか?」という世界観の醸造はお見事です。
お金で人間狩りを楽しむものもいれば、その人間狩りのために人間を調達してくるやつもいれば、日ごろの恨みで行動するものもいれば、殺人を楽しむものもいます。それぞれがパージの日に各々動くことで展開の読めない作品と臨場感を生み出しています。
最後に
本作で最後に人の心を失わなかったレオは第3作目のパージ:大統領令にも出演しています。
ぜひさらにパワーアップした第三作目も楽しみに見てみてください!