映画ローライフのあらすじとネタバレ感想【下層社会の光と闇の物語】

 ローライフの評価

★★★★☆

映画好きな人にこそ見てほしい作品ですね。

特にクエンティン・タランティーノ監督の代表作「パルプフィクション」が好きな人にはおすすめの作品です。

時系列もバラバラ、特に目立った主人公がいるわけではないのに見事に作品として予定調和が取れている良作です。

 ローライフのあらすじ

不法移民、チンピラ、ジャンキーなど治安の悪さが目立つメキシコ国境付近。

その暴力性からプロレス界を追放された元覆面レスラーでのモンストロは、自分の妻で子供を身ごもった元売春婦で、薬物中毒のケイリーを守るために街を牛耳るテディのために悪事に手を染めていきます。

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モーテルを経営するクリスタルは元アル中で過去に娘のケイリーを捨てました。

彼女は今病気の夫の腎臓をケイリーから移植を受けるためにテディにお金を払います。

しかし、ケイリーは妊娠しており、腎臓移植のことなど知らずテディに騙されていました。

ナチスのカギ十字を入れたランディは刑務所でキースの代わりに投獄されていました。出所の日、迎えに来たキースはランディにテディを脅すように仕向けますが、失敗し、逆にテディのためにケイリーを腎臓移植のために拉致するように言われます。

悪党テディを中心に絡み合う運命の彼らはついに、テディに立ち向かうことにします。

 ローライフのネタバレ見どころ解説

治安の悪い町での下層の人たちの生活=ローライフを描く映画です。

この映画の魅力はシナリオ展開とキャラクターにあります。

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パルプフィクションに通ずるシナリオ

クエンティン・タランティーノ監督を世に知らしめた最高の作品「パルプフィクション」

そのシナリオの作り方を受け継いでいる本作です。

複数のキャラそれぞれの生きざま(ストーリー)を時系列を遡らせながら次第に同じ運命のラインに上ってくる結末。

人間それぞれにスポットを当てることで一見バラバラな作品になりそうで、それをうまくまとめあげて、一つの目的へと昇華させていく展開はまさにお見事と言えます。

今親しい人も、出会う前は他人同士で別々の道を歩いていた人たちです。今日すれ違った他人も名前も知りませんが、それでも彼は彼の人生を生きている、そんな当たり前のことがとっても新鮮に「いいな~」と思える作品なんですね。

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個性的なキャラクター

この映画では正義のヒーローや主役と呼べる人は出てきません。

それどころか文字通りローライフ=下層で低俗な人々ばかりで、ロクな奴はいません。それでも必死に生きているというか、真面目に生きているんですよね。

それぞれが不器用で、過去には悪いことをしたけど実はいいやつなんだというのが、さしづめ日本映画で言えば粗暴な三丁目の夕陽というところでしょうか。

むしろカギ十字の刺青を入れているランディよりも、ランディをどこまでも利用しようとする会計士のキースのほうがロクでもない奴だったり、人は見た目によらないんですね。

脇役たちの集合体

本来映画ではスポットが当たらない人たちの生きざまという矮小なテーマでありながら、それでもやはり掃き溜めのツルは美しいもんです。

個人的にクリスタルとケイティーの話が一番好きです。

アル中で昔捨てた娘から腎臓をもらう、夫はそれが耐えられなくて「娘にこれ以上迷惑をかけられない」と言って頭を吹き飛ばす。なんとも救いようのない話の中でも、それでも生きていかなければならないクリスタルは捨てたはずの娘を助けに向かうのです。

なんとも矮小な話であるものの、人情味ある(?)話ですよね。

マーベルヒーローには絶対なれない彼らですが、それぞれの勇気が光ります。

最後に

”粗暴な三丁目の夕日”のようなこの映画。

個性的なキャラクターが残酷な現実に翻弄されながらも 必死に生きていく姿をぜひご覧ください。