エンド・オブ・トンネルの評価
★★★★★
車いすの男が犯罪者と知能勝負するという面白い作品です。
派手な作品ではないものの、手に汗握る場面もあり、起承転結もしっかりしているので見やすい作品です。
エンド・オブ・トンネルのあらすじ
事故で妻子を失い自身も車椅子生活を送っているホアキンは人生に絶望していました。
ある日家の2階部分をストリッパーのベルタ親子に貸すことにします。
ベルタは人を避けていたホアキンに積極的に話しかけ、少しづつホアキンも明るさを取り戻してきます。
ある日地下で作業をしていたホアキンはふと隣で誰かが地下にトンネルを掘っていることに気づきます。
聴診器やカメラを使い慎重に隣の様子をうかがっていると、彼らが銀行に押し入って貸金庫の中身をねこそぎ奪おうとしている計画を耳にします。
ホアキンは彼らの計画を邪魔してお金を奪うことを計画します。
ある日、いつものように計画を盗み聞きしているとベルタたちがその計画に関与していることを知ります。
失望するホアキンでしたが、ベルタの娘が犯人に性的虐待を受けていると気づくと彼女らを助けるべく犯人グループのお金を奪う計画を立てます。
犯行当日いち早く銀行のギャングの貸金庫からお金を奪ったホアキンは、犯人たちの爆弾で水道管を爆破し、犯人たちとトンネルを水没させます。
驚いた犯人たちは一目散にアジトから退散します。
計画がうまくいったホアキンでしたが、犯人たちがホアキンの家まで乗り込んできます。今回の計画をホアキンが邪魔したと気づいた犯人たちはホアキンを殺そうとします。
結末ラスト
ホアキンは犯人たちに裏切り者がいるかのような発言をします。
犯人の一人がベルタとできていて、計画を邪魔してお金を奪うと思わせたのです。
お互いに疑心暗鬼になった犯人たちは銃を乱射し相討ちになります。
最後のリーダー格はベルタによって殺されます。
黒幕のボスはホアキンが作った毒入りのクッキーを食べて事故を起こしてしまい、事故を起こした車からは死体が見つかります。
生き残ったホアキンたちは家を売りに出し、出ていきます。ベティがホアキンの手を握ります。
エンド・オブ・トンネルのネタバレ感想
ハラハラドキドキな展開
スリラーというのはアイデア次第でいくらでもハラハラどきどきさせられるのだと気づかせてくれる作品でした。
普通であればなんてことないことが、下半身不随であることで自由に動けないことでここまで制約されるのかと。
中盤のトンネルの中に侵入して犯人たちから逃れるシーンでは、単にトンネルに入って抜け出てくるというなんてことはないシーンでも下半身が動けないという設定だけでこんなにも迫力あるドキドキなシーンになるんですね。
ホアキンの機転
この作品は中盤の単なるスリラーでドキドキするだけの話ではありません。
特にラストが秀逸で、お金を奪ってトンネルが沈没、犯人たちが撤退するということで終わり、とできるところで”もう一歩”踏み出した作品になっています。
それは犯人グループがホアキンの家に乗り込んでくるのです。
相手は銃を持った健常者、こっちは車いすの自分一人の圧倒的不利な状況でとにかくホアキンの頭が冴えわたります。
犯人同士の人間関係やベルタとの関係を巧みに利用し、犯人グループの関係をぐちゃぐちゃにし、最終的に相打ちまでもっていきます。
多くの伏線の回収
物語の伏線回収もお見事でした。
・犯人の名前や計画を盗聴⇒犯人を相討ちにさせる
・犬のカシミールの安楽死用クッキー⇒犯人が食べる
・犯人が失くした時計⇒ホアキンと犯人の一人がグル
他にもいっぱいあるのですが、このように何気ない出来事が見事に回収されていくのは純粋に見ていて楽しかったです。
ちなみに他のレビューでは「ご都合主義すぎる」という指摘も見られますが、正直ここまでうまくはまっていればむしろ「お見事」と評価してもいいのではないでしょうか。
(たしかに、ガレリトの銃弾が切れたこと、黒幕のボスがクッキーを食べたのは完全に偶然でしたが、、、、)
ホアキンの人間的成長
この物語の土台にはホアキンが妻と子供を失った悲しみから生きる気力を失っているという前提があります。
おそらく無き妻子の忘れ形見であろうカシミールをあっさりと安楽死させようとするのもその象徴の一つです。
ベルタと出会い、まずはカシミールが生きる気力を取り戻します。そしてその後金を奪うという目標とベルタたちを助けるという目標を達成するために死力を尽くします。
そして、ラスト犯人グループが乗り込んできたところで必死に生きる活路を見出そうとするホアキンには冒頭のような絶望はありませんでした。
エンドオブトンネルの最後に
スリラー、サスペンス、ヒューマンドラマなど多くの要素をバランスよく取り入れている良作だと思います。
主演を演じているレオナルド・スバラーリャの半身不随もリアルに表現されており、拍手喝さいです。
どんな方でも楽しめる作品だと思いますのでぜひ一度ご鑑賞ください!