トンネル~闇に鎖(とざ)された男~の評価
★★★☆☆
インターネット上で非常に評価が高い本作ですが個人的にはそれほどではなかったです。
パニックものと見せかけてヒューマンドラマという作風が 少し好きじゃなかったとしか言えないですね。
闇に鎖されたという感じも特になく終始明かりのある明るい映画だったというのが少しいただけなかったのというのが正直なところです。
トンネル~闇に鎖(とざ)された男~のあらすじ
ジョンスは車のディーラー。
ガソリンスタンドでガソリンを入れ妻セヒョンと娘の待つ自宅へと車で帰ろうとしていたところ、突然トンネルに入ったところで崩落事故に巻き込まれて車ごと生き埋めになってしまいます。
手元にはガソリンスタンドでもらった水のペットボトル2本、誕生日を迎えた娘に買ったケーキのみがあり、それだけで救出まで生き延びなければなりません。一方、トンネルの外ではレスキュー隊を率いるキムらが救助に取り掛かりますが、手抜き工事、不正確な図面、真冬の積雪など悪条件が重なり、救出は困難を極めます。
そんな中救出作業中に救助隊に死人が出てしまい、またトンネル開発が遅れることによる経済損失が大きいという理由から救出作業は打ち切られてしまいジョンスは自力でトンネルを脱出することを決意します。
トンネル~闇に鎖(とざ)された男~ネタバレ感想
韓国で4週連続1位というパニックものにあるまじき記録に惹かれましたが、ふたを開けてみればなんてことはない、完全にパニックものではなく、ヒューマンドラマだったということで少し残念でした。
今回もよかった点といまいちな点を一つづつ整理していこうと思います。
生きるという意思
パニックものという観点から一番感じたこの「生きる」という意思です。
通常パニックものの場合はとにかくがむしゃらに泥をすすりながら「死にたくない」という感じを汚らしく描くのですが、今回は愛する奥さんとの関係から「生きて帰る」という意思をとても感じる描写は大変うまく描けていました。
特に通常「生きて帰る」という描写は血だらけになったり、人を殺して食べ物を奪ったり、人を見捨てて「生きて帰る」というケースが多いのですが、最初から最後まで美談で進みますので、誰でも安心して見れる作品です。
良くも悪くも前向きな主人公
主人公のジョンスはとにかく前向きです。
とんでもなく長いトンネルの中で自分が入り口にも出口にも近くない場所にいて完全にトンネルが崩壊していれば、冷静に考えてみて「助からないかも」という考えがくるはずなのですが、妙に落ち着いています。
少し計算すれば彼らが助けに来るのは何日も先ですし、助けに来れるかもわからない状況で、能天気なくらい明るいのです。
もちろん「だから彼は助かったんだよ」と言えば終わりなのですが、個人的にはなんだか非現実っぽくてそれが残念です。
韓国社会の闇
本作を語る上で外せないのが韓国社会の闇でしょう。
日本だったら「そんなことありえる?」と思えるような描写が数多くあります。
手抜き工事の多い公共事業。
経済的損失が大きいから、と言う理由でもしかしたら生きてるかもしれない相手を犠牲にしてまで工事を開始する業者。
形だけ取り繕おうとする女性首相。
ジョンスのせいでないのに作業中の事故をジョンスのせいにする世論。
ジョンスを面白おかしく報道し、煽った上で最後は悪者にする世論。
結果がうまくいったら、それまでが嘘のようにきれいなストーリーを作るマスコミ。
挙げだしたらキリがないですが、最後にジョンスが「お前ら全員くそだ!」というのがこの映画の最初から最後までを表す言葉なのです。
この映画に相応しい題名は「お前ら全員くそ」。これで決まりです。
(もちろん作品自体はよくできていますよ)
ジョンスは助かったあとテロリストにでもなっておかしくないはずなのですが、、、最後はハッピーエンドです。
脱出のシーンのカット
パニック映画でないのだから正直トンネルからの脱出シーンはどうでもよかったのかもしれませんが、それにしても脱出シーンがあっさりすぎます、、、、5分で脱出って、、、
もちろん爆破で色々緩くなってたから、、、というのはあるかもしれませんが、韓国映画特有の人間関係のドロドロはしっかり描いて、展開だけ以上に速いという典型です。
最後に
そうはいってもいい映画だと思います。
個人的にパニックものを期待していた分、残念だったというのがありますが、ヒューマンドラマを期待してみれば「いい映画見たな」と気持ちよく映画感を後にすることができるでしょう!