フラクチャードの評価
★★☆☆☆
当初のワクワク感から最後どう着地するのか、どんでん返しを期待してしまった分、ラストにはしっくりこない部分が残る作品でした。
この手の映画では”意外性”が最も重要な要素になりつつ、消えた妻子という弱きものを救う”正義”こそ観客が求めているものと思いますが、結局はその両方とも叶えられることなく映画は終わってしまいます。
フラクチャードのあらすじ
父親のレイ、妻のジョアン、娘のペリのモンロー一家は旅行途中で休憩したスタンドでペリが野犬に襲われ工事現場に落下、怪我をしてしまいます。
レイはあわてて病院にペリを連れていき、診察してもらいますが、医師から念のため脳のCTを取ることを進められます。
CTをとるため地下に付き添いで降りられるのは一人だけといわれ、レイはその日のモーテルを確保するために待合室で待つことにし、妻と娘をエレベーターで見送ります。
待合室で居眠りをしてしまったレイは時間がだいぶたっていることに気づき、受付でCTをとった二人の現状を聞きに行きます。
しかし、CTを取っているはずの二人はすでに姿がなく、それどころかその日にCTをとった患者はいないと言われてしまいます。
妻子が消えてしまい混乱するレイですが、通報によって駆け付けた警察と協力し、病院でぺりたちを探します。
しかし、カルテはおろか、院内の防犯カメラにもペリたちは映っていません。
担当した医師や看護師もレイのことは覚えていましたが、ペリやジョアンのことは知らないと言います。
混乱で興奮するレイですが、病院の精神科医の勧めでぺりが怪我したというスタンド近くの工事現場へ行くことになります。
現場へ行くとそこには大量の出血があります。
警官たちはそこが事件現場でレイが重要参考人ということで彼を拘束します。しかし、そこで野犬を見つけたレイは自分の記憶は間違っていないと確信し、警官の銃を奪い取り彼らを監禁し、自分は病院に戻ります。
病院にうまくもぐりこんだ彼は一目散にペリたちが下りて行ったエレベーターへ向かいます。
警備員からカギを奪った彼は地下で手術を受けるペリを見つけるのでした。
結末ラスト
警官から奪った銃で医師たちの手術をやめさせたレイは、薬を撃たれてぐったりしているジョアンと手術台に寝かされたペリを車いすに乗せエレベーターに向かいます。
うまく脱出したレイは急いで車に二人を乗せ発信します。
ペリは骨折した腕を痛がりながらレイに歌ってとせがみます。
しかし、車のバックミラーにはそこにいるはずのジョアンとペリの姿はありませんでした。
彼女らはレイの作り出した幻想なのです。
レイははじめの工事現場での事故でジョアンとペリを失ったショックから自分を精神的に守るために、脳が幻覚を見せていたのでした。
レイが歌いながら運転する車はジョアンとペリの遺体を乗せて、家路につくのでした。
フラクチャードのネタバレ感想
ネットフリックス(Netflix)独占映画フラクチャードです。
消えた妻子を探すために男が奔走する映画ですが、同様の映画で言えばジョディーフォスターのフライトプランなどがありますね。
ただ、残念ながら個人的にはフライトプランのほうがよく脚本が練られており、こちらのフラクチャードについては想定していたラストに着地する形でした。
娘はどこへ行ったのか?
物語は終始「妻子はどこへ行ったのか?」という問題が付きまといます。
結局その答えを出すために奔走するわけで、大きく2つの結論が予想されました。
①主人公のレイは正気で、妻子は病院側の臓器売買のために隔離されてしまった。病院側はそれを必死に隠そうとレイを異常者扱いする
②主人公のレイはイカれていて、妻子は既に工事現場への落下で死んでいる。病院側はすべて本当のことを言っていて、レイの完全な独り相撲
物語は①の路線で進みつつ、結局②というオチでした。
フライトプランなど、子供がいなくなる系はおおむね①が多いのですが、結論としては②で意外でした。
ただ、②でいくのであればもう少しシナリオは考えて欲しかったところです。何しろ②のようにレイが見えている景色が全て幻影で、独り相撲になってしまうともはや何でもありの状況になってしまうのでお話として「がっかり」なものになってしまうからです。
終始独り相撲の主人公
やはりこの映画に惹かれないのはサム・ワーシントンの独り相撲が結局独り相撲だったということにつきますね。
サム・ワーシントン自体、正直アバターの時からどうも野生児っぽいイメージがあり、ターミネーター4で滑り、主役でやった崖っぷちの男では身体を張ったものの少し強引でつっぱしる知能が低い感じが否めません。
そして、今回も結局妻とうまくいっていないレイ役で不器用なゆえに妻も子供も失ってしまうというなんとも救いようのない役をしていました。
そういう意味では監督の狙い通りなのかもしれませんが、終始なんだか好きになれない主人公が結局そのまま映画としてエンディングを迎えてしまったと言えます。
最後に
ネットフリックス(Netflix)映画としては出来があまりよくない映画でした。
オリジナル映画だとこれぐらいなのでしょうか?
バードボックスや嵐の中でなど面白い映画もあるのでぜひもう一度ネットフリックス(Netflix)本領発揮の映画を作ってほしいものです。