シャッターアイランドはレオナルド・ディカプリオ主演のサスペンススリラーです。
全てが謎だらかの不思議な島、”シャッターアイランド”を舞台にこの島で起きている謎を解き明かします。
今回はそんなシャッターアイランドの謎を見逃した方向けに解説をしていこうと思います。
(ネタバレを多分に含みます)
シャッターアイランドのあらすじ
連邦保安官テディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック・オール(マーク・ラファロ)らは、ボストンハーバーの孤島シャッターアイランドにあるアッシュクリフ精神病院を訪れる。
断崖絶壁能古島からレイチェル・ソランドという1人の女性が行方不明になったのだ。
彼女の部屋を調べていくと”4の法則、67は誰?” という謎のメッセージが見つかり、その後も多くの謎が見つかる。
関係者の証言からダニエルズはこの島には何か秘密があるのではと疑いはじめる。
強制収容されている精神異常犯罪者たちの取り調べを進める中、その病院で行われていたマインドコントロールの事実が明らかとなる。
捜査が進む中で突然レイチェルが発見され、謎は深まるばかりであった。
シャッターアイランドのネタバレ解説
展開が2転3転するシャッターアイランドはとてもテンポがよく見ていて楽しめる作品になっています。
ただし、色々な伏線があるのでその点を見逃してしまうと作品として完全に理解できなくなってしまいますので少し解説していこうと思います。
エドワードダニエルズとアンドリューレディスの関係
本作最大の謎であるエドワードの妻を殺したというアンドリューレディスとは何者でしょうか。
結論から言えば両方とも同一人物です。
過去レディスの妻は自殺願望を持っており、子供を全員湖で溺死させてしまい、レディス自身が妻を殺します。
その現実に向き合えずに作り上げたのがエドワードダニエルズという人格であり、精神病棟で収容されたあとも捜査官ダニエルズとしてふるまっていました。
テディ・ダニエルズは連邦保安官か?
イエスでありノーでもあります。
レオナルドディカプリオ演じるダニエルズはレディスの作り上げた別の人格ですが、レディス自身は元々連邦保安官です。
しかし、今は精神を病んでシャッターアイランドの精神病棟に収監されています。
今回ロールプレイ療法の試みのために一時的にダニエルズを保安官に仕立て上げています。
“4の法則、67は誰”の意味
エドワードとレディスが同一人物であったように、今回失踪したレイチェルソランドーとレディスの奥さんで殺害されたドロレスチャナル(チャナルは旧姓)も同一人物です。
エドワード、レディス、レイチェル、ドロレスの4つの氏名にはそれぞれ共通点があります。
EDWARD DANIELS ⇔ ANDREW LEDDIS
RACHEL SOLANDO ⇔ DOLORES CHANAL
それぞれがアナグラム(並び変えるとそれぞれの名前になる)であり、同一人物であることを示すヒントになっています。つまり4人の名前にはそれぞれアナグラムでつながっているわけでこれが1つ目の4の法則です。
そして、捜査官であったエドワードが実はレディスという名前の患者であたことことから67人目の患者(シャッターアイランドには66人の患者がいる)が自分であることを表しています。
これが2つ目の67は誰?の答えです。つまりいずれも彼が自身がこの島の患者であることを示す証拠だったのです。
レディスはなぜ心を病んだのか
レディスは1945年のダッハウ収容所でナチス軍が行っていた残虐の行為を目の当たりにしたり、ナチス軍自体を処刑することが少なからずトラウマになっていました。帰国後は連邦保安官になりましたが、その時のトラウマからまずアルコール依存症になってしまいます。
その後妻が心を病んでしまい、自分たちの子供たちを全員溺死させてしまうという悲惨な事件が起きます。
そして自分を殺してほしいという彼女の願いを聞き入れて彼女を殺してしまいます。
これが結果的に決定打となり、エドワードという人格を作り上げ、その妻を殺したレディスという2つの人格ができてしまったのです。
なぜ妻ドロレスは心を病んだのか
作中明言がありませんので推測ですが、ドロレスが心を病んだのはレディスがお酒に溺れ家族に向き合わなかったことが原因とも考えられます。
少なくともレディス自身は幻のドロレスからアルコール依存症を責められるシーンもありますし、エドワードからレディスに戻ってきたときに自身がドロレスを救ってやれなかったことを後悔しています。
終始体調の悪いテディ
テディは作中、船酔いをはじめところどころで体調不良を訴えます。これは1つは作中でも説明がありますが、抗精神薬が切れたことによる禁断症状と、もう一つはドロレスが子供を溺死させたことからもテディにとっては水は恐怖の対象だからだと考えられます。
失踪事件の真相は何か
レイチェルの失踪事件はあくまでも院長のコーリーと担当医師のシーアンが作ったロールプレイ治療です。
つまり出てくる人物や設定はそのほとんどが嘘で、あくまでもレディスが作り上げたエドワードという人物にレディスの頃の連邦保安官になり切ってもらうことで自分が犯した罪に向き合うことを目的としています。
ちなみにアッシュクリフ病院ではロボトミー手術(脳を外科的に手術する)を行おうとする過激派とコーリーたちのようにロールプレイ治療による自然療法で解決しようとする穏健派がおり、レディスの治療法を決めるために今回のロールプレイ療法をまずは行っています。
二人のレイチェルは何者だったのか
本作ではレイチェルは二人出てきます。一人はエドワードが島に来るきっかけとなったの失踪したレイチェル。彼女は捜査の途中、突然病院へ戻ってきます。
彼女は終盤看護師として登場します。彼女は実在しており話の流れからするにロールプレイ治療に協力していた看護師です。
そして、もう一人はテディが捜査を進めていくにあたって洞窟で発見した女性です。彼女はロボトミー手術について情報をテディに話しますが、このレイチェルはテディが見た幻影であったと思われます。
本来レイチェルという女性は、テディが妻のドロレスのおぞましい殺人から自身を守るために作り上げた架空の女性です。彼女はあらゆる面でドロレスに似ていて彼女を理解したいと心の奥底で思ったゆえの幻影だったと思われます。
相棒チャックの正体
エドワードと島に一緒に来たチャックは後にシーアン医師が演じた役割であったことが判明しています。
島を一度出て船に乗ったり安全確保が必要な状況なので常に傍にいられるように相棒という形で近くにいたといえます。
また、ロールプレイの中でシーアン医師は休暇中という設定になっていることもつじつまが合います。
シャッターアイランドのラスト結末解説
最終的に今回のお話がすべてレディスのためのロールプレイ治療であったことが明かされます。
では治療の結果はどうだったのでしょうか。
治療の結果は?
エドワードがレディスの存在を認め、自分のせいでドロレスを死なせてしまったことを思い出します。
彼自身が「俺のせいだ」とすべての事件に向き合い、エドワードなどという人格がないことを認めています。
この点を見れば治療は成功であったと言えるでしょう。
しかし、島を出ようと思ったその矢先に突然レディスは「島を出ようチャック」と言い出します。
シーアン医師をチャックと呼ぶのはつまり「エドワード」の人格になります。
そのため、その後、シーアン医師は首を横に振りコーリーに退院はできないという素振りを示し、治療は失敗かのように見えます。
しかし、その後のレディスの「どっちがいいんだろうな?モンスターのまま生きるか 善人として死ぬか」というセリフからこの治療が必ずしも失敗ではなかったことを表しています。
モンスターのまま生きるか 善人として死ぬか
C棟のジョージ・ノイスに暴行を働いたことからレディスはロボトミー手術の被験者として候補に挙がっていました。
今回ロールプレイ治療が失敗した場合はロボトミー手術が待っており、それはレディス自身もよくわかっています。
レディスには2つの選択肢があります。
1つはレディスとして罪を背負いながら生きること、もう一つはロボトミー手術でレディスという人格自体を殺してしまうこと。
間接的にとはいえ、自分の子供3人を死なせてしまったこと、自分のせいで妻がうつ病になり、殺してしまったことなどレディスにとって自分はモンスターと思えたのでしょう。
結果的に彼はエドワードという人格が復活したかのように”演技”し、ロボトミー手術を受けるように仕向けたと考えるのが正しいでしょう。
シャッターアイランドの名前の秘密
本編の内容と直接関係ないですが、このシャッターアイランドのという映画の名前にも秘密があると言われています。
それはこの映画の題名「Shuttur Island」がなんとアナグラムになっている(文字を入れ替えると別の意味が出てくる)というのです。
例えば「Truths and Lies(真実と嘘)」あるいは「Truths Denaials(真実 否定)」となるのです。
これはまさに今回ネタバレで解説した事実に直結する重要なメッセージですよね。このアナグラムまで気づいた人は本当にすごいですね。
シャッターアイランドの最後に
エドワードの妄想とロールプレイの部分が入り交じってどこまでが現実でどこまで空想かがわかりにくいのですが、一度整理してもう一度見ると新たな気づきがあるかもしれません。
ぜひ一度ならずこれを読んだあとにもう一度本編を見てみてください!