(映画レビュー)死体が消えた夜のあらすじと伏線をネタバレ解説

スペインの「ロストボディ」という作品をリメイクした韓国映画「死体が消えた夜」についてあらすじを振り返りながら内容を考察&解説していきたいと思います。

映画のあらすじ(ネタバレ)

大手製薬会社の会長ユン・ソリが死んだ事件を調査していた警察署では何者かによって死体が盗まれる事件が発生します。担当するジュンシク刑事は捜査に乗り出し第一容疑者はソリの夫であるパク・ジンハンでした。彼は大学教授で大富豪である妻から精神的にDVを受けている一方で、ヘジンという大学生と浮気もしていました。

実際、ヘジンは妊娠しており、妻の抑圧にうんざりしていたジンハンは自身が開発途中であった証拠の残らない毒を使い妻の殺害を計画し実行に移します。しかし、今回の死体消失についてはジンハンは何も関与していませんでした。それどころか彼が行く先々で不思議なことばかり起きます。

妻との思い出の品、処分したはずの毒物、妻しか知り得ないはずの秘密の数字などまるで死んだ妻が生き返って彼へ警告を発しているかのようなことばかり起きます。焦るジンハンをより怪しいと思うジュンシクは署長の命令を無視して彼を取り調べますが、調べれば調べるほどジンハンが犯人である証拠が出てくるのでした。

次第に妻が生きていることに確信を持ち始めたジンハンは自らが疑われていることよりもヘジンの身に危険が迫っていることに焦りだします。そして、彼の持っている携帯に妻から「秘密の場所で待つ」というメッセージが現れるのでした。

警察署の周りで死体を捜索していた警察ですが、肝心の死体が見つからない以上ジンハンをこれ以上拘束できないと判断し、彼を解放します。ジンハンは一目散に車に乗り込み、「秘密の場所」へ向かうのでした。そしてその後ろにはジンハンを尾行するジュンシク刑事の車が走っていました。

結末ラスト

山奥の別荘についたジンハンは部屋を探したあと山林に入っていきます。そこでジュンシク刑事が現れ話し出します。彼こそが今回の一連の死体滅失事件の犯人だったのです。

ジュンシクにはソン・ジヨンという婚約者がいました。彼女はひき逃げされそのまま遺体も発見されていませんでした。彼女にはファヨンという妹がおり、彼女も事故にあいましたが無事一命をとりとめました。そしてその事件の犯人こそが飲酒運転していたジンハンとその妻ソリでした。

ジンハンは妻の言うとおりにこの山奥の山林に彼女の死体を運び、埋めました。

ファヨンは奇跡的に一命を取り留めましたが、精神的にも肉体的にもダメージを受けていたためまともな証言もできず、事件は迷宮入りしてしまいます。それから数年後、偶然にファヨンと再会したジュンシクは、彼女からジヨンを轢いた車がソリの製薬会社のものだったことを知らされ独自の捜査をはじめます。その結果、ソリとジンハンが犯人だと確信したジュンシクは、ファヨンとともに彼らに復讐することを決意したのでした。

ジュンシクの計画はまずファヨンをヘジンという偽名にし、ジンハンに近づきソリの殺害を促します。そして、その後ジュンシクが遺体を盗み、今回の一連の事件をでっちあげたのでした。さらにファヨンはジンハンに例の毒薬を飲ませていたのでした。

ジュンシクは毒薬をジンハンが飲んだことを告げ、ジヨンの遺体がある場所を聞き出します。ジンハンが地面を指さすと彼は気絶してしまいます。ジュンシクがその場所を掘ると、そこにはジヨンの遺体があります。彼は遺体をソリのものに入れ替えジンハンに麻薬を打ち、その場を後にします。

ジンハンが目を覚ますと警察が周りにいました。彼らはジンハンを逮捕し連行します。ファヨンとジュンシクは車で人気のない場所へ向かって車を走らせるのでした。

死体が消えた夜の考察&解説(ネタバレ)

韓国では大ヒットを記録した映画で良質なスリラー映画です。内容を見逃した方や理解しきれなかった人のために改めておさらいします。

カタレプシーとは

強硬症。一定の姿勢をとると、その姿勢を随意的に変更できず、長い時間にわたって同じ姿勢を保持する症状。

https://www.almediaweb.jp/glossary/0156.html

つまり、死んではいないけれど何らかの理由で見た目には死んでいるように見える状態です。検死前だったことから、まず警察はソリがこのカタレプシーの状態で死んでいない人間を死んだと判断したのではと疑いました。

消えたソリの携帯電話

遺品であり証拠品であるソリの携帯電話はジュンシクが盗んでいました。彼はその携帯からジンハン宛にメッセージを送ったりし、あたかもソリが生きているかのように見せかけました。ちなみに前半でヘジンの携帯にソリの携帯番号から着信があったといっていますがあればヘジンの自作自演です。

2007年7月20日とは何か

ジンハンは2007年7月20日を恐れていました。これはソリとジンハンがジヨンをひき逃げした&遺体を遺棄した日です。この日は当然ソリとジンハンしか知らないはずのためジンハンは焦ります。しかし、他にもこの日を知っている人がいます。それはジヨンの身近な人です。このことをジンハンは見落として、ソリが生きていると錯覚しました。

秘密の場所とは

ソリとジンハンがジヨンを遺棄した場所です。その場所もソリとジンハンしか知りません。

ジュンシクの狙い

ジュンシクの狙いは①ジヨンの遺体を見つけて弔うこと②ソリとジンハンに復讐すること、でした。②は簡単ですが、①はそう容易ではなかったことでしょう。そのため今回の騒ぎを画策しました。

これは想像ですが、まずは②の復讐が中心だったこの計画ですが、最後は①が中心になっているように思います。というのも実はジュンシクはジンハンを毒殺するつもりだったと思います。でなければジンハンがしゃべってしまうとすべてが水の泡になりますから。

ですが、彼は殺せるはずのジンハンを助けました。それはジヨンの遺体を見て結局はジンハンを殺すことをやめ、麻薬を彼に打ったのだと考えられます。

ちなみにジュンシクが麻薬をもってた理由、麻薬は持っていないとジンハンが言ったことが嘘だった時に彼を蘇生してもう一度場所を聞く必要があったからです。

レビューと感想

リメイクですが、原作のロストボディよりこちらのほうがよくできていると思います。

色々な伏線がありますが、後でしっかり回収されますし、最後まで目が離せません。落ち着いて考えればジュンシクやヘジンが怪しいと思うのですが、それを感じさせないわくわく感から見ている側もソリが生きていると思わされてしまいます。

脚本がよくできているとてもおすすめのスリラーですのでぜひご覧ください!