アバウト・タイム ~愛おしい時間について~のキャスト
ティム – ドーナル・グリーソン(亀田佳明)
メアリー – レイチェル・マクアダムス(渋谷はるか)
ティムの父 – ビル・ナイ(伊藤和晃)
キット・カット – リディア・ウィルソン(英語版)(堀井千砂): ティムの妹
ティムの母 – リンゼイ・ダンカン(高島雅羅)
デズモンド叔父 – リチャード・コーデリー(英語版)(金子由之)
ローリー – ジョシュア・マクガイア(英語版): ティムの親友
ハリー- トム・ホランダー(丸山壮史): ティムの父の知り合いでティムの家主、脚本家
シャーロット- マーゴット・ロビー(甲斐田裕子): キット・カットの友人
ジェイ – ウィル・メリック(英語版): ティムの友人
ジョアンナ – ヴァネッサ・カービー: メアリーの友人
ジミー – トム・ヒューズ(英語版): キット・カットのボーイフレンド
評価:80/100点
アバウト・タイム ~愛おしい時間について~のあらすじ
人生の宝物は生きてきた日々そのもの!
なにげない一日が、かけがえのない時間だったと気づくー。
イギリス南西部コーンウォールに住む青年ティムは、両親と妹、そして伯父の5人家族。どんな天気でも、海辺でピクニックを、週末は野外映画上映を楽しむ、風変りだけど仲良し家族。しかし、自分に自信のないティムは年頃になっても彼女ができずにいた。
そして迎えた21歳の誕生日、一家に生まれた男たちは代々タイムトラベル能力があることを父から知らされる。そんな能力に驚きつつも恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返すようになる。
やがてティムは弁護士を目指してロンドンへ移り住み、チャーミングな女の子メアリーと出会い、恋に落ちる。ところが、タイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに。ティムは巧妙なタイムトラベルを重ねた末、ようやくメアリーの愛を勝ち取ることに成功する。
その後もタイムトラベルを続けて人とは違う人生を送るティムだったが、やがて重大なことに気がついていく。どんな家族にも起こる不幸や波風は、特殊能力を使っても回避することは不可能なのだと。そして、人生最大の選択を迫られるのだった…。
アバウト・タイム ~愛おしい時間についての感想レビュー
かねてよりいい評価が気になっていたアバウト・タイム。
バタフライエフェクトを含めてタイムトリップものが大好きな自分としてはウキウキワクワクしながら見た作品です。
個人的にはどうしてもバタフライエフェクトと比べてしまうためそこを含めてのレビューになってしまいます。
まずは率直な感想から。
なるほど、期待した分少し拍子抜けというのが正直な感想。
過去に戻れるという特殊能力を持つティムが巻き起こす事態にしては、あまりにも平凡すぎる上に、すべてが彼に有利に働いてしまい話として「できすぎている」といううさん臭さを感じてしまう。
もちろん、ハッピーエンドであることは評価すべきであるが、その分山あり、谷ありであってほしかった。
この作品が伝えたかったこと
この作品のメッセージは「平凡な今を生きることの楽しみ」だと思ってます。
ティムは最終的にこの能力の使い道を「ありきたりな日常を繰り返し色々なことを楽しむこと」と父親から教えられます。
でもこれは実は能力を使わずとも私たちの意識次第でなんとでもなる話でもあるのです。
ただし、このメッセージを気づくのにお父さんから教えてもらうという方法は少しイージーすぎるかと思いました。
やはりティムが苦悩の中で気づいていくことが重要かと思いました。
バタフライエフェクトとの比較から
個人的な名作バタフライエフェクトとの比較で言えば、やはり過去に戻れる能力に対して副作用が小さすぎると思います。
バタフライエフェクトでは過去を変えるゆえの副作用で中々思い通りの未来にならないことに苦悩するが、今回の副作用はあくまで子供が生まれるときだけ未来が変わるというもの。
それでは何でもやり放題だし、失敗したらやり直すという繰り返しが人生をイージーモードにしてしまうのではないかと思う。
こういうチート能力を持っている人間というのは往々にして人間が大きくなってしまい失敗するものです。その失敗の中から結局「能力に頼らないほうが幸せ」という気づきになるほうが絶対にいいと思います。
ただし、バタフライエフェクトはハッピーエンドにならないので本作でしっかりハッピーエンドになったのは評価できます。
能力についての感想
私が一つ言いたいのはこの能力は非常に不愉快だということです。
ティムは恋人が欲しいがためにこの能力を使いました。
結果的にメアリーと出会うためにわざわざ別の彼から彼女を奪うことまでします。
でも彼がメアリーを選んだのは偶然です。なんとなく彼女を選んだわけです。運命を感じたのだとすればそこの描写がもう少し欲しかったです。
仮にメアリーと付き合わなくてもシャーロットと付き合っていたかもしれないですし、さらに別の女性と出会っていたかもしれません。それを思いつきとしか思えないアイデアで過去を変え続けることがどうかしています。
逆に考えるとメアリーが別の男性と出会うきっかけを奪っています。もしかしたらティムが引き裂いた彼との未来があったかもしれませんが、ティムが自らの欲望のために他人を引き裂いています。
そしてどうしてもしっくりこないのが長男が生まれたことです。
過去に戻る欠点は子供が生まれるポイントを変えてしまうと別の子が生まれてしまうということ。実際ティムは長女がいるはずの世界で長男が生まれていて「しまった」と思ったのです。
でも落ち着いて考えてください。両方ともまぎれもないメアリーとティムの子供です。二人ともティムの精子のどれがヒットするか違った刹那の確率なのです。
結果的にティムはどちらかを殺さなければならなく、生まれたはずの長男は生まれませんでした。
この能力は非常に不愉快です。出会った我が子を「こうじゃない」と思わせてしまう、まさに人間を人間でなくさせてしまうのです。
シナリオの出来はグッド
ボコボコに書きましたが、おおむね満足の作品ではあります。
特にシナリオはグッドです。
もう少し山あり谷ありほしいところですが、親子愛をかなり入れてますので、あまりアドレナリンが出まくる映画にするとそこらへんのバランスがとれないとも見れます。
恋愛映画ではなく、親子映画とすればシナリオ的にはグッドなのです。
特に最後の父親に会えなくなることと新しい命が生まれるところの決断を迫られるところはうまくできているなと思いました。
年取ってから世代交代を意識することも多くなってきたもんでね。。。
アバウト・タイム ~愛おしい時間について~の最後に
恋愛映画としてひねりがない作品でした。
正確には恋愛映画というよりも親子愛のような要素のほうが見ごたえがありましたが。
私のようなひねくれた映画ファンには物足りない気もしますが、たまにはこういうまっすぐな映画もいいですね。