「コロニア」のネタバレ解説・感想【実話ベースのサスペンス】

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映画コロニアのあらすじ(前半)

1973年、ルフトハンザ航空の客室乗務員のレナはフライトでチリにやって来た。帰りのフライトまで時間があったためレナは街を見て回っていると恋人でジャーナリストのダニエルがデモに参加しているのを見かける。

一緒に過ごす幸せな時間もつかの間。軍事クーデターが勃発、部屋を逃げ出す二人であったが、途中で軍人に目を付けられ、ダニエルが反体制分子として捕らえられてしまう。

ダニエルが収容された「コロニア・ディグニダ」は、表向きは農業コミュニティだが、実態は「教皇」と呼ばれる元ナチ党員パウル・シェーファーが暴力で支配しているコミュニティである。

彼は自身の絶対的権力と男児趣味におぼれており、独裁的な運営をおこなっていた。

さらに、ピノチェト軍事独裁政権と結びついた拷問施設になっており、ダニエルも日夜を問わず拷問を受ける日々であったが、自身が拷問により頭がおかしくなったフリをして脱出の機会をうかがっていた。

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レナは仲間にダニエルを助けることを提案するが、取り合ってもらえない。そのため、単身「コロニア・ディグニダ」に潜入することを決意する。

潜入したレナは愕然とする。

施設内のシェーファーは想像以上の独裁運営であり、男女で住む場所が分かれており、女性への差別はすさまじくひどいものであった。女性を管理するギゼラもレナに厳しく当たった。

映画コロニアのあらすじ(後半)

厳しい農作業や生活ルールに追い詰められるレナだが、ある日大統領が来るとわかる日にお出迎えのため、道沿いで大統領を待っているとレナはダニエルを見つける。二人は互いに手を握り合い、夜に食料倉庫で待ち合わせをした。

二人は食料倉庫で会いこれまでの経緯を話すと、ふと倉庫の地下に通じる入り口を見つける。

地下は巨大に張り巡らされており、外に出る抜け道になっていることを確信した。

脱出の日、二人は妊娠しているというウルセルも一緒に抜け出すことを決意。

3人は地下を通り、森へと出ることができた、しかし、そこで地雷によりウルセルが死亡。二人は無事に大使館まで行くことができた。

大使館で迎えを待つ二人であったが、フライトが翌日以降になってしまうことに絶望し、すぐにレナの運転士であるローマンに電話し、乗せてもらうようにお願いをする。

フライトを確保した二人は大使の車で飛行場に向かったが、大使はシェーファーとつながっており、監禁されてしまう。

なんとか監禁部屋を逃れた二人は飛行機に飛び乗り、無事にドイツへ飛び立つことができた。

映画コロニアのキャスト・評価

レナ – エマ・ワトソン(清水理沙)
ダニエル – ダニエル・ブリュール(綱島郷太郎)
パウル・シェーファー – ミカエル・ニクヴィスト(竹本和正)
ギゼラ – リチェンダ・ケアリー(きそひろこ)
ウルセル – ヴィッキー・クリープス(有賀由樹子)
ドロ – ジャンヌ・ヴェルナー(大平遥香)
ロマン – ジュリアン・オヴェンデン
ドイツ大使 – アウグスト・ツィルナー
ニールス・ビーダーマン – マルティン・ヴトケ

評価:70/100点

実話であることが評価を上げています。

よく言えば手堅い作品、悪く言えばまあこんなもんかなという作品。

コロニアのネタバレ感想

本作を語るうえでまずはこれが実話であることを知っておかなくてはならない。

南米史上最悪の独裁政権と言われたピノチェト政権。2万8千人が拷問され、約3千人が殺害されたという。

その極秘拷問施設として使用されたのがコロニア・ディグニダで敷地は有刺鉄線のフェンスで囲まれ、住人たちはしつけと称して日常的に暴力を受けていた。

厳しい環境だったが、警備体制が厳しかったため、40年間で脱出できたのはわずか5人という黒い歴史がある。

コロニアの厳しい現実

どこまでが史実なのかわかりませんが、コロニアの中での生活は厳しいものでした。

もちろん、反逆者に対する拷問もつらいものがあるのですが、それよりも教皇による精神操作がおそろしいです。

神の名のもとに自分の思い通りに人を操り、特に女性に対しての扱いはひどいものがありました。(自身が男児趣味であることもあるのでしょうが)

男子との恋愛をすれば淫乱としてののしられ、男性集会の中で罵倒+暴力されるシーンは本当につらかったです。

また、農業も結局は行き過ぎると強制労働になるのでじゃがいも畑で倒れるレナを見て過酷な現実を目の当たにしました。

しかも脱走者が40年で5人というのはもちろん、脱走のしにくさもあるのでしょうが、精神的な拷問により脱走という選択肢すら考えられなくなっていたのかもしれません。

でもその現実を命がけで脱出し、世界に写真を公表した二人のドイツ人は素晴らしいですね。

誰かが行動しなければこの現実は今も続いていたかもしれませんね。

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ハーマイオニーからの脱皮

エマワトソンといえばハリーポッターのハーマイオニーのイメージを持っている人もいるのだろうが、私はこの作品を見てそのイメージがすべて吹き飛んでしまった。

エリートで頭のいい秀才であるハーマイオニーが泥だらけになり、じゃがいもを掘っている姿や拷問を受ける姿は、もう少女ではなく一人の力強い女性としての演技を確かに持っていた。

実は力強さを感じたのは彼女の「走り」である。

この映画走るシーンがかなりあるのだが、こんなにエマワトソンが力強く走るなんて予想外だった。彼女はか弱い女性なんかではなく立派な大人なんですよね、それをとても実感しました。

最後に

本作は史実であり、コロニアでの現実を世界に知ってもらいたく、忘れないために作ったとの監督のコメントがありました。

やはり、独裁国家や独裁政権というのはどこかで歪みが出るというのがとてもよくわかる作品でした。

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