※本作品は過激な描写を含んでいます
拷問男の評価
★★★★☆
拷問男と言うので、快楽殺人者が主人公のただのグロ映画かと思えば、意外に悲しいお話に心が揺れました。
やり場のない悲しみと怒りをぶつける主人公の葛藤をうまく描いたリベンジ映画で、あっという間に見終わってしまいました。
ただし、拷問によるグロ描写がかなりあるので苦手な方にはおすすめしない作品です。
拷問男のあらすじ
デレクは妻と離婚し、一人娘のジョージアを溺愛していました。
しかし、ある日ジョージアが誘拐されてしまい遺体で発見されます。
悲しみに暮れるデレクですが、半年たったある日ふと弟のトミーのパーティに参加したときに彼の家から1冊の日記を見つけます。そこには彼の弟がこれまで犯した犯罪の記録があり、ジョージアも彼に殺されたのでした。
一度は警察に行こうとしたデレクですが、ふと立ち止まり自ら制裁を加えるために準備をはじめます。
弟を家に呼び薬で眠らせたデレクは地下のビリヤード台に縛り付けます。
これまでの弟の罪を噛みしめさせるように拷問を加えるデレクでしたが、家に同僚のコリンが来て、弟の監禁がバレてしまいます。
デレクは弟を殺そうとしますが、その前に警察が踏み込んでおとなしく投稿します。
拷問男のネタバレ感想
久しぶりにテンションの上がる題名「拷問男」。
シンプルな題名の中にとんでもないインパクトを醸し出す本作は、その名前に負けない内容のインパクトを暮れる良作トーチャーポルノでした。
拷問男の目的
拷問という単語を聞くだけで嫌悪感を持つ人もいるかもしれませんが、改めて考えてみると、拷問は実は猟奇的に行われる快楽殺人とは完全に別のジャンルであることを忘れてはいけません。
つまり拷問には快楽殺人と違い、基本的に目的があり、今回の拷問男も「娘を殺された復讐」という面があります。
この点の動機がしっかりしていると、見る人にとっては精神的に幾分か楽になります。
同じくグロ映画と言えば、グロテスクがありますが、
映画グロテスク(GROTESQUE)のネタバレ・見どころを解説【画像多数】
こちらは完全に快楽での責めであり、快楽殺人に該当するものであり、こちらは見ていて精神的にも来ます。
名前負けしない拷問
拷問系の映画は数多くありますが、その中でも堂々と「拷問」という文字をタイトルに入れる映画は少ないですし、その分その手のマニアのハードルが上がることになります。
結果的にこの映画はしっかりとそのハードルをクリアしたのではないかと思います。
前半のデレクの優しそうな父親の顔から、専門家(?)に拷問の手口を調査している悪魔の顔までしっかりと描きながら、拷問シーンも長すぎず、短すぎずのシンプルな作りになっていました。
事実は小説より奇なり
この映画の魅了のひとつは拷問という非日常の題材でありながら、現実では「ありえそう」な作品に仕上がっているところです。
毎日繰り返される、虐待、性的暴力、小児性愛などのニュースに法律うんぬんより人間として許せないような事件が繰り返されるところで、その被害者ばはらわたが煮えくり返る思いをしていることでしょう。
実際に少し検索してみると、インドなどでは強姦をした隣人を拷問の上殺害しているような事件まで起きています。(参考)
この映画でおきていることは結構世の中で起きているノンフィクションなんじゃないかと思っています。(もちろん拷問する側にもされる側にもなりたくはないですが。。。)
加害者へのメッセージ
ただのグロ映画ではない、本作には裏には加害者へのメッセージを感じました。
軽すぎる犯罪者の罪、逃げおおせて今ものうのうと生きている加害者への怒りを表現しているのがとてもわかります。
その証拠にエンドロールではデレクとは全く関係ない、いろいろな事件の報道がランダムに流れます。
実際に参考で紹介したインドの事件も動機は「世の中の犯罪者に知らしめるため」というものでした。
最後に
見終わった後になんとも悲しい気持ちになる映画です。
結局のところデレクのもとには何も残らず逮捕、残された家族は殺し合いをした兄弟たちの痛ましい記憶が残ってしまいます。
それでもこの行為が「次の犯罪を起こさない抑止になるかも」と思えば、少しはデレクに救いが生じるかもしれませんね。