ミスター・ガラスの評価
★★★☆☆
アンブレイカブル、スプリットに続くミスターガラスは3部作の完結編の作品です。
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デヴィット、ビースト、イライジャが一堂に会するのはファンとしてはとても嬉しいものですが、作品としては正直今一つパンチが足りない部分があったかなと思いました。
やはりイライジャの知略戦略でもう一つ世の中を大きく変えるような出来事があってほしかったようにも思います。
ですが、やはりアンブレイカブルのファンとしてはもう一度デヴィットが見られることは大変うれしく思うので★3としたいと思います。
ミスター・ガラスのあらすじ
ヒーローとしての自覚に目覚めたデヴィッド・ダンは息子のジョセフと共に街に繰り出しては悪者を捕まえ、治安を守っていました。
ダンには超人的な肉体と相手に触れると悪人かどうかがわかる特殊能力があったのです。彼らはいつしかメット上で監視者と呼ばれるようになっていました。
所変わり、ケビン・ウェンデル・クラムは女子高生を倉庫に監禁していました。
彼は汚れた人間を見つけては殺していました。
彼の中にはリーダーのパトリシアを筆頭に20を超える人格があり、その中の一つの人格であるビーストは超人的な力を持った存在でした。
ある日、デヴィッドはケビンを見つけるためにパトロールをしていると偶然彼を見つけます。
倉庫の女子高生を無事開放したデヴィッドはケビン(ビースト)に遭遇し戦いになります。
超人的な力を持つ二人の戦いは激しいものになり、その結果彼らを探していた当局に包囲されることになってしまい、二人とも厳重に警備された精神病院に収容されてしまいます。
そこにはデヴィッドの宿敵、イライジャ・プライスもいました。
病院では精神科医のエリー・ステイプルが自分がヒーローだと思っている患者を治療していました。デヴィッド、ケビン、イライジャの3人を担当した彼女は彼らのヒーロー的資質や超人的な能力はない、ことを主張しました。
天才的な策士のイライジャは、先天的な病気から「ミスター・ガラス」と異名をとっていました。彼はケビンを見た瞬間、彼の中に眠るビーストの超人的なの能力に惹かれました。
イライジャはケビンに接触し、自らを「ミスター・ガラス」と名乗り、ビーストの人格を出せば、この精神病院から脱出することを手伝うと言いました。
そして、デヴィッドもまた、凶暴なケビンが外に出てしまうことを恐れ、自ら脱走することを心に決めるのでした。
ミスター・ガラスの結末ラスト
見事脱走したイライジャとケビンは街で一番大きなビルであるオオサカタワーを目指します。しかし、病院の外でそれを阻止しようとするデヴィッドと戦うことになります。
そこにジョセフたちも駆けつけます。
ケビンとデヴィットの戦いは熾烈を極め、警察も到着しますが止められません。
ジョセフはケビンを止めるために、ある真実を話し始めます。
それはイライジャが起こしたイーストレイル117号の脱線事故がケビンの父親が死ぬきっかけになったのです。父親がいなくなったケビンは母親からの暴力を含む虐待を受けるようになり、多重人格になったのでした。
怒り狂ったケビンはイライジャを殺します。
しかし、たどり着いた警官隊によってケビンは射殺、ダンも殺されてしまいます。
薄れゆく意識の中でエリーたちの衝撃の告白を聞きます。
エリーはある組織のメンバーで、それは特殊な能力を持った人間が世の中に知られないように画策する活動をしていました。
イライジャたちを抑え込むことができないと考えたエリーは組織が用意した軍隊で彼らを殺すことにしたのです。
彼らが全員死んで安心したエリーは無事に騒動を鎮圧できたことに安堵します。
しかし、イライジャの企みはその上を行っていました。
彼は精神病院が警備のためにつけていた監視カメラを利用してその動画をジョセフたちを通じて世界中に配信しました。
世界中の人たちがイライジャ、デイヴィット、ケビンの超人的な能力を知ることになったのでした。
ミスター・ガラスのネタバレ感想
アンブレイカブル、スプリットに続く M・ナイト・シャマラン3部作のラストがこのミスター・ガラスです。
アンブレイカブルが2000年公開ですので実に19年で完成した作品ということもあり、ファンの期待もかなり大きかった作品でしょう。
結論から言えば、満足できるところもあれば、不満足な部分もあったという感想でしょうか。
ヒーローたち夢の競演
アベンジャーズ、DCヒーローズなど昨今のアメコミではヒーローたちの共演は日常茶飯事になってきました。
このミスターガラスにおける、超能力者はデヴィッド・ダン、ビースト(ケヴィン)、そしてミスターガラスの3人です。
他のヒーローに比べると平均年齢が高いヒーローたちですが、マカヴォイ演じるビーストが他の二人のパワー不足を補う怪演でした。それにしてもやはり、ヒーローたちの終結は見ている側もテンションが上がります。
シャマランらしからぬ作品
さて、そんな映画を見た私の率直な感想は「シャマランらしからぬ作品だな」という感想です。
シャマラン監督と言えば他にはシックスセンスやハプニングなどがありますが、いずれも物語にあまり白黒をつけないというか、視聴者に判断を任せるような作品を作る傾向があります。
その最たるものが映画ハプニングだったりするのですが、アンブレイカブルにしろ、スプリットにしろシャマランらしい「最後は視聴者の判断に任せるよ」というグレー部分を作る監督です。
ですので、シャマラン監督の作品は映画自体を見てる1時間半よりも映画を見終わったあとの1時間半のほうが個人的には楽しいのです。あれはなんだったんだろう、彼は正しかったのだろうか、などです。
ファンが見たいのはそこじゃない
このミスター・ガラスは一転してそんなシャマラン監督の「らしさ」がない作品です。ラストのステイプル先生に一泡喰わせたミスター・ガラスの企みは見事でしたが、そんなものはシャマラン監督の良さではなく、一般的な「映画の良さ」に過ぎないのです。
むしろ今回、2作目で現れた正義なのか悪なのか不安定なビーストと自らの正義に気づき始めたダンが、お互いの正義を主張しあうシーンこそファンたちが見たかったもののはずです。
しかし、そこも結局迫力のない中途半端な格闘シーンだけ、互いの存在を確認する時間すらなく、「実はステイプルには裏の顔が」なんていう、突然とってつけたようなラストで終わります。
マカヴォイの怪演
スプリットに続き、マカヴォイ演じるケビンは最高の演技でした。
イギリス人女性のパトリシアにはじまり、臆病なケビン、野獣のビーストまで幅広く演じていました。
デヴィットとビーストの戦いはこの映画の見せ場でしたが、ブルースウィリスのパワー不足はマカヴォイがしっかりと補っていました。
最後に
色々な評価がある中で、やはり厳しい評価が多かったように思います。
元々アンブレイカブルは3部作でなかったため、無理やりスプリットとミスターガラスを制作したのと、1作目のアンブレイカブルから10年以上たっていることが評価に影響しているように思います。
ですが、それでもアンブレイカブルもスプリットも素晴らしい作品だと思うのでぜひご覧ください。